JTCC 2022 富山大会 No.2 Work Station ワークステーション-1
さてここからは樹冠の中でどのようにして4つの課題をクリアしてポイントを稼ぐかということになってきます。4つの課題とはハンドソーステーションが2か所、リムトスステーションが1つ、プラムボムステーションが1か所の合計4か所の課題をクリアして地上に降りてくる。という設計になっています。
ハンドソーステーションとはベルをハンドソーで鳴らすことを求められる場所。このハンドステーションは2か所ありました。ハンドソーステーションでは丁度枝を剪定する時のようにベルのそばまで来たらランヤードで身体を安定させてベルをハンドソーでタッチすることを言います。当然ベルを鳴らす際にはコールをかけなければならずこれを怠ってしまうと減点となり繰り返されると失格になってしまいます。仕事でもそうかと思いますがいきりない下のグランドワーカーさんたちの様子やチームの状況を考えずに枝を落としてしまうと危険ですよね。作業する前には必ず声を掛け合いますよね。安全を確認してから声をかけて反応をうかがって下の様子が良ければ初めて作業を始める。それを競技にしているよくできた競技だと本当に感心します。
次にリムトスステーションです。これは伐った枝を安全に目的の場所に入れられるかどうかそれを点数化するステーションです。今回のJTCCでは一番上に課題がセッティングされていました。
そして最後のプラムボムステーションですがこの課題は枝先にぶら下がっている振り子を出来るだけ下げずにつまり枝に体重を出来るだけ載せずにベルを鳴らすことが出来るかを点数化した課題になります。荷重をかけすぎてしまうと枝先の振り子が下がってしまいポイントを稼ぐことが出来ません。木や枝に出来るだけ負担をかけないで作業してくださいという木を守護るツリーケア―、アーボリストらしい課題だなと感じます。
以上4つの課題をどのように安全に効率よくこなしながら点数を稼ぐかということですが、主に次のような点でそれぞれのジャッジが点数をつけていくことになっています。
A)墜落防止やワークポジショニングのシステムにおいて常に緩んだ状態になっていないか? これについては安全でなければならないのでロープが緩んでいると不安定で墜落や落下の危険性がありますよね。しかしプロの世界ではロープが多少緩んでなければ動きにくくスムーズに効率よく動けないという感覚があります。そこの微妙な感覚は選手もジャッジもセンスが求められてくるかと思います。レクリエーション的な感覚で判断されてしまうと本当に動きにくくなってしまい、効率よく綺麗な動きが出来なくなってしまいます。ですのでそこのところはしっかりプロとして危なげなく安定しているということを分かって判断してもらえればいいかなと思います。
B)ロープを管理されているか? 樹幹の中を動いているとロープがあっちへいったり、こっちへいったり枝に絡まったりして場合によっては管理不足で枝を折ってしまうことにもつながってきます。しっかりロープを管理し、丁寧に取り扱うことはクライマーの安全な作業や作業管理の向上だけでなく樹木を生き物として大切に扱うということにもつながってくるのではと私は考えています。
C)タイインポイントやリダイレクトの位置は状況や作業箇所において好ましくセットされているか? 課題の箇所においてはクライミングアンカーの位置をより良い箇所に変更したり、リダイレクト(方向転換)といわれることをした方が良いこともあります。ぶら下がるポイントを変更することでより安定して安全に課題をこなすことが出来るからです。
D)課題を行う際に自信に満ちた姿勢やバランス感覚があるか? 絶えず時間が気になりドタバタして、小枝を折ったり、ロープが正しく管理されていなければ不安定な行動としてその選手の印象はよくありませんよね。自分のプラン通りに進行していればおのずと慌てる必要はなく心も身体もスキルも美しく綺麗に安定感あるようなパフォーマンスにつながりそれが結果として自信があるように感じるものです。まさに心技体が必要な競技といえるかもしれませんね。
E)作業プラン全体、ルートの選択、ステーションからステーションへのコントロールされたムーブとなっているか プランは適切か、全体として無駄がないか、管理されながら確実に次の行動に移せているかなどプランや大きな枠での捉え方の評価ですね。無駄のない動きやより良い計画ととなっているかなど
F)ステーションを正確に完了させているか? やはり課題はしっかりこなさなくてはなりません。安全に確実にこなしながらできれば美しく、かっこよく、模範となるようにつなげていきたいですよね。
などなど以上の視点で5人のジャッジがポイントを付けていくんですね。実によくできていると思いませんか?
次回はワークステーション-2でお会いしましょう!!
さぁ今日はこの辺で
With Trees With Forest With Happy And Smile.