死願者
この世は不平等や屁理屈、理不尽などで溢れかえっている。
男尊女卑、人種差別、親の立場や地位による大人からの扱いの差、家の裕福度など挙げだしたらキリがない。
累進課税だなんだと色々やって不平等を無くそうなんて言っていたりするが、そんな行動で平等になった覚えは1つもない。
そんなものは上の者から搾取して下の者には配分されることは無い。
では、搾取した分はどこに行くかというと、その搾取した人達や機関の懐に入っていく。
何が平等だ。
ただ、持っているものから奪うだけ奪って、持たないものには配らない。
ただの腹いせでしかない。
だから私はこんな世の中に嫌気がさしていた。
私の名前は井上和。
営業職で働くただの会社員だ。
上司:ここの資料また間違ってるぞ!
和:すみません。
上司:全く、これだから貧乏人の高卒は。
私の家は貧しく大学に行く余裕なんてなかった。
親は何とか私を高校までは出させてくれた。
私は高校卒業と同時にこの会社に就職した。
弟の学費もあるので私は毎月実家に少し仕送りをしていた。
幸い、私には趣味無いしも休日に遊ぶ友達もいないので問題はなかった。
一方で…
上司:やっぱり桜ちゃんはよく出来るね!
桜:ありがとうございます!
彼女は川﨑桜。
この会社の専務の孫のようで、コネ入社で入ってきた。
専務の孫だからか、上司達は彼女に何も言えない。
彼らに出来るのは彼女を褒めることだけ。
怒ったりなんかしたら自分の首が危ういからだ。
この無能共が。
ただ会社の重役の孫だからってそんなに依怙贔屓する必要も無いしされる必要も無いと思う。
というか絶対にそんな必要は無い。
こんな奴らばかりだからこんな世の中になるんだ。
そしてある日彼女が重大なミスを犯した。
会社にも大きな損害を与えかねない。
しかし上司達は彼女のミスという事でもなく、自分のミスとでも無く、私のミスとして上に報告した。
意味がわからなかった。
こういう時は上司が部下を庇うものでは無いのか?
結局その事案は私のミスという事になり、私の評価は大いに下がった。
そしてある日の夕方、私は彼女を会社の入っているビルの屋上に呼び出した。
桜:いきなり私を呼び出して何の用事?
和:さよなら
桜:?……ウゥッ!
私は彼女の首を隠し持っていたロープで絞めた。
そして間もなく彼女は死んだ。
私はロープだけ持って彼女の遺体はそのままに去っていった。
もちろん即刻大事になった。
しかし、証拠が無かった為専務は私の上司の責任とし上司を離れた地方の支店の平社員として左遷させた。
これで私も仕事がしやすくなると思ったが、次の上司も前の無能と変わらないような無能だった。
自分のミスは部下になすり付け、部下の手柄を自分の手柄とした。
もうこの会社が嫌になった。
結局下の者が何をしても上の者には響かないし、上の者は見向きもしない。
結局自分が1番大事なのだ。
自分を一番に考えるというのは間違いでは無いと思う。
ただ、その次には周りの事も考えて欲しい。
あの上司達は自分以外のことは何も考えていない。
自分の評価、出世、キャリアなどそんな事しか考えていない本当の無能のクズだ。
昔からそうだった。
小学生の頃、家が貧乏というだけで虐められた。
先生に言っても、虐めの主犯格がヤクザの家系であった為強く言えずに、結局虐めは無かったことにされ誰も救いの手を差し伸べてくれる人は居なかった。
だからもう私はこの世から消えようと思う。
こんな世界に生きていたっていい事は一つも無い。
いっその事死んでしまった方が楽だ。
それに私が死んだところで悲しむ者は居ない。
私の自殺を止めようとする者がいたとしても、どうせ私の事なんか考えていない。
私を助ける為でなく、他人が自殺するのを阻止したという功績と称賛の声が欲しいだけだ。
生きてるより死んだ方が楽な事だってある。
生きている方が辛い。死んだ方が地獄から解放されて楽になれる。
生き地獄ってやつだ。
自殺は悪い事では無い。
自分が楽になる方法の一つなのだ。
だから自殺した人を責めないでもらいたい。
和:さようなら、お父さん、お母さん。先立つ不幸をお許し下さい。
私はそう呟き会社の屋上から飛び降りた…
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