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サッシー・シードルはなぜ砂糖を加えていないのに甘みがあるのか
フランス・ノルマンディ地方のシードルは砂糖は添加されていません。けれど、リンゴの果実の甘みが感じられます。なぜならば、フランスのシードルの伝統的製法で作られるからです。では、その伝統的製法 とはどういった製法なのでしょう。この製法にこそ砂糖無添加のフランス・ノルマンディ地方のシードルの甘みの秘密が隠されているのです。
フランスの伝統的なキーヴィング 製法で甘みを残す
*キーヴィング (keeving) 製法 はフランス語ではデフェカシオン([仏]défécation)といいます。以下キーヴィング製法 と記載。
自然の力に任せシードルを完全に発酵させると、糖がすべて発酵して辛口になります。では人工的に甘味料の添加をしないとすれば、自然な甘みを十分に持つシードルをどうやって作るのでしょうか。
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キーヴィング製法
現在の微生物学の応用ともいえるキーヴィング製法 が何百年も前からフランスでは伝統的に行われてきました。キーヴィング製法 はイギリスでは1600年代半ばからごく普通に行われていましたが、シードルに砂糖や甘味料を加えるのに比べて手間やコストがかかるため、結局は消滅し、一部シードル生産者が現在復活させつつあります。
フランスでは、この生産工程がイギリスよりもうまく維持され、広く行われています。 キーヴィング製法をするシードルには、リンゴ果汁の酸度が高すぎると、後の工程で必要な酵素の活動を阻害するので、ビタースイートのリンゴ種が主に用いられます。方法としてはリンゴを粉砕したものを、発酵が始まらないくらい低音の状態で一晩置きます。この低温浸漬により、果肉が酸化し、細胞壁が破壊されペクチンが果汁に流出します。
ちなみに、このペクチンが果汁に流出した状態をフランスでは、ル・シャボー・ブリュン(茶色の帽子)と呼ばれ、イギリスではフライング・リー(浮き上がる澱)と呼ばれています。 その後、タンパク質と結合したゼリー状の帽子の下から、また上澄みから、澄んだジュースを取り出します。
この取り出し、別の容器に移した透明な果汁には、もはや酵母が増殖するのに十分な栄養素が残っていません。つまりキーヴィング製法とは酵母の発酵を止めることです。そうすると生き残った酵母が活動を終えたときには、液中には果汁由来の糖分が残った状態で、適切に管理をすれば完全に発酵する事がありません。こうして途中で発酵が止まったシードルは酸化による深い色合いがあり、タンパク質の除去で明るく澄み、果汁由来の天然の糖分がたっぷり残ることで人工的に砂糖を添加することなく、とても甘い風味を持ちます。
この製法で作られたシードルをキーヴド・シードルといいます。 フランス・ノルマンディー地方のサッシー・シードルはキーヴド・シードルです。
関連記事:クラフトシードル – 発酵の世界と、醸造家こだわりの製法
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酸味の強いリンゴとビタースイート系の品種を中心に、22種類のリンゴをブレンドしています。フランスらしさをそのままに、現代的にスッキリ仕上げた無添加ナチュラル・シードル。
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スイート系と酸味の強い品種を中心に、18種類のリンゴをブレンドしています。赤い果肉のリンゴを使い、ナチュラルな甘酸っぱさが魅力です。
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12種類の地元産の洋梨をブレンドした、繊細で上品な味わいと、泡立ちの素晴らしさが際立つスパークリングです。
キーヴィング製法 のシードルとお料理のペアリングはいろいろ
リンゴ由来の爽やかな甘みのあるシードルはお料理の美味しさも引き立てます。フランス産だからといって、フランス料理だけではなく自由な発想でペアリングすると意外な発見があります。デザートとも相性が良く、日本のお料理とも合います。キーヴド・シードルであるサッシー・シードルとお料理のペアリングをいくつかご紹介します。
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A. チーズ・バーガーとサッシー・シードル・クラシック
ジューシーなチーズバーガーとサッシー・シードル・クラシックがおすすめです。 パテとチーズの旨味を引き立てます。ちなみにサッシー・シードル・クラシックとポテトチップスの組み合わせもおすすめです。
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B. クリームブリュレとサッシー・シードル・ロゼ
濃厚で甘く、カラメルのかすかな苦味が絶妙なクリームブリュレとは甘酸っぱいサッシー・シードル・ロゼ。甘酸っぱさがアクセントとなってクリームブリュレを更に美味しくします。
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C. ちらし寿司とサッシー・シードル・ロゼ
意外にも日本のちらし寿司とサッシー・シードル・ロゼととても合います。サッシー・シードル・ロゼは基本的に甘酸っぱいお料理とよく合うのですが、酢飯ともばっちり。食べてみると想像以上に相性が良くて驚きます。お互いの美味しさを引き立て合うベストな組み合わせのうちのひとつです。ぜひお試しください。
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D. レアチーズケーキとサッシー・シードル・ロゼ
甘酸っぱい味とよく合うサッシー・シードル・ロゼはもちろんレアチーズケーキともよく合います。レアチーズケーキに添えるベリー系のジャムと似たような作用があって、サッシー・シードル・ロゼの甘い酸味がレアチーズケーキのアクセントとなります。
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E. サッシー・シードルのカクテル
お料理とのペアリングとは少し違いますが、他のお酒と合わせて美味しいカクテルにもなるサッシー・シードルです。
カクテルブック(Classic)
カクテルブック(Expert)
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F. カマンベールチーズとサッシー・シードル・ロゼまたはポワール
柔らかいチーズの表面に白カビを生やして熟成させたまろやかなカマンベール・チーズにはサッシー・シードル・ロゼまたは洋梨のお酒サッシー・シードル・ポワールとの組み合わせも美味しいです。もともとカマンベールチーズはノルマンディー地方の産地です。ですので、ノルマンディーではカマンベールチーズとシードルの組み合わせがポピュラーなようです。ワインと合わせるのとはまた違う美味しさですのでぜひお試しください。
発酵の種類
アルコール飲料には欠かせない発酵。シードルには発酵の種類がいくつかあります。 冒頭でご紹介したキーヴィング製法のように発酵を止める方法もあれば発酵を止めることなく瓶詰めする方法もあります。ここでは発酵の種類を見ていきましょう。
発酵を1回で終わらせる「瓶内一次発酵」と、発酵を2回行う方法があります。多くは2回発酵させています。一次発酵をタンクで行って、二次発酵はタンクのほか瓶や樽など、生産者ごとに個性を出しています。
二次発酵について
一次発酵をタンクで行った場合、発酵中に入れた炭酸ガスは空気中に放出され、泡のないリンゴ酒になります(この状態で瓶詰めするものもあります)。リンゴ酒を再度発酵させて泡を作り出していくのが、二次発酵です。二次発酵は発酵させる容器の大きさで味わいが変わります。一般に大きい容器ほど酸化のリスクが少ないといわれます。瓶内二次発酵の場合、同銘柄でも容器の大きさで(375ml、750ml)では飲み比べると味が違うことがわかります。
瓶内二次発酵(Champagne方式)
リンゴ酒、糖分を瓶に詰めて瓶の中で二次発酵させる方法。加えた糖分(ショ糖、ブドウ糖、果糖、濃縮ジュースなど)を、瓶内で酵母が消化することにより、炭酸ガスが生まれます。一次発酵で減った後を再度添加したり、栄養剤も添加して、スムーズな発酵を手助けすることもあります。瓶詰めしたシードルは、8~14度の場所に置いて二次発酵させます。最初の1~3ヶ月で、発行自体は終了し、炭酸ガスが発生しますが、3ヶ月~1年おいて味が落ち着いてから出荷します。
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瓶内二次発酵方式でつくるクラフトシードルはヤーニハンソ
ヤーニハンソは野生の酵母だけを使ってシードルをつくる数少ない生産者のひとつです。地元の品種のみを使い、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で仕上げます。18ヶ月から30ヶ月の長期熟成を経たシードルです。
関連記事:エストニアの香り高いリンゴから生まれた、極上のクラフトシードル ・日本から遠い国エストニアの豊かな食事情とシードルとのペアリング
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バルト海沿岸のエストニアで、オーガニックのリンゴを原料に造られた、最高級シードルです。 この淡麗な辛口ブリュットは、果実味の中に、厳しい冬に搾ったリンゴの優しい苦みが心地良い逸品。 エレガントな泡は食前酒に最適です。
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エストニア原産の品種のみを使い、18ヶ月以上の長期熟成を経た中辛口ドライは、泡の余韻が口の中に広がる、 黄金色のシードルです。魚介類などに良く合います。
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やや甘口のスイートは、フランスのスタイルを意識した、スッキリとしたスパークリング。若干の渋みを残しながらも、口の中に豊かな果実の香りが広がります。
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やや甘口のロゼは、グラスから漂う、摘みたてのラズベリーを思わせるようなリンゴの皮の香りが特徴。酸味と甘みの見事なバランスは夏の日を彩ります。
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手絞りのエストニア産リンゴ天然果汁を熟成、シムコーホップを加えて、さらに瓶内で二次発酵させます。シムコーホップは、シトラスや松の木の香りを持つ、IPAビールでお馴染みのホップ。爽快感がリンゴの果実味を優しく包む、とても印象的なリンゴのスパークリングワインです。
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フランスの伝統的な製法で砂糖を添加せず甘みを残すキーヴィング製法 、キーヴド・シードルとお料理のペアリング、シードルの発酵の種類についてでした。リンゴから作られている醸造酒でありながら、発酵の方法で変わるシードル、お料理やシーン別に色々なシードルをお楽しみください。