バスク地方のシードルの原料 - 醸造用リンゴは渋くて食べられないって本当?
スペイン・バスク地方でシードルの原料になるリンゴはどういうものか、気になりませんか? ほとんどの品種がすごく渋かったり、酸味が強すぎたり・・・、これを喜んで食べる人はいないでしょう。しかしこの渋さはタンニン。ワインと同じく、しっかりとしたボディを持ち、食事の脂をスッキリと流すシードルが生まれる秘密でもあります。
シードルはたくさんのリンゴ品種をブレンドするお酒
シードルは、アルコール度数が3~7%とビールに近いため、様々な料理と相性が良く、非常に飲みやすい飲料であることが特徴です。味わい深く個性的なシードルをつくるために、甘み、ほろ苦さ、苦み、酸味という4つのカテゴリーの果汁を生み出すリンゴを、少なくとも5種類組み合わせています。20種類近いブレンドも珍しくありません。
リンゴ果実の苦さはボディ、甘さはボリューム、酸味はバランスというように、様々なリンゴ種のブレンドはシードルの味に奥深さと広がりを実現します。ここではスペイン・バスク地方のイサステギ・シードルにブレンドされているリンゴの一部をご紹介します。
リンゴの種類・説明
スペイン・バスク地方のイサステギ・シードルにブレンドされているりんごの代表の3種類をご紹介します!
ヘサミーニャ(Gezamiña)
色は赤系で、香りの少ない、ビター系のリンゴです。とても渋く、これを喜んで食べる人はいないでしょう。しかしこの渋さはタンニンで、ワインと同じく、しっかりとしたボディを持ち、食事の脂をスッキリと流すシードルが生まれる秘密でもあります。生産量が多く、バスク地方の主要な品種のひとつとなっています。
ウルテビ・チキア(Urtebi Txikia)
淡い色のビタースイート系の品種です。少し平べったい形をしています。Txikia = Small という名前の通り、小粒なのが特徴です。酸味は強いものの、それほど苦くはありません。バスクシードルの爽やかな酸味を表現するのに使われます。
エレジル(Errezil)
バスク地方で最も生産量が多いシャープ系の品種です。少し緑がかった茶色をしています。とても酸味が強いのですが、充分な果糖を含んでおり、ジャムやスイーツにも使われます。発酵させると柔らかな風味になるので、シードルづくりには欠かせません。エレジルは果実をつけるようになるまで10年以上かかると言われています。シーズン後半の11月になってから収穫される晩成種でもあります。
バスク地方のリンゴだけでつくったシードル協会のPRビデオ
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