続・『さんまいのおふだ』
数日前に、『さんまいのおふだ』についての記事を書いた。
その後、周りの人に聞いてみて何となく周りの人が知っている話の傾向が見えてきたのでその話と、あとこの物語について考えたことでもつらつら書いてみたいと思う。
まず、周りの人に聞いてみたお札の使い道、結果発表ー。
・聞いた方全て、「トイレの返事・水が出てくる」は共通だった。これで2枚お札を使う
・最後の1枚は、「山が出てくる」「火が出てくる」で意見が分かれる
・山姥が出てきた水を飲んで、その水で次に出てきた火を消火するという話を知っている人もいた
・トイレの神様が出てくる話を知っている人は誰もいなかった
聞いたのは成人した人ばかりで、しかも6人くらいにしか聞けていないので、これが一般的な意見だとはとても言えないのだが。もしかしたら「トイレの神様」が出てくる話を知っている人は少数派で、「火が出てくる」話を知っている人はそれなりにいるのかもしれない。
以下、つらつらと考えたこの物語について。
『さんまいのおふだ』というタイトルから、お札は3枚と決まっている。つまり、「起こせる奇跡は3回まで」ということである。
トイレの返事、山、川、火、という4つの奇跡が用意されていて、その中からどれかを選ぶとなると。個人的に一番欠かせないのは、「トイレの返事」かなと思う。
この話で一番重要な部分、この話に読者を引き込むための大事な部分は「トイレの返事」の辺りではないかなぁと思うのだ。まず山姥の元からどうにかして逃げる過程があって、その後、逃げ続ける過程がある。同じ「逃げる」でもトイレとそれ以降は少し性質が違う。
極端な話、「山でばったり山姥に会って3枚のお札を使って山と水と火を出して逃げる」だけでもお札を使う物語は成立する。しかし「山姥に捕まって、トイレで返事をしてもらうためにお札を使って逃げる」という過程があるからこそ、この話らしさが出て心に残るのではないかなぁと思うのだ。お札の使い道が何か出てくるばかりでなく、「返事」という意外なものに使われるからこそ印象に残る気がする。
もしかしたら、
起こせる奇跡が3回まで。山と川と火が出る話があるぞ。じゃあトイレの返事はどうしよう。よし、トイレの神様にしてもらおう。いきなりトイレの神様が出てきて返事だけしてもらうのもなんだから、お札も神様がくれることにしよう。
なんて考えた人が昔にいて、それで今回買った絵本の伝承になったのかもしれないし、全然違うのかもしれない。しかし何となく、トイレの神様が出てくる話は欲張りセットというか、聞いたことのある伝承の要素を全部詰め込みました感があるなぁと個人的には感じたのだった。
例えばお寺の小僧がトイレの掃除好きでいつもピカピカにしていました、とか、そんな前振りがあったら、トイレの神様が助けてくれるのもわかるのだが。神様が出てこない話を最初に知っていた分、神様が出てくることに唐突さを感じてしまう。
しかしまぁ、これは昔話だし。万人向けヒット作にする必要はないし。いろいろ地方によって話が違うというのは、それはそれで良いのだと思う。その方が昔話感はある。
と、考えたところでどうにもならないことをつらつら書いているのだが、昨日一番印象に残ったことが「さんまいのおふだ考察」だったのでこんな記事になった。
ただ聞かされるまま、すんなりと聞いていた昔話。深く考えたらいろいろ面白そうだな。
ではまた明日。