10/11らへんの週報#珈琲と葡萄と時間のはなし
こんばんは。もう日曜日がいなくなってしまいそうですが、みなさんはどんな週末をすごしましたか?お仕事だった方も、おつかれさまでした。
私はきのう、花巻にいる友人に会いに行ってきました。今週は、そこで聞いた忘れたくないおしゃべりと、できるだけ長く口のなかに残しておきたい味を綴りたいと思います。
珈琲とシャインマスカットとサワークリーム
花巻市笹間にある、「田葉子屋」さんで珈琲とシャインマスカットの販売会があると聞き行ってきました。出展されていたのは大迫町というところにある、六根珈琲さんと高畑農園さん。午前中私はいったい何をしていたのか、着いたのはイベント終了の30分前の15時。シャインマスカットなくなる!という友人からのメッセージも読まずごきげんに車をとばして着いてみると、もうシャインマスカットは完売でした・・・。
大粒のシャインマスカット。なんと一房、五千円!ぶどうひとふさ、ごせんえん・・・。
手間暇かかっている愛情マスカットの重み、およそ1キロ。牛乳パック一本分の重さに耐えうる木もすごいなぁ。
この日、二房完売しました。にぎやかしのつもりだったんだけど、と高畑農園さんもびっくりしてた。ひとつは先輩の新築祝いに、ひとつは法事で親戚が集まっているから、と。こんな宝石もらったら嬉しいだろうなぁ。しかもものすごく美味しい。
摘粒という、粒の間引きをしてここまで大きくするのだそう。房の完成形を予想して上手く粒を摘まないと、一粒が大きいぶん隙間ができ、一気にランクが下がってしまうのだと高畑さんが話してくれました。
両側に刃がついている葡萄カット用のハサミも見せていただいた。葡萄のつるを切るのについ夢中になると、手をよく切ってしまうの、と。
生クリームとヨーグルトだけで作ったという自家製サワークリームと、マスカットを全粒粉のパンにのせて試食させてくれました。
とっても綺麗な色の粒で、皮がついているのかどうかわからないくらい薄い。そしてあまい。このテーブルの前に立っているのは危険でした。つい手が黄緑色めがけて伸びてしまう・・・。
そして、六根(目、耳、鼻、舌、体、心)にしみ渡る珈琲をお届けしたいという思いから名付けられたという六根珈琲。無農薬で、しかもフェアトレードの珈琲豆。美味しいに決まってる。
山伏のひとは「ろっこんさんげ(六根懺悔)」と言って身を清めながら山を登ったそう。「ろっこんさんげ」、が「どっこいしょ」の由来になったとも言われているみたい。
六根珈琲さんでは、豆を50度のお湯で洗っているのだそう。拝み洗い、と川村さんはおっしゃっていた。どうりで、こんなにつやつやと光る珈琲豆を見るのははじめて。フルーツみたいに甘みがあるよ、豆を挽いてもらう前に一粒かじってみた。ほんのり甘みがあって、お菓子みたいでした。
川村さんの珈琲豆に対して使う言葉もすごく好きだった。
「生焼けの酸味はなくて、豆本来のレモンような酸味だよ」とか、お客さんと「(飲む前に)その都度挽いたほうがしあわせだよね」「うん、しあわせ」、とか。
ドリップのしかたも、目からうろこでした。ドリッパーにしずかにお湯をかけると、粉がチョコレートのスフレみたいにふわりと膨れます。その表面が乾いたら、またお湯を注いで抽出する。それもたった、100㏄だけ。
一番煎じ、二番、三番、と飲み比べてみましたが、どんどん味が悪くなっていくのがはっきりとわかりました。この一番煎じの100㏄だけを、3倍のお湯で割ってのむのです。
私は珈琲を毎日ぜったいのみたい!と思うくらいすごく好き、ってわけではないけれど、やっぱり一日のなかでのみたくなる瞬間はあります。そんなとき、せっかくなら美味しい珈琲をのみたいな、くらいの気持ちでした。
だけど実際につくられている背景やそこに対する愛を知って、美味しいドリップのしかたをきいて、何よりほんとうに、今までで一番美味しい珈琲をのんだら、気持ちが変わるのは当然のことです。
川村さんは、あれこれ質問しまくる私に、丁寧に答えてくれました。
手動でくるくると豆を挽く機械、買おうと思います。
のみものを飲む、その行為のためだけに、ほんのり苦くてあの茶色い香りに包まれるという行為のなんと豊かなことでしょう。
ゆっくりゆっくりドリップするあの時間は、心にも次の予定までにも余裕がなければぜったいにできない。だから、豊かな時間なのですね。大坊珈琲の大坊さんがおっしゃっていたことが、前よりもすこしわかる気がしました。
バランスの良いコロンビアは大の珈琲好きの祖母に、スペシャルだというマンデリンはいつも珈琲をくれる英会話のカナダ人の先生に。自分用にはペルーという品種のものを、豆のまま買いました。
つくっている農家さんのお顔を見て、生の話を聞く。葡萄や豆をうれしそうに持ちかえるお客さんたち。そして私のくちのなかは、シャインマスカットとサワークリームの甘み、そこにほんのり苦い珈琲をたす。とっても贅沢でたのしい時間でした。
もし珈琲豆にはこだわっている!というかた、葡萄はもうそろそろおしまいだけどほんとうに美味しい果物や野菜をたべたい、というかたは、花巻の大迫産直センターアスタ、というところに来てみてくださいね。私も今度、行ってみます。
それでは今週はこのへんで。
あったくして、おやすみなさい。また来週。