ポーランドの陸上戦力#1
ポーランド陸軍...第二次世界大戦でドイツの装甲師団にボコボコにされ、そのまま壊滅したというイメージばかり持たれてますが現在のポーランド陸軍はかつての宿敵ドイツ陸軍を圧倒する装備、人員を揃えています。
今回は何かと低く見られがちなポーランド陸軍について解説していこうと思います
(追記.ドイツ軍が大軍拡を発表したので、また抜かれるかもしれませんが)
1.東欧唯一の機甲師団! 第11装甲騎兵師団「ルブスカ」
ポーランド西部の町ジャガンに駐屯するこの部隊の歴史は1945年の3月にウッチで編成されたポーランド人民軍第11自動車化歩兵師団に遡ります。1949年には第11機甲師団、1950年には第11機械師団、1963年に再び第11機甲師団となった後、ソ連崩壊後の1992年に第11装甲騎兵師団としてポーランド第三共和国に編成されました。
1945年(第11自動車化歩兵師団)当時の部隊編成は次の通りです。
・第29機械化歩兵連隊
・第40機械化歩兵連隊
・第42機械化歩兵連隊
・第8中戦車連隊(T-34?)
・第33軽砲兵連隊
・第92対戦車砲兵連隊
・第17モルタル連隊
・第15対航空機砲兵大隊
・第9偵察大隊
・第16サッパー大隊
・第34信号大隊
羨ましいぐらい充実してますね()
気を取り直して現在の部隊編成は下の図の通りです
編成図はこの様になっています。
左から順に編成図を見ていきましょう。
まずは第10装甲騎兵旅団。シフィエントシュフに駐屯しています。
この部隊はポーランド陸軍の中では相当長い歴史を持つ部隊で、過去にはフランスの平原でドイツ軍の装甲軍団と殴り合ったこともあります。
この部隊はレオパルト2A4を擁する第1戦車大隊、第24槍騎兵大隊を主力としており、そのレオパルト2A4は現在レオパルト2PLへの改修の真っ最中であり、全車の改修が完了した暁には更に強化されることでしょう。
↓レオパルト2A4(ポーランド国防省公式Twitterより)
↓レオパルト2PL(ポーランド陸軍第18機械化師団公式Twitterより)
他にはBWP-1(BMP-1のライセンス生産品)を擁する第10有翼重騎兵大隊とZSU-23-4MPビアワ自走対空砲大隊、2SIゴジジク122mm自走榴弾砲を擁する自走砲大隊も存在しており、BWP-1はポーランド国産の装甲車「ボルスク」で更新され続けています。2SI ゴジジクも韓国製K-9自走榴弾砲の車体に英国製AS-90の砲塔を乗っけたAHSクラブ 155mm自走榴弾砲で更新されつつあります。
次にジャガンに駐屯する第34装甲騎兵旅団を見ていきましょう。
この部隊の編成は基本的には前述の第10装甲騎兵旅団と変わりません。
変わっているのは2個装甲騎兵大隊の主力となっている戦車がレオパルトシリーズではなく旧ソ連製のT-72M1Zが主力になっているところです。
レオパルトシリーズに比べて能力不足は否めませんが現在選定中のポーランドの次期戦車プログラム「ウルフ・プログラム」の勝者によって代替されるでしょう。
次に第17機械化旅団を見ていきましょう。
これは完全な機械化歩兵部隊となっており、ミエンジジェチに駐屯しています。1個コマンド大隊の他には、KTOロソマク(フィンランドのパトリアAMVのポーランドライセンス生産品)で機械化された3個機械化歩兵大隊(第1自動車化歩兵大隊「ジュシェフ」、第7マウントライフル大隊、(大ポーランド」、第15槍騎兵大隊「ポズナン」)が存在しています。
これに加えて砲兵火力としてチェコスロバキア製のDANA152mm自走榴弾砲を擁する第7騎馬砲兵大隊が存在しており、旅団に有効な火力を提供します。
しかし対空火力はソヴィエト製のZU-23-2対空機関砲を車載化したHibneryt自走対空砲とGrom携帯地対空ミサイルのみと少し不安が残る状況にあります。
第11装甲騎兵師団における旅団はこの3つとなっています。続けて隷下の3つの連隊について解説しようと思います。
一つ目はオーソドックスな砲兵連隊です。ボレスワビエツに駐屯する第23シレジア砲兵連隊はAHSクラブ自走榴弾砲を擁する第1大隊、WR-40ラングスタ多連装ロケット砲を備えた第2ロケット砲大隊、RM-70多連装ロケット砲を備えた第3ロケット砲大隊、そしてBM-21グラッド多連装ロケット砲を備えた第四ロケット砲大隊の四つの砲兵大隊を擁しています。なお第4ロケット砲大隊のBM-21グラッド多連装ロケット砲はWR-40ラングスタ多連装ロケット砲に置き換えられる予定です。いつまでも60年台の骨董品を使っていくわけにはいかないでしょう。(ロケット砲自体はBM-21グラッドと同じということは内緒)
二つ目はチェルビンスクに駐屯する第4ジェロナ・グラ対空連隊です。
2K12Kub地対空ミサイルを備えたレシュノの第1対空大隊、9K33Osa地対空ミサイルを備えた第2対空大隊、第3対空大隊、そしてGrom携帯地対空ミサイルを備える第4対空大隊、兵站大隊で構成されます。
最後はジャガンに駐屯する第11ロジェスティック連隊ですが、この部隊は後方部隊となっています。
保守大隊、輸送大隊、補給大隊、医療支援大隊で構成されています。
注意していただきたいのはこれはあくまで2022年2月現在の情報であることです。現在ポーランドでは新しい国防法の施行に伴い、軍隊規模を14万から30万に拡大している最中です。この大改変に伴い部隊構成なども大きく変化することが予想されています。現在は貧弱な対空装備も現在英国がCAMMを売り込んでおり、採用がほぼ確実視されるなどポーランド軍は進化を続けているのです。
今回のお話はここまでです。