見出し画像

モテないと感じている女性に国際恋愛を奨める理由その(3)

「人同士の距離が近い社会では恋愛が起こりやすい」という、言わずもがなの話を前回した。

今回はこの世の男性2種類のうち「日本人以外」の恋愛行動が「日本人」と具体的にどう違うのか詳しく検討する。

「海外ではナンパが多い」と書いたが、これはよく海外に行く女性(もしかしたら男性も)は実感していることだと思う。飲食店でも路上でも雑貨屋でも、色々な男性が話しかけて来る。ちょっと話すと、強引に誘って来る人もいる。断っても引き下がらない。こういう押しの強さは日本人男性にはなかなか見られない。道で見かけた女性に声をかけ、断られても断られてもついて行く。そういうことをしたことがある日本人男性はどれくらいいるだろうか。

こういうことが普通である社会で、モテる女性でいるのはさぞ面倒臭いだろうと想像できる。外国には(というべきかアメリカには、と言うべきか)誘って来た男性を、そこまでする必要があるかというほど攻撃的に撃退する女性が時々いる。穏やかにノーサンキューと言って立ち去ればいいのではと、日本育ちの私などは思ってしまう。しかしそれは、こういうしつこい男が珍しくないという背景を知ると、少しは理解出来る気がする。穏やかなノーサンキューが効かない輩が多いから、撃退方法もエスカレートしがちなのだなと。手酷くフラれることに慣れている外国人男性を日本式に礼儀正しくお断りすると、とても優しいと褒められることがある。男をフッて褒められたとはなんのこっちゃ、と言いたいだろうが、自分でも「なんのこっちゃ」と内心つっこんだことであった。

ナンパとは違う話であるが、恋愛関係にない友人や同僚たちも、私たちを色々な意味で「女性扱い」してくれる。男性が女性の荷物を持ったり、ドアを支えて女性を先に通したりする習慣については賛否ありながらも、世界の多くの場所で今も実践されている。どこでも女性は概して丁重かつ親切に遇される。服装や髪型などを自然な感じで褒められる。西欧及びその文化の影響下にある地域では、男女の友人間では抱擁+頬にキス(右のみ、右→左、右→左→右、右→左→口など地域によって違いがある)が挨拶として行われる。日本では女性の扱いが男性と異なるということはあまりなく、というか寧ろ男性の方が丁重に扱われるくらいなので(例えばビジネス関係の会食では地位に従って上座に着く。地位が高いのは男性が多いので、上に座るのは大抵男性で、男性から先に配膳されることが多い)、こういうことに強く異文化を印象づけられる。

こういう色々な習慣は、女性に惹かれる男性の気持ちを、社交儀礼として洗練された形で表現するやり方だなと感じる。所謂レディーファーストは、かつて女性に財産権がなく社会的被保護者だった時代の名残だ、という議論もあるが、それだけではないだろうと私は感じる。男性が女性を強く求めるのは自然なことである。西欧的文化圏では、そういう男性の強い衝動ををマイルドに表現することが慣習として確立されていると言っていい。謂わば日常的に小出しにガス抜きをしているようなものである。女性と交流したり触れ合ったりすることが制限されていると、その気持ちの出し場がなく、圧力が高まってゆく。するとエネルギーは歪み変質し、たまの機会に表出する時、不自然な表現を取りがちになる。それに女性蔑視が組み合わさると、下品な冗談やからかいなど、悲惨なスタイルになる。エスカレートすると、痴漢や性暴力に発展することもある。

女性に強く惹かれながらもそれをストレートに表現出来ない日本人男子は、「セクハラおやじ」か「彼女いない歴=年齢」か、いずれかの両極端に走りがちである。この日本的両極端は、そもそも人同士の距離が遠いという日本社会の特徴、そして男性から女性への働きかけについて、どういうわけか強い規制が働いている、これも日本社会の特徴に深く根ざす現象だと感じられる。このような社会で幸せな恋愛生活を送る女性も多いだろうが、私にはどうにも合わなかった。日本の社会や男性を自分好みに変えるというような土台不可能な大事業に短い一生を捧げる気にはなれなかったので、私は日本と日本人男性にさっさと背を向けることになったわけである。共感するところのある女性諸氏はこの機会にご一考されたい。


いいなと思ったら応援しよう!