代償
この世界では何かを得れば何かを失う。
例えば、何か欲しければお金を払い、知識が欲しければ時間や労力を費やす。
他にも何か犯罪などを犯したら懲役刑や罰金刑などで処される。
どこかのヒーローだって使えば自分の寿命を縮ませるような必殺技だって持っている。
世の中何も代償無しに生きていくなんて不可能である。
恋愛だって同じだ。
デートだって全てが無料な訳では無い。食費、交通費、交際費など色々とかかる。
そして、不倫をした時は慰謝料や養育費なども払う。
話は変わって、私の今付き合っている男は不倫をしている。興信所に頼み証拠を掴んでもらった。そして自分の目でハッキリと見た。見知らぬ女と高級フレンチを食べた後にホテル街へ向かうところを。
恐らく別れろと言ったって「慰謝料払えばいい?幾ら?」と言われるだけだろう。なんせ彼は大企業の御曹司なのだから。
彼にとって金を払うというのは何も痛くない行為だろう。何もしなくても資産は増えていくだけなのだから。そして最悪困っても親に頼み込めば何とかなるからだ。
そこで私は彼に制裁を下すことにした。二度と親に頼ることなく自分の力て生きていけるように。そして何かを得れば何かを失うということを教える為に。
数ヶ月前までは緑で生い茂っていた木も赤や茶色の葉に変わり落ちている葉も何枚かある季節になった。
まずは彼が独り立ち出来るように親から。
彼の両親と私の3人で食事がしたいと呼び出した。勿論、彼が浮気の時に使った高級フレンチレストランにだ。
食事が終わった後、彼の両親2人に青酸カリを飲ませ彼の父の持っている山に運び小屋に遺体は置いておいた。
翌日世間は大騒ぎ。まぁそうだろう。
そして成行きで彼が会社を継いだ。
社長になった彼は忙しくなり、不倫なんかしている暇は無くなった。しかし私には構ってくれた。
なかなかやるじゃない。
そして社長業も落ち着き寝る時には毛布が手放せないような気候になった。
今日は彼自身に制裁を下す。不倫相手の女は既に殺めており、遺体は海に投げ捨てておいた。
今日も例のフレンチレストランに彼を呼び出した。
最初は楽しく食事やお酒を楽しんだ。
そしてコースも食後のデザートに差し掛かった時私は彼の浮気の証拠を突き出した。
アルノ:はい、これ。この行動についてはどうお考えで?
〇〇:え…こ、これは…
アルノ:いいの、全部わかってるから。それに彼女からの証言もとれてるから。
〇〇:ごめんなさい!慰謝料は払うから許してくれ。
アルノ:いいのいいの。さぁ今日はこのフレンチを楽しみましょ。
そしてデザートまで食べ終えた。食事代は彼が払ってくれた。
店を出た後、一瞬の隙をついて彼にスタンガンを当て気絶させ、例の山に運んだ。
まだ気絶している彼の身体をガソリンを染み込ませた毛布で巻いて紐で固定した。
1連の作業が終わった頃彼は目を覚ました。
〇〇:!!!なんだこれは!放せ!
アルノ:私が慰謝料くらいで許すと思った?貴方は根も心も腐ってる。だから変えてあげる。あと、部屋を見渡してごらん?
〇〇:!!パパ!?ママ!?何でここに!?
アルノ:それは勿論私が殺したからだよ。両親がいなくなれば貴方は変わると思った。でも何も変わらなかった。仕事は秘書に押し付け自分は勤務中にスマホゲーム。そして何かあれば部下に責任を押付け金で解決。少しは変わると思ったのに…
〇〇:分かった、君の望みは何だ
アルノ:とりあえずあなたの会社を私に頂戴。話はそれから
〇〇:わかった、君に会社を譲ろう。だから解放してくれ。
アルノ:それは無理なお願いね。あなたは今ここで死ぬんだから。サヨナラ。
私はマッチ棒に火をつけ彼を拘束している毛布に投げた。
みるみるうちに火は燃え広がって言った。彼の悶え苦しむ声が最高に気持ちよかった。
私は車で下山した。
この季節はとても乾燥しているし落ち葉も沢山落ちている。火はどんどん山を燃やしていった。
そして私は正式に彼の会社を継いだ。そして継いで2週間で会社を畳んだ。
彼の実家も全て取り壊し彼の物は全て捨てた。
そして私の彼への制裁は終わった。
アルノ:アルノ、同情はいらないの。
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