チリからボリビアにヒッチハイク
はじめてのヒッチハイクは、南米のチリからボリビアへだった。
チリで出会った、現地で「お弁当」を売っている強者(この人はアメリカからチリまで北南アメリカ大陸を縦断)と2人でヒッチハイクをした。
海外だからといって、ヒッチハイクの要領はあまり変わらなかった。
行きたい方向への幹線道路に行く
車を停めやすい場所でひたすら指をあげ続ける
止まってくれた人とどこまで行けるか交渉
ヒッチハイクは基本的に上記3つさえ覚えておけば大丈夫。
ヒッチハイクの模様を詳細に書いていたら、何記事に渡るかわからないため、思い出に残ったことをピックアップして書く。
2番目に乗せてくれた人は、長距離で荷物を運ぶおっちゃんだった。
このおっちゃん自体は、特に何もない、ただ優しい人だった。
だが、このおっちゃんのおかげで、僕たちのヒッチハイクはかなりスムーズになった。
おっちゃんに下ろしてもらったところで、ヒッチハイクをしていると一台のトラックが停まった。
今度はあんちゃんだったが、そのあんちゃんに「お前らはもしかしてサンティアゴ(チリの首都)から来た日本人2人じゃないのか?」と聞かれた。
大体いつも「中国人?」と聞かれるので、珍しいと思っていたら、あんちゃんが「おっちゃんから話を聞いたぜ」と言うのだ。
どうやら2番目に乗せてくれたおっちゃんと、そのあんちゃんは同じ会社で働いている同僚のよう。
おっちゃんが「日本人2人のヒッチハイカーを乗せた」ということを会社で話していたようなのだ。
あんちゃんはそれを聞いて迎えに来てくれたわけではなく、偶然僕らを見つけ、例の2人ではないかと乗せてくれたのだ。
ヒッチハイクは本当に人の温かみを感じられるし、このような偶然が起きるとテンションがぶち上がる。
ただ、このあんちゃんに乗せてもらった時、何度も死ぬんじゃないかと思った。
このあんちゃん、2秒に1回くらいのペースでFacebookを見るのだ。
そんなに見てどうするなんて思いつつも、乗せてくれた手前、特に何も言わない。
すると、次は「マリファナ吸うか?」みたいな話をしてくる。
「乗せてもらっている身分で吸うのもなぁ」なんて思っていたら、勧めた本人が吸い出した。
ハイになった上、ずっとスマホを見ているあんちゃんの運転は、どんどん荒くなってきた。
車は右往左往し、ひんぱんに横の車線に突入するのだ。
普通なら、「ちゃんと運転しろ!」と注意するか、「下ろしてくれ!」となるかもしれない。
だが、かなり田舎の方に突入して、道幅が広く他の車が走っていなかったこと、僕らが2日ほどヒッチハイクで移動してろくに寝ていなかったこともあって、危険運転を見ても「やめてほしいなぁ」くらいにしか思わなかった。
幸いなことに無事、ボリビアの国境近い町まで到達。
ヒッチハイクで国境を越えるのは手続きが面倒だからと、バスでボリビアに入ることに。
そのバスは、今まで乗ったバスで1番不快だった。
狭くて、イスが固いなんてのはさほど問題ない。
問題なのは、バスに付いているトイレが汚いうえに、戸が閉まり切らないのだ。
戸を閉めても、ニオイがバスの中に充満する。
あまりにクサいからと窓を開けると、あまり整備されていない道を走っているもんだから、砂埃が容赦無く車内に入ってくる。
砂まみれになるか、ニオイを我慢するかの2択だった。
結局、砂がひどいのでニオイを我慢することになった。
怖い思いをしたり、砂まみれになったり、ニオイを我慢したりと、良かったことの方が少ないが、やっぱりこういう経験は忘れられないものだ。