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真冬の北海道歩き旅その22 【 宗谷岬より進路を南東へ】
41日目:宗谷の向こうへ
朝6時に起床。朝食を食べると共に、水を水筒へ補充し、ザックをパッキングする。
そう。いよいよ、宗谷岬の向こう側へ行く日が来た。
食事を早々に済ませ、ザックのパッキングを終えたら、次にソリの調整だ。
ソリに自分のザックを乗せて、ザックカバーを被せ、さらに上から3mmロープで固定。引ロープもハーネスに固定した。ソリの後ろには、以前使われていた引ロープを付ける。これは後ろの人間がソリの左右の微細な動きやソリの転倒防止のために役に立つかと思い付けてみたものだ。
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さて、準備は整った。本当の本当に名残惜しい。ここゲストハウスモシリパではいろんな思い出を作り、いろんな人達と出会い、そしていろんなことを感じて来た。そんなゲストハウスに出逢えて心から嬉しかった。さようならモシリパ。今度は、冬じゃない時にも来てみたいな!!
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9時30分、稚内駅よりバスで宗谷岬に向かった。岬に戻ると、そこはブリザードによりあるもの全てが凍てついていた。年末年始の穏やかな天気とは一変していて、これが本来の姿なのかと思うとゾッとする。と同時に、北海道の本質の片鱗に触れる事ができていると嬉しがる自分もいた。身が引き締まる。
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午前11時、宗谷岬を出発。日本海側が吹雪で荒れているのに対し、オホーツク側は比較的穏やかな印象だ。とはいえ、風が弱いからといって無い訳でもない。時折、右からくる強風に煽られながらも黙々と南下した。
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ソリには水筒や食料、テントなどの重い装備を積んでみた。圧雪路で機動力のあるソリなら、多少重くてもかなり楽だ。そしてもう一方の相方さんのザックには軽いものを詰めてある。これにより以前よりも歩行ペースがかなり上がった。Cさん、マジでありがとう…!
目的地の近くまで来ると、遥か遠くの雲が少し紅くなっていた。北海道にいると、時折こういう風景を見せてくれる。
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この日はこの海岸線の、村の隅っこにテントを張り一夜を過ごした。
42日目:コンビニという名のオアシス
5時半に起床。外気は-6度と少しだけ寒いが、風はなかった。昨晩は少し雪が降ったらしく、テントの外にあったソリやザックは雪の中に埋もれてしまっていたので引っこ抜いた。
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テントをいち早く撤収し、出発する。日が出ると風が吹き始めたが、天気はそんなに悪くもなさそうだ。しばらくは沿岸に沿ってまっすぐ進む。みぎてには60〜80mほどの小高い山が並んでいた。すると、その山の斜面に黒い点々が見える。
エゾシカの群れだ。
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驚いたのは、その圧倒的な数だ。自分もこれまで鹿の群れには何度か遭遇しているが、ここまでの規模は見た事がない。
さらに先へ進むと、強烈な地吹雪に遭う。頬に刺さる様な冷たさだ。風を凌ぐ場所もあまりなく苦戦を強いられたが、街に近づくと除雪された歩道もあって助けられた。
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そうして着いたのは猿払村の市街地だ。今日はここの道の駅で泊まる。途中、コンビニがあったので寄ってみると、コンビニの前を除雪する除雪車がいたので会釈した。
コンビニで食料を調達し、ついでにその日の昼ごはんも買った。すると、その店の店員と話すおじさんにお話しされた。旅のことを話すと、実はその方が先ほど除雪していた方だったらしく、さらにはこの店のオーナーというではないか。そして弁当を表で食べますというと、「いいよ、中で食べなよ」と言われ、瓶ケース2つと箱を出してきた。このコンビニにはイートインスペースはなく、即席のスペースを用意してくれた!その温かさには感謝しかない、が店内の視線が少し気になるところだった。
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そうして道の駅に到着。隅でテントを張り、そこで一夜を明かした。
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