神奈川県のご当地アルプス「相州アルプス」
登山日:11月19日
今回は、神奈川県のご当地アルプス「相州アルプス」です。神奈川県は他に「三浦アルプス」「鎌倉アルプス」が有名です。
相州とは相模国の別名です。長野県が信州と信濃の国、山梨県が甲州と甲斐国と言うようなものです。神奈川県横浜名物シュウマイで有名な崎陽軒の「崎陽」とは九州長崎のことですよ。
相州アルプスは、山域としては東丹沢エリアで、人工の湖「宮ヶ瀬湖」周辺の山域です。1,500m前後の塔ノ岳・丹沢山・蛭ヶ岳などの丹沢主脈「西丹沢」に比べ、東丹沢は700m前後の低山群となります。 今回は「革籠石山」→「仏果山」→「高取山」を低山縦走しました。低山ですがアップダウンが続き、岩場・鎖場などスリリングな場所もあり、それなりに楽しませてくれる山道です。
景観も西側には紅葉燃える西丹沢の山々と湖・相模湾が見え、東側には町田・相模原の市街地を見下ろし、遠くに筑波山も見渡せる素晴らしい展望です。紅葉まっただ中のベストシーズンですが、人も少なく静かな東丹沢の登山道でした。
登山口から終始、人工の湖「宮ヶ瀬湖」に沿って山道を歩きます。いつもはエメラルドグリーンの湖畔が有名ですが、今回は翡翠(ひすい)色に輝いて、まるで黄緑色の絵の具を流したような美しい輝きでした。ダム係員の人に伺ったら「今年7月には湖底が見えるほど干上がってしまったが、8月~9月の長雨や台風の影響で増水し濁ったのが翡翠色の理由。いつもは透明感のあるエメラルドグリーンなんだけどね!」とのことですが、私は翡翠色の方が山から眺めるには綺麗だと思いました。空の青さと、木々の紅葉と湖面の翡翠色のコントラストが見事でした。意外だったのは、この湖は、箱根の芦ノ湖をしのぐ神奈川県で一番の貯水量だそうです。見た感じそれほど広いとは思えませんが、渓谷を利用して作られたので水位が深いのが理由だそうです。美しい湖でした。
下山は「宮ヶ瀬ダム」に降りてきました。湖を維持しているダムです。2000年に完成した新しいダムで、神奈川県民の水道水や治水管理・発電などいろんな事に役立っており、関東周辺では群馬県のダムに次ぐ2番目の高さを誇るダムだそうです。そんなすごいダムとは思いもしませんでした。予定ではケーブルカーの「インクライン」でダムの下まで降り、バス停まで1時間近く歩くつもりでしたが、係員の人に小型バスで湖を一周しながら「宮ヶ瀬バス停」まで送って貰いました。おかげで本厚木駅まで、路線バスでゆっくり眠って戻れました。
今回の山旅は、順延したおかげで天気にも恵まれ、名物の吸血ヒルにも出会わず、紅葉のピークや翡翠色の湖面も美しく、ダム周辺をバスで遊覧でき、晩秋を彩る素敵な山旅でした。また、私たちの水道水確保や河川の氾濫を防ぐ治水など人工物のダムだけではなく、山々や樹木の自然環境の保水能力の大切さを改めて学んだ山旅でもありました。