★キャンピングカー生活まであと125日★「未来ワークふくしま移住セミナー②」
※今回は前回の記事の続きになります
※写真は撮影許可をいただいています
〜ゲストトーク〜
③瀧澤芽衣さん
神奈川県出身で、株式会社福島しろはとファームで働く会社員&1児のママ。
同社は大阪に本社を置く白ハト食品工業のグループ会社で、おいもスイーツの「らぽっぽ」やたこ焼きの「くくる」が有名。
現在は福島県の楢葉町にあるさつまいもの貯蔵庫が職場です。
この貯蔵庫は、実は3.11で津波に流されてしまった場所なんだそう。地域の復興という地元の人たちの気持ちも乗せて建てられました。
当時を知る人たちの想いを無碍にせず、一緒に作っていくという意識、お互いに理解し合うことを意識しているといいます。
瀧澤さんも前回記事で紹介した大高さんと一緒で「移住しようと思って」移住したわけではないといいます。
当時は茨城県の別拠点で働いていたのですが、結婚のタイミングで異動となりました。それがたまたま新設の楢葉町だった。
瀧澤さんが楢葉町に移住したのは2020年。9年経って未だに3.11の傷跡が多く残る状態で、唯一あるセブンイレブンでお昼時にずらっと並ぶ農業関係者の男性たちの中に紛れるのが緊張したといいます。
とはいえ福島の生活は自然いっぱいで本当に楽しいところといいます。
娘さんとの幸せいっぱいな写真も交えて川遊びやおいも収穫の様子を教えてくれました。
白ハトグループの紹介の後に、彼女のコンセプト「女性と子供を元気にしたい」という中身を紹介してくれました。
楢葉町は海に近い地域で、地震と津波と原発事故が一気に町を襲いました。
町民は全国各地に避難し、2015年に避難指示が解除されても田畑は荒れ、町には耕作放棄地が溢れた。
震災から10年が経ち、放射線量は大幅に減少したけど、町民が戻っても仕事がない、農業をしても風評被害で販売先がほとんどない。
そんな中で目指したのが「女性と子供のキラキラ輝く笑顔」だったといいます。さつまいも=女性と子供の笑顔のもとと考え、楢葉町をさつまいもの一大産地にすることで町全体のキラキラ輝く未来を世界中に伝えたい。そう語ってくれました。
楢葉町で実現したいこととして、
・安心安全で美味しいさつまいもを伝える、届ける
・さつまいもを通じた楢葉町の地域交流
・さつまいもと農業でSDGsの実現
そのために
・オリジナルブランドのさつまいも開発
・さつまいもの苗植会・収穫祭を開催
・畑でSDGs教室を開催
しているといいます。
そして話は「移住」について。
移住を目的にしない。
その場所で「どんな暮らしをしたいのか?」を明確にイメージすることが大事だといいます。
後で座談会にご一緒させていただいたのですが、瀧澤さんは出産子育てのタイミングと移住が重なって本当に苦労したといいます。
もちろん、結婚の時に両親にも福島への移住を考えていることを伝えると渋い顔をされてしまう逆境にも立たされました。仕事を辞めることを考えて欲しいと言われたとも。
楢葉町での女性スタッフも徐々に減ってくる。大変なことや不便なことがあったとしても、その土地での暮らし方、楽しみ方はきっとある。
楽ではない面も多いけど、それでも現在、福島で働き、東京まで出てきてセミナーで話を聞かせてくれる、そんな活動をしている瀧澤さんはかっこよく映りました。
④松延紀至さん
株式会社HANERU葛尾の代表として、2022年から海のない葛尾村でのバナエイエビの養殖を開始されています。
出身は福岡、育ちは東京だそうです。
これまでのキャリアは全て水インフラに関わるものだった松延紀至さん。2021年、福島県庁の方からの紹介で葛尾村と出会います。
葛尾村は10年経っても帰宅困難地域が残っていました。
超過疎地である葛尾村で新産業の創出と地域インフラ維持によって、新たな地域創生モデル事業の企画を立案すること、福島復興を目指すことを決意します。
バナエイエビなどの甲殻類は養殖の難易度が高い反面、稚エビから3〜4ヶ月で出荷が可能であり、現在は多くを輸入に頼っているため、食料自給率向上への貢献も期待できる。
松延さんと福島県、葛尾村はエビの養殖や水インフラの整備に留まらず、長期的な産業クラスターを構想しているといいます。
例えば、エビ養殖排水をアイスプラントや海ぶどう生産に活用したり、脱窒素により再利用する相互作用。養殖時の排熱からエネルギー自給に繋げるなど。
各方面に相互に作用し合える、エビ養殖と水を中心とした葛尾村のシナジーを生み出したいといいます。
さらに松延さんはSDGsにも言及。
食・水・エネルギー・防災の4要素を一体とし地域経済活性化を目論みます。
原発被害からの復興、そして新たな雇用創出、元住民と移住者で人口を増やす。そしてSDGsの「8働きがいと経済成長」「9産業と技術革新の基盤」「11住み続けられるまちづくり」達成へ。
松延さんの話では、産業目線での地域復興を明確に話して頂きました。一つのことを行うように見えて、実は色々な作用を相互に及ぼすことが可能である。足し算ではなく掛け算の、乗数的な可能性を感じさせてくれました。
セミナーを受けて
私は以前の記事でも書いた通り、東北に行ったことがありません。
なので今回のセミナーを通じて、さらに東北に行きたい気持ちが募りました。
震災の話や復興の様子と地域の人の暮らし、取り組み。希望と理想、絶望と現実。
セミナーで登壇された皆さんの生の話を聞いていて、泣きそうになった場面もありました。
それこそ私は「第三者」であり、直接を知らないけれど、同じ日本の中にいる民族としては「3.11」を見過ごす、忘れることはできません。
最初は移住とか暮らしとか、そういうテーマで聞いていたけど、私が興味を持ったのは復興、新たな仕事の開拓、地域の絆、といった所でした。
やっぱり、何かしたい。
力になることがしたい。
その場の人と共にやりがい、生きがいを感じたい。
今の自分にできることは限られているかもしれないけど、例えばこの記事が今でも復興途中の福島をはじめとする東北に関心を持ってもらえる機会の一つになればいいなと思います。
<<<あと125日>>>
寄り添える努力を