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絵本日記DAY15 もりのへなそうる
これは絵本というよりは、幼年童話。年長さんくらいから聴くとたのしい読みものかなと思います。
兄弟が森を探検するお話なのだけど、おとうとくんの言い間違えがもう3歳くらいの子そっくりで、これは作者の渡辺茂男さんの近くにはだれかモデルがいたにちがいない、と私はにらんでいます。
この童話のキーワードは、ふしぎないきもの•いちごのサンドイッチ•たらこのおにぎり、です。
どういうことかというと、以下に引用します。
おかあさんは いちごを とんとん、とうすくきって、それに はちみつを とろとろとろっと かけたのを、パンに はさんで、サンドイッチを つくってくれました。
この場面で、一緒に物語を聴いていた女の子とにっこり目が合いました。マスクの下の口は、美味しそう〜!!って、私たち言っていたと思います。こういう、子どもと通じあう瞬間が、たまらなく愛おしいのです。
それから、
おかあさんは、たらこをやいて、それを ほぐして、ごはんにまぜて、きゅっきゅっきゅっとにぎって、ちいさな おにぎりを つくりました。
おかあさんのおべんとうをリュックサックにつめて、大いなる冒険をもとめて森へでかけて行くなんて、このきょうだいくんたちはなんて幸せなんだろう。
勇ましい気持ちになるに決まっています。
おいしいものを背負っているし、ひとりじゃないし、家ではお母さんが待っているんだもの。
それからきゅんとするのは、このおとうとくんがおにいちゃんが大好きすぎる、ということ。
ころんでおしりをうって、いたくていたくて泣きたくなっても我慢します。だってここで泣いたら、おいていかれるかもしれない、とおもったから。
私の弟ふたりも、こどもの頃よく探検にでかけていたけど、こんなふうだったのかな。
おとこのこの世界って、よくはわからないから、やっぱりちょっとうらやましい。
森で出逢うへなそうる、という不思議ないきものが、家路に向かうきょうだいたちの後ろ姿を、じっと見送るのがいつもせつない。
読み終わったら、おとなのあなたも、おかあさんにおにぎりやサンドイッチをつくってもらいたくなるはずです。
わたなべしげお 作
なかがわりえこ 絵
福音館書店