北海道旅行記:渡島・檜山を巡る旅(4日目:鹿部町を散策)
旅4日目(2022年7月8日)
4日目は、渡島地方の鹿部(しかべ)町に行く。
公共交通での到達難易度が高い?鹿部町
鹿部町は函館市や北斗市から近く、JRやバスもある自治体だ。
鉄道がないところはもちろん、バスすら貧弱という地域もある北海道で、鉄道もバスもあるというのは優秀な部類だと言える。
ただ、鹿部町に行く鉄道、バスはいずれも本数が少ないのだ。
鹿部町には、JR函館本線の砂原支線が通っているが、これは本線と比べて本数が少なく、朝夕しか列車が走らない。
それに、朝唯一走る函館駅05時49分発の列車は、新函館北斗を通らないため、新函館北斗から乗車するのは不可能である。まあ乗れたとしても、時間が早すぎて無理だが。
バスに関しては、函館バスが函館駅、新函館北斗駅、大沼公園方面から路線バスを走らせているが、これも本数が少ない。
新函館北斗からも鹿部へ行くバス路線はあるが、1番早い時間でも12時11分発。つまり、バスだと昼まで鹿部まで行く手段がないということになる。
というわけで、昼まで特にやることがないのだが、ずっとホテルにいるのもつまらない。
仕方がないから、新函館北斗から徒歩で行けそうな、「道の駅なないろ・ななえ」に行って、そこからバスで鹿部町に行こうと思う。
新函館北斗から七飯の道の駅まで
新函館北斗駅の北口へ来た。北口はホテルなどが全くなく、のどかな雰囲気となっている。
ここから、七飯町の道の駅まで行こう。北口はほとんど開発されていないため、少し歩いただけでこのような風景が広がる。
今泊まっている東横インが見える。駅周辺で一番高い建物はおそらくこの東横インだろう。
しばらく歩くと、北斗市から七飯町に入る。カントリーサインに描かれているのは大沼公園だろうか。
さらにまっすぐ進むと、ようやく道の駅が見えてくる。
「道の駅なないろ・ななえ」は、2018年にオープンしたばかりの新しい道の駅。
ちょうどお昼ごろになったので、ここでお昼ご飯を食べようかと思ったが、店は意外と混んでいる。
万が一バスに乗り遅れると鹿部へ行く手段が絶たれてしまうから、時間がかかるのは避けたい。
売店で食べ物を買って、バス停で食べることにした。
バス停にはベンチがないため、立って食べることになってしまったが、まあ仕方がない。
バスの時刻表。ここから鹿部町へ行く路線は、「鹿部出張所」行きだが、本数は1日3本しかない。
昼食をそそくさと食べ、バスを待つ。ここから乗る人はいないと思っていたが、出発時間が近づくと、地元の人が1人やってきた。
路線バスで鹿部町へ
12時05分発、鹿部出張所行きに乗車。乗客は既に2,3人乗っていた。
バスはここから新函館北斗駅、大沼公園を経由して、鹿部町に向かう。途中大沼公園で乗客が少し降り、残りは私含めて2人となった。
鹿部町の街中に入ると、もう1人の乗客が降り、バスは貸し切り状態になった。
目的地の「鹿部町役場」で下車。
鹿部町役場は大変きれいで、最近建てられたばかりのようだ。
鹿部町は人口4000人弱の町。内浦湾に面している漁業の盛んな自治体だ。
人口の割に公共交通の本数が少ないのは、昨日行った厚沢部町(人口3000人台)などと異なり、鹿部町は周囲に街がないという地理的条件が原因だと思われる。
町役場は標高の高いところにある。役場から道を下り、街中へ行ってみる。
道の駅があるあたりまでやってきた。鹿部町は「間歇泉」があることで知られているようだ。間歇泉は「北海道遺産」にも認定されている。
道の駅の前にあった、不思議な物体。これは一体何なのだろう。
個人的に、横浜市の東急線日吉駅前にある「銀玉」を思い起こさせる形をしている。
Googleマップで調べてみると、「鳥羽一郎」の「北斗船」歌碑と出てきた。
鳥羽一郎は鹿部町出身というわけではないが、かつて鹿部町内に別荘を持つなど、町に縁があったらしい。
鹿部は海に面した町。すぐそばから海が見られるのは素晴らしい。
内浦湾だから、この海をひたすらまっすぐに進むと室蘭とか、その辺に行き着くのだろうか。
室蘭と鹿部を結ぶ橋がもしできたなら、色々と面白そうだがそういう話が出たことはないのかな。
町を歩いたら、少しお腹が空いてきた。昼は道の駅でちょっと食べただけだったから、やっぱり足りなかったか。
仕方がないから、近くのセイコーマートで食べ物を調達し、間食をいただくことに。
さて、そろそろ帰りの列車の時間が近づいてくる。
「しかバス」とJRを乗り継いで帰る
鹿部町の中心部から鹿部駅は離れていて、徒歩で行くには大変だが、路線バスが走っている。
函館バスが、鹿部町内で完結する「しかバス」というバスを運行している。民間企業が運行してはいるが、運賃は片道100円と安く、実質コミュニティバスのような形になっている。
14時43分の「しかバス」に乗って、鹿部駅まで。バスは新しい車両で、USB充電ポートも付いていた。函館バスなので、交通系ICカードも使える。
まだ夕方というわけでもない時間なので、乗客はほぼいないかと思ったが、意外と乗る人はいて、だいたい5~6人ほど乗客がいた。
バス車内では、路線バスを使って鹿部を観光するという趣旨の映像が流れていた。町を挙げてバスを積極的に活用しようという姿勢が分かって、何だか嬉しい気分だ。
宮浜中央からバスで20分弱、終点の鹿部駅に到着した。私のほかに、地元のおじさんが1人ここで降りた。
鹿部町は町外から公共交通でアクセスするのは大変だが、町内の移動手段は結構充実しているように思えた。地元の人にもしっかり利用されていて、鹿部町の公共交通の未来も暗くはないと分かった。
鹿部駅は、無人駅となっており静かな雰囲気。街中から離れているから、より一層静かに感じる。
駅舎内は地元の方々による装飾がなされていて、無人駅ながら温かみを感じる。
鹿部駅の時刻表。朝夕に列車が集中していて、日中はほぼ列車がないことが分かると思う。
運賃表を見ると、新函館北斗までは540円とある。今回はフリーきっぷを使っていないので、540円そのまま支払うことになる。
鹿部駅には券売機がないから、列車乗車時に整理券を取り、目的地の駅で精算する。ローカル線ではよくあるシステムだ。
鹿部駅から、15時31分発の函館行きに乗車。整理券を取ろうとするのだが、整理券が機械から出てこない。
ここから列車に乗ろうとしていたおじさんが最初にそれに気づき、「整理券が出ない」と運転手さんに声を掛けた。
運転手さんは機械を調べてみるといい、しばらく列車は当駅で停車していた。
10分近く停車していたのだが、それでも機械の調子が良くならないそうで、運転手さんは「目的地の駅で『鹿部から乗った』とおっしゃってください」と我々乗客にお知らせした。
整理券がなく、口頭での申告で大丈夫なのか?と不安に思いつつ、列車は函館方面に向けて発車した。
乗客は鉄道ファンと思しき人が多く、鹿部で停車している間は列車からホームに出て、盛んに駅や車両を撮影していた。
鉄道ファンが多いのはローカル線ではよくあることではあるが、今回は若い女性のファンがいたのが印象的だった。女性の鉄道ファンもいるところにはいるんだなあと思った。
鹿部から30分ちょっとで、新函館北斗に到着。
有人改札に行き、整理券がない状態で、駅員さんに「鹿部からです」と言ったが、特に問題なく運賃を精算できた。
今日はこれで終了。明日は新函館北斗を離れ、木古内方面に向かおうと思う。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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