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【小説】プレデター あさのあつこ著

将来の日本、どうか、こうなっていないでくれ、
やめてくれ、やめてくれ、もう見たくない、怖い。

と心で叫びながらも、”読みたい”という気持ちと、”読まなければならない”という気持ちで読み進めてしまう。

スマホが普及して、早10年以上経つ。はじめは、広告が自分用にカスタマイズされるのも、パスワードを携帯に覚えさせるのもケータイで決済出来るのだって、なんだか得たいが知れなくて、怖いものだった。けれども、その内恐ろしいほどのスピードで、その時のお得さや便利さに酔わされて、どんどん慣れていって。誰かやどこかの会社に自分を把握されているという環境に違和感を感じなくなってきている。
彼らは知ろうと思えば、私たちのパスワードも、住所も電話番号も、恋人遍歴も、友達との会話だって、全部把握する事が出来るのだ。
その事実になんとなく、気が付いているものの、なんとなく、問題がないという方向で考えようとしている。それが今の私たちだと思う。

だがしかし、まだ彼らに把握されていることで直接的に起こった問題はない。しかも便利だ。お得だ。けれども、本当にそれでいいのだろうか。

話は変わるが、私の母はどうしてもパスワードを携帯に覚えさせない。ケータイ決済も頑なに始めない。LINEもやっていないし、こちらの個人情報を伝える時は、電話か直接伝えてほしいと言う。正直面倒くさく感じたり、そこまでするかとは思うが、もしかしたら、母が正しかったと認めなければならなくなる日が来るのではないかとも思ってしまう。(ので反発できずにいる。)

自分の情報を人に提示すること、つまりは情報を把握されることに慣れた私たちは、徐々に管理されていることにも、慣れていくのかもしれない。そして、全てが掌握された時、この物語が描く、超格差社会になる準備は整うのだろう。

そうなったらどうなるのだろう。の世界を闇から覗ける作品。
あり得るかもしれない。こうさせちゃいけないと、考えさせられる作品。

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