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旅の理由 2

「人生はネタやで」

22歳で、アメリカの数々のアーティストとコンサートツアーのために、世界中を廻りながらプロダクションをまとめる仕事を始めた。

トントン拍子にことが進み、わたしの仕事ぶりも評価されて、大物アーティストとの仕事も任されたあっという間の9年間だった。

2年前の2017年の夏、コスタリカに滞在しながら、サーフィンと仕事を両立した生活を送っていた。

「最高だなぁ。なにも文句言うことない!」

と、思った矢先の出来事。

当時の彼氏が「別れよう。」とわざわざFacetime。

...チーン。

彼とわたしの性格は妥協しなきゃぶつかることも多々あって、わたしも自我が強いので、こう思うからこうしよう!と一点張りのことが多いことは自分でもわかっていた。

でもこの性格、地球がひっくり返るようなことでもないと治らない!

それに加えて、わたしはひとりで仕事でもプライベートでも旅ばっかりしていたし、毎日通勤していた彼は、遠出をすることはなかなか出来なかった。

じゃあ、いいや!

と、コスタリカへも片道チケットだけ買って行った。

別れることは、いつかそうなるかとは予想していたけど、実際にそんなバーチャルな別れ方は衝撃的すぎた。

彼「方向性が違うから。」
わたし「なんの方向じゃ!?」

は?!と思いつつ、わたしにはよくわからない理由でも、「わかった。」と言って電話を切った。

その後2日間、沈んで悲しみに浸りながらも友達にいつものように元彼の悪口を言っていた最中、長年一緒に仕事をして、わたしが兄のように慕っていたアーティストが突然亡くなった、とメールで知らせをもらった。

事実を確認したら間違いはなく、友達との肩でワッ!と泣き出したわたし。

「あぁ、とうとうアメリカへ戻らなきゃ。」

わたしはその数日後に、ロサンゼルスへ戻った。


お葬式には家族、友人が何百人も集まった。

その後2週間、みんなで彼との昔話をしたり、わたしたちの心のケアをするセラピストを呼んで、悲しみを少しでも和らげようとする時間も作られた。

朝も昼も夜も、亡くなった彼のことをみんなで何日も何時間も話した。

私は不意に、

「自分が本当に幸せな時はいつだろう。」

「やりたいことはなんだろう?」

と考え始めた。

仕事も好き、同僚も上司もみんな大切な人。

ただ、今この瞬間やりたいことは?と聞かれたら、

「サーフィンを世界の色んな海でしたい。」


そして突然の退職宣言。その数ヶ月後、仕事のプロジェクトを無事に終え他あと仕事を辞め、アパートや持ち物をほとんど処分した。

嬉しかったのは、上司もアーティストにも背中を押してくれたこと。

「行ってらっしゃい!」

と言われて辞めることが出来た。


60歳になってリタイアをしてから旅をするのことも一つの道。

だけど、サーフィンは体がついていかなきゃ出来ないし、わたしは運動音痴と思っているから体が出来る間にやりたい。

まだ体も頭も柔らかいうちに吸収したかった。

いつ結婚して子供ができるかわからないし、(かなり遠い日のように思えるけど。)そうなる前に、話せる“ネタ”を作っておきたかった。

経験すればするほど増える”ネタ”。

「人生はネタやで!」

これはその"バーチャル別れ話元彼"の言っていた言葉。

違う国へ行った時、おばあちゃんになって孫と話した時に話せる「自分のネタ。」

それがたくさんあったら面白い!というくらいの軽い意識でのネタ作り=経験。

だからこそ、力まず考えすぎずに始めることができた世界サーフトリップ。


ただ、そんなスッキリとした気持ちと思い切った行動の裏にはよくないこともあるわけで....。


続く。



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Megumi
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