「いざ上陸 ザンジバル」アフリカ大陸縦断の旅〜タンザニア編⑫〜
2018年9月7日、偶然にもダルエスサラームに集まった同年代の男7人で、ザンジバル島へ行くことが決定。S氏はタンザン鉄道のチケットを入手し、11日に、私たちとザンビアまで移動することになり、M氏たちはザンジバル島に向かうフェリーのチケットを入手。1泊目のKANE HOUSEにスムーズに行くため、道のりや治安面、金銭面を調べた私たちは、明日に控える楽園に向けて、早めに就寝しました。
同年9月8日、午前6時半に起床。10回ほどアラームを設定をしたことが功を奏し、連日の妟起から無事に脱却。シャワーを浴びて朝食を済ませ、チェックアウトし、ロビーに続々と集まってくる日本人7人。午前8時すぎ、眠気覚ましも兼ねて、眩しいダルエスサラームを港まで歩きました。
道中で水や軽食を買いながら30分以上歩き、港に到着。約1時間前には到着した私たちでしたが、フェリー乗り場にはすでに数本の行列ができていました。従業員か分からない人に案内されるがまま、分断されながら列の最後尾へ。黒ずんだ屋根と壁に囲まれた、薄暗く風通しの悪い半屋内施設、大きな荷物を背負った熱気のせいで汗が止まりませんでした。来る途中に買っていた1リットルの水も残りわずかになってきた頃、ようやく先頭付近になった私たち。前の人たちがパスポートを窓口に見せ、荷物検査やらをされている様子を見ると、割としっかりした出国審査のようでした。
「同じ国やのに、こんなガッツリやるんですね。改札みたいな感じで行けると思ってました。」「てかH氏、イエローカードないのほんまに大丈夫ですか?」
「まぁ何とかなるはず。でも一応先行って。」
同じ列に振り分けられたH氏と前後を入れ替え、私たちの順番が回ってきました。パスポートの提示と一緒にイエローカードを見せ、簡易的なバックパックの検査という流れ。怪しまれると思い、H氏の方を見ないように意識しながら全行程が終了。ようやく後ろを振り返った私のすぐ後ろで、H氏は平然とバックパックを背負っていました。
「え?どうやって通過してきたんですか?」
「いやいや、普通に。」と笑いながら答えるH氏。
イエローカード提示の有無はおそらく職員次第。思えば、私が自発的に見せただけで、向こうからの要求はありませんでした。それに、私がH氏を意識的に見なくとも、連続した日本人が同じグループの一員であることは明白。イエローカードを持っている人が1人いれば、他は確認しなくても良いだろうと判断かもしれないという結論に至りました。
「結果的に順番変えといて正解でしたね。」
「タンザニア入国できてるんだから、大丈夫でしょ。」
「それもそうですね。」
他の列に並んでいた皆さんも無事に通過。もうフェリーの入り口は目の前。H氏の話で盛り上がりながら再度列に並び、9時半を待ちました。そこへ何人かの現地人男性がやって来ました。お世辞にも清潔とは言えないその格好から、職員ではない様子。
「荷物、俺らが運んであげるよ。」
「いらんいらん。自分で持つわ。」
「いやいや、重そうだし持つよ。君たちの荷物は大きいから、別で預けないといけないんだよ。」
全員でしっかり拒否するも、中々引き下がらない男性たち。そうこうしているうちに列は前へと動き出しました。前方に目をやると、荷物を預けるということはどうやら本当らしい。
「あの人たちの方が荷物大きいやろ。あれ運んであげろよ!」
観光客にしか声をかけていないのは丸分かり。それでもチップ欲しさに付いてくる彼らを無視し続け、きちんと自分達で荷物を預け、フェリーに乗り込みました。
「7人おっても余裕でふっかけて来ますね。」
「逆に7人おるから利益大きいってところもあるんやろうな。」
数の利で気が抜けていた私でしたが、そうは上手くいかないことを悟りました。
フェリーは想像していたよりも、大きいサイズ。ペンキが剥がれ落ちていたり、黒い座席シートから黄土色がチラついていたりしましたが、50名以上に加えて、物資も運べるほどの造り。現地人と観光客が入り混じった船内は様々な言語が飛び交っていました。残念ながら真ん中あたりの席だったため、景色を楽しめそうになかった私は、前日の寝不足もあり、周囲の音を気にすることなく、出航前に眠りにつきました。
波に揺られながら気持ちよく眠ること1時間半、ザンジバルに到着。簡単な入国審査的なものを済ませ、街の方へ向かって歩き始めました。海沿いとは言ってもリゾート感はなく、どこかレトロでアフリカっぽくない雰囲気のストーンタウン。石畳の道が続き、同じく石で造られた建物はどれも、少し見上げるほどの高さ。貿易の拠点として重要な都市であったこの街は、本土のタンザニア、そして植民地時代のヨーロッパ、またその位置によってアラブの国にまでも影響を受けた歴史があるらしく、世界遺産に登録されているとのこと。
「何か不思議なところだね。」
「ほんまに違う国に入国したみたい。」
どこか店に入る訳でもなく、何かする訳でもなく、ただただ街に見惚れてながら細い道がいくつもある旧市街地に迷い込んでいきました。
「そろそろバス停向かう?」
「そうだね。バス停の場所は詳しく分かってないから、誰かに聞かないと。」
「今まだ島の1番西やんな?目的地、真東やから下手したらだいぶ時間かかるかも。」
ストーンタウンよりビーチ、ということで私たちはバス停が多くある場所に向かいました。
しばらく歩くと交通量の多い大通りに出ました。そこに面した緑の広場 には屋台が数多くあり、大勢の人で賑わっていました。
「クワラカオに行きたいんですけど、バス停はどこですか?」
現地の人に聞いて回りましたが、それぞれ違う方向を指差して案内してくれる人々。優しく教えてくれるは大勢いましたが、なぜか一向にバス停を見つけられずに30間分、広場を行ったり来たり。
「(何回同じ質問したらいいんやろう。)」
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