「サンジの重要性」アフリカ大陸縦断の旅〜ザンビア編⑥〜
2018年9月14日午後6時頃、キリスト一色のバスも途中からは通常に戻り、快適に眠れた私たちは、リビンングストンに到着。そのまま2日後に出発のナミビアはウィントフック行きのバスチケットを購入し、宿に向かいました。そして私たちを出迎えたのは高級感あふれる宿。私たちはザンビア入国以降、物価上昇以上のクオリティ上昇に驚きつつも、歓喜していたのでした。
「そろそろ晩飯にするかー。」
「買いに行くか!」
「ザンビアのお楽しみ!」
「「「「ザンビーフ!!!」」」」
この地に到着した私たちが最も楽しみにしていたことと言えば、ステーキを頬張る至福の晩餐。ザンビアではザンビーフと呼ばれる牛肉が売っているらしく、それが何と鶏肉や豚肉よりも低価格で売られており、100gで100円を切るという謎の世界線。ひもじい生活をしていた私たちにとって、当然こんな機会を逃す訳にはいきません。低コスト高エネルギーを求めてた私たちは、閉店間際のスーパーに駆け込み、大量のザンビーフを購入したのでした。
宿にあるキッチンで、デカデカと牛肉を広げる私たち。西洋人の先客たちも、「4人でこれを食べるのか?」と言わんばかりの表情。そして、いざクッキング。いや、クッキング?
「・・・えっと、これ、誰が料理するん?笑」
そうです。私たち4人の中に誰1人として料理上手がいないという事実が、この瞬間に露呈したのです。節約、節制を謳っておきながら、これまで雑魚飯で誤魔化し、一度たりとも自炊をすることはありませんでした。おそらくはそれぞれ気付いてはいましたが、触れないようにそっと閉じて置いたモノ。それがザンビーフによってこじ開けられたのでした。
「調理器具はここにある備え付けのやつ使えばいいけど、調味料一切ないで。」
「んー、どうしたもんかねー。」
数分間、ザンビーフと睨めっこを続け、一向に動き出すことのない私たち。
「ちょっと切ったりしてみる?」
と包丁を取り出して、挑戦はしてみましたが、私たちの包丁捌きが下手なのか、備え付けの包丁がカスなのか、肉が分厚すぎるのか、切れそうにありませんでした。
「んー、分からんけど、もう適当に焼けば食えるっしょ!」
何もせずにフライパンの上にドーン。下拵えなしの上に、油も引かずに、その名の通り焼き肉スタート。そして見事にフライパンにへばりつき、みるみるうちに犠牲となっていく1枚目のザンビーフ。
「うん、これは良くない。」
「あの人たちに調味料借りようか。」
「後はそのままかぶりついたらええやろ。」
そこからは先客の西洋人たちのお力添えもあり、何とかTHE ステーキが完成。
「いやぁ、これは美味い!最高やん!」
「久しぶりにこんな男飯食ったわ!エネルギー全開!」
「クオリティたっか!こりゃ明日もステーキ確定やな!」
つくづくお値段以上の国、ザンビア。飽きるほどの肉を喰らい尽くし、激安のビールで乾杯。いつぶりかの満腹感の中、ほろ酔いで夜風に当たっていました。
「コックさん欲しいですね。」
旅と飯は切っても切れない、とザンビーフが教えてくれたのでした。