真冬の北海道歩き旅その24 【警報】
45日目:バス停ビバーク
朝の7時、起床。お部屋は少しひんやりしていたが、布団は暖かった。
朝食には手作りの食パンと、スープと、簡単な料理。これでいい。これがいいのだ。
美味しい朝ごはんを食べ終わり、しばらくして出発。オーナーさんがお外まで見送ってくれた。トシカの宿、忘れることのできない素敵な宿の一つとなった。
昨日に少し寄り道したクッチャロ湖に寄ってみた。そこには水鳥観察館という施設が湖畔にあり、さまざまな剥製や湖畔に住む動物などの資料、湖に飛来する白鳥の事などが展示してあった。窓の外を覗くと、風に耐え忍ぶ白鳥たちとカモたちがちて、近くで観察することもできた。
そうしてまた道の駅に戻り、パンを食べたら浜頓別町を発った。強烈な西風。今夜はやたらと荒れるらしい。
ひたすら、まっすぐに伸びる道を進み南東へ向かう。時たま、甲高い音を上げながら右から強烈な風と地吹雪が右頬を突き刺してきた。
次第に雪も降り出して、目的に地に着く頃には暴風雪となっていた。
これはやばい…テント泊のつもりだったが、至急バス停泊に変更。奇跡的にバス停があってくれてとても助かった。さながら避難小屋のように感じる。
中を簡単に掃除し、最終のバスが過ぎたらテントを張る。風が凌げるだけでもとってもありがたい。窓には雪が打ちつけてゆく。明日はもっと雪が降るようだ…。
46日目:大雪警報
「ゴゴガゴゴッ……」という音に目が覚め、バス停の床が揺れた。どうやら除雪車が目の前の歩道の雪を掻いてくれてたらしい。
雪は昨晩から降り続いていた。とはいえそこまでの積雪はない。問題は地吹雪が相まって視界が悪いことだ。
初っ端からトンネルが待ち構えていたので、ソリをザックに固定し背負って移動。トンネルは日本海の増毛以来で懐かしく感じた。とはいえあの時のような3〜4キロもあるのとは違い800m程度。サクッと進む。
相変わらずに降り頻る雪にはうんざりしていた。視界も悪く波の音も聴こえない。あるのは雪煙と轟音。いい加減にしてくれ…。
途中、バス停の中で休憩しようと近づくと、バス停が雪に埋もれてしまっていた。必死に掘り出していると、一台の除雪車が近づいてきて、なんと突然除雪してくれた。タバコを咥えながら、ショベルに雪を乗せて颯爽と去っていったおっちゃんには敬服した。かっこいい…!ありがとう!
ニュースを開くと、なんと警報が発令されていた。「大雪警報」と赤字で書かれたその文字に驚愕。しかし、このまま動かないわけにもいかないので慎重に先へと進んだ。
そうして到着したのは枝幸町にあるホテル「ニュー幸林」。明日も強風らしいので、このホテルで連泊することにした。
この日は特にしんどい1日だった。靴下は汗でびしょ濡れになり、指先はかじかんで、頬の感覚はなくなる…とにかくクタクタ。
47日目:停滞
朝7時ごろ、ムクっと目を覚ます。
ホテルの外を見ると、存外視界は良く風も穏やかだった。しかしこの後はまた荒れ模様。大人しくホテル「ニュー幸林」で連泊することに。
せっかくなので、ホテルのレストランに行ってみた。そしてこのご飯もまた美味しくて…。
「帆立丼」を注文すると、揚げたホタテを卵でとじていた物が来た。これがまた絶品なのだ。ふわふわででかいホタテに幸せを感じる。
天候が悪くホテルを出るのも億劫だったので、食材だけをさっと買って戻る。
シュラフやテントを干したり、靴の内側やソールを除菌スプレーしたり、食器や服を洗ったりなどもした。これからもテント泊がそこそこ続くので、装備のメンテナンスは時間があれば常に行っておきたいものだ。
そんなこんなで停滞日も終わった。明日からどうやら天気も持ち直すらしい。さてどうなることやら…