4歳の語彙力

朝、息子を起こしに寝室に行った。

寝ている息子は可愛い。起きている息子も可愛いが、寝ている息子はまた違った無防備な可愛さがあるのである。

「朝だよー起きてー」

と言うと共に、可愛すぎて抱きしめたくなりぎゅーっとした。ついでにほっぺた同士もくっつけて「ほっぺー」としてみた。寝ている時にそんなことをされたら、鬱陶しいことこの上ないと思う。しかしやりたかった、だからやった。

息子は思いの外嫌がらず、寝たままそれを受けていた。しかし段々嫌になってきたのか、目を閉じたまま「もういいよ」と穏やかに言った。

「もういいよ。おかあさんのあいは、じゅうぶんつたわったからね」

!?

「やめて!」とか「いや!」じゃなくて、「愛は十分伝わったよ」と言う4歳。やんわり拒絶する4歳。

一体どこで覚えてきたんだい…?

それは本当に4歳の語彙力かい…?

半分寝ながらすっと出てくる言葉ではないと思う。いろんな意味ですごい。親の方が語彙力がない。すごいとしか言えない。

しかしどこかで聞いたことがあるフレーズだな?とよく考えてみれば。私が息子に言ったことのある言葉だった。息子からぐいぐい触れ合ってきてやめて欲しい時に、「もういいよ、○○(息子)の愛は十分伝わったからね」と言っていた。一度ならず何度か言っていた。どうやらそれを学習したらしい。

子どもは周りから言葉を学ぶわけで、やはり環境によって覚える言葉は違うのだろうな。息子はどちらかというと言葉遣いが丁寧で、直接的な強い否定の言葉をあまり使わない。それはもしかしたら、私の影響があるのかもしれない。

今もそうだが子どもの頃は特に、相手に強い否定を感じさせる言葉を使うのが苦手で、意識的に使わないようにしていた私である。例えば「嫌い」じゃなくて「苦手」とか「好きじゃない」と表現するような感じである。

そういうもはや無意識にやっている事柄が、息子の語彙力にも受け継がれているのかもしれないな。

しかし「愛は十分伝わったよ」と4歳で言えるとは。今後、息子の人生でこのフレーズを使うことがあるかはわからないが、そういう言い回しを知っていることは何かしらプラスになるのかもしれない…?なるといいな。


ではまた明日。