異郷の地で日本人を求めて──ロコタビで旅のお手伝いが喜びに
ハリー・ポッターの風景が広がるスコットランド・エディンバラに長年住み、ロコとして活躍するキーコさん。ライフステージの節目に感じたふとした想いから、ロコタビと出会いました。「スコットランドとエディンバラを知ってもらうことが喜び」とロコ活動を楽しむキーコさんの、元気あふれるストーリーをご紹介します。
「ロコタビ」は、ロコ(海外在住日本人)が旅のお手伝いをしてくれる海外マッチングプラットホームです。2020年現在、ロコ登録者は5万人を超え。エリアは173カ国2450都市と世界の9割近い数に広がり、観光案内やビジネス通訳、食事のアテンド、現地サポートなど、旅先で「したいこと」を自由にオーダーできます。
雲を求めて移住したイギリス、そしてスコットランドへ
ロコに登録しているのは、老若男女さまざまな日本人です。旅行ガイド、通訳翻訳者、日本語講師、カメラマン、芸術家、現地法人のサラリーマン、会社経営者、海外駐在員、現地で子育て経験のある主婦、留学中の学生など、多様なバックグラウンドを持つ人たちの中から、ユーザーのニーズに合わせて自由にロコを選び、初めての海外の土地を「したいこと」の分野に詳しいロコに案内してもらうこともできます。
今回ご紹介するロコは、スコットランド・エディンバラ在住14年で、ロコとして活躍するキーコさん。
今からさかのぼること21年前、画家のご主人の「イギリスの雲をどうしても描きたい」というひと言で、家族そろってイギリス・ケント州に移住しました。娘さんの成長にともない、教育面や、ご主人の絵の題材面を考慮して、より都会のスコットランド・エディンバラに住み始めて14年になります。
エディンバラでは、娘さんが通う中高等学校にスタディスーパーバイザー兼日本語講師として就職し、2019年夏までフルタイムで働いていました。現在は日本語講師、通訳・翻訳、ロンドンの旅行会社に登録して旅行ガイドとして働くかたわら、ロコとして活動しています。
キーコさんは、どのような経緯でロコタビに出会い、ロコとして活動を始めたのでしょうか?
子どもの独立後に寂しくなり、日本人が恋しくてロコタビに登録
キーコさんがロコタビと出会ったのは、子育てが終わり心にぽっかり穴が開いてしまったときでした。
キーコさん 「娘が就職・独立して寂しくなっちゃったんですよね。それにエディンバラでは日本人が少ないこともあり、ずっとイギリス人社会で生活してきて、日本人が恋しくなりました。『日本の人に会いたいなぁ』と思っていた矢先、オンラインでロコタビを偶然見つけたんです。
ロコタビのことはまったく知らなかったのに、イギリスに移住を決めたときもそうだったんですけど、自分の中でピンと来たので勢いで登録しちゃいました」
ロコ登録にあたり、迷いや不安はまったくなかったと言うキーコさん。
キーコさん 「なんの迷いもなく、『やったー、日本の方と出会える!』って嬉しくなったくらいです。ロコタビのことはやっていればわかってくると思ってました。どんな人からどんな依頼があるかわからないけれども、とにかくやってみようという気持ちが強かったんですよね」
登録後は、エディンバラの街案内から周辺のドライブ観光、レストランの予約や食事同行、結婚式の打ち合わせ同行など、さまざまなロコ活動をされています。
キーコさん 「街の中心地は世界遺産がゴロゴロあります。街中から小さい山や丘も見えて、少し車で走ると自然がいっぱいあります。街ですが、いい意味で田舎でもありますよね。
長く住んでいるので『あそこもいいな、ここもいいな』と案内したい場所がいっぱい浮かんできて。今では回りたい場所が多すぎて、逆にまとまりがつかなくなっているくらいなんですよ。でも、そんな感じでコースを考えるのがまた楽しいんですね」
エディンバラはハリー・ポッターの街だけではなくスコットランドの政治の中心地で、小説家も多く生まれている都市ですが、日本ではまだ情報の少ない旅行先です。
キーコさん 「短い間でもスコットランドを知ってもらいたくて、フリーメイソンの話をしたり、ここであの小説家が執筆したんですよとか、適度にスコットランドにまつわる話をちりばめたりしながら案内しています。
話を聞いて興味を持ってくれて『そこ、行ってみたいですね』と定番コースから広がることもあります。せっかく来たのだから、ひとつでもふたつでも記憶に残ることを持って帰ってもらいたくて。スコットランドに対する想いが少しでも大きくなるようにお手伝いしたいんです」
ロコとしての責任と心掛け、ユーザーの興味に合わせた深い旅の提案
ロコ活動で、キーコさんが心掛けていることは──。
キーコさん 「ユーザーさんはお金も時間もかけていらっしゃるわけですから、貴重な時間をお任せいただくことに責任を感じるんです。私を頼りにしていただいてるのに『XXについては知りません』では済まされないですよね。
だから、依頼が入ったら集中して下調べをするんです。ユーザーさんに、興味のあることや行きたい場所を事前に聞きますが、やり取りからこの方が好きそうなことを考えて案内する場所を練るようにしています。
道順も年齢や体力を考えながらつくりますし、気になるお店は足を運んで下見をすることもあって。街の歴史もわからないことがあればすぐに調べて、準備をしっかりしてから当日に臨むようにしてます」
エディンバラではぜひ2泊して郊外の違う面も楽しんでほしいと語るキーコさん。お酒好きのユーザーからバーに行ってみたいとリクエストを受けたときには、地元ならではの穴場のスコッチウィスキー蒸留所見学も提案するそうです。
キーコさん 「意外と知られてないんですが、エディンバラから車で 1時間以内の場所にひとつだけ蒸留所があるんです。小さいながらも蒸留所の方たちが愛情を込めてウィスキーをつくっているので私も大好きな場所です。
ユーザーさんを連れて行くと『わざわざこんな田舎の蒸留所に来てくれて嬉しい』と毎回大歓迎されます。さらに、一つひとつ丁寧に説明を受けられるし、試飲もできるしで、最後はユーザーさんが大喜びされるんです。
そうすると、市内に戻ってバーで飲むときも蒸留所見学で知識を得たから味わい方が全然違います。ウィスキーというのは蒸留所の方たちの歴史をいただいているんだと思いながら飲むといっそうおいしいです。そんな感じで何かひとつでも興味を持って訪問されると、また深い旅になりますよね」
新たな試みとして、写真や絵、田舎の好きなユーザー向けに、画家のご主人の題材探しで郊外で見つけた風景を中心にした「良い景色巡り」を考えていると言います。
キーコさん 「スコットランドの景色は大きな岩山やはげ山が多くて、絵に描くとイングランドの緑あふれる風景にはない雄大な迫力があり、ぜひ見てほしい風景です。あいにくバスがなく個人では行きづらいので、私のドライブで案内してさしあげたいですね」
迷っているなら、登録しないともったいないロコタビ
キーコさんは、以前にストーリーでご紹介したユーザー・あやさんの、ワンオペ子連れ旅1日街案内の依頼を振り返ってこう語ります。
キーコさん「お母さんだけで小さなお子様をふたりも連れて旅行されるパターンは珍しいから印象に残っています。依頼が入ったときは本当に驚きましたね。大人ひとりで大丈夫かなと、もう全行程アテンドしたいくらい心配で心配で。
お子様が小さかったからいつも以上に道順は考えましたね。エディンバラは坂が多いので子どもでも歩けるかと不安でした。アイスクリーム屋さんのリクエストを受けたときは『あら、子どもらしくてなんて可愛い』と思いながら探しました。
当日は上の子が嫌だとも言わず、頑張って歩いてくれて。最後に疲れちゃったみたいで、『ママ、抱っこ』となりましたけど。それで、下のお子さんを私が抱っこして、久しぶりに赤ちゃんを抱っこしましたね。すてきなご家族を案内させていただき良い思い出です」
ロコタビについて「迷っているなら、登録しないともったいない」と考えているキーコさんから、登録を検討されている方へのアドバイスです。
キーコさん 「私はたくさんの日本人の方と知り合えるロコタビを楽しんでいます。エディンバラにいらっしゃる日本人の方たちのお役に立てるならこんな光栄なことはないです。
外国に長く住んでいるとその土地のことを教えられるようになっているはずです。ご自身が努力してなじんだ街で、今度は日本人のお手伝いができる喜びはきっとみんな同じだと思います。
ロコを始めるにあたり、心配もあるでしょうが考え出すと進めなくなってしまうので、えいっと勢いで登録してみていいと思います。ただし、規約をきちんと理解して、依頼が入ったら集中して準備をして当日を迎えることが大切ですね」
ご自身が暮らす海外の街で日本人旅行者のお手伝いをして喜んでもらえれば、ロコ活動の励みだけでなく、普段の生活のスパイスにもなるでしょう。キーコさんのように、ライフステージの節目にロコ活動を始める方も増加中です。
今後もロコタビを通して、世界中ですてきなストーリーが生まれていくことを楽しみにしています。
●他のロコの物語& ロコタビについて
▲こちらのマガジンでは、5万人以上のロコ(海外在住日本人)の方々をゆっくりご紹介していきます。
▲「ロコタビって何ができるの?」という方はこちらの記事をのぞいてみると使い方も含めてイメージが掴めるのでぜひオススメです。
HAVE A NICE TRIP!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?