Saikai〜再会〜
チリに留学するため、何度も東京にあるチリ領事館に出かけたり、電話をかけたりした。
細かな手続きは覚えていないが、非常に面倒だった覚えがある。
三重県在住の身として、何度も東京に行くことも億劫だが、何より電話が厄介だった。
15時(13時)くらいになるともう繋がらない。
12時くらいに電話すると、お昼休憩なのか、繋がらない。
朝も別に早くからやっているわけではないため、大学の1限と2限の間に電話しないとその日の機会を逃してしまうのだ。
勝手に「海外の働き方ってこんなもんなんかな」と思い、「それなら海外で働くって楽やん」なんて妄想もした。
ある日、チリ領事館に行った際、学生と思われる人が1人待っていた。
最初はお互い「おっ、なんだこいつは」となっていたが、どう考えてもチリで日本人と関われる機会はほとんどないだろうし、知り合いもいないからか、どちらからともなく話した。
案の定、同じ時期に留学に行く学生。
しかも下の名前が同じだったこともあり、すぐにLINEを交換することに。
「現地で会おう!」と約束し、僕は強い味方を得たような気持ちで三重に戻った。
話は少し変わる。
僕は海外でどうスマホを使えば良いかわからず、スマホを置いていくことにした。
今考えれば、解約して、本体だけでも持っていけば、Wi-Fiのあるところで使えたとわかる。
しかし、その時は何も調べていなかかったため、海外で携帯を使えば無条件に金がかかると思い込んでいた。
そして、さらに何を思ったのか。
スマホは置いていくし、1年間海外に行くこともあって、LINEを消そうと思い立った(血迷った)。
今でも覚えている。
学食で友達をご飯を食べている時に「今からLINEを消す!」と、僕は高らかに宣言した。
友達は困惑していただろうが、僕の確信に満ちた表情が有無を言わさなかったのかもしれない。
僕はLINEをアンインストールした。
チリに行ってから、特にLINEを使うことがなかったので、困ることはなかった。
ただ留学をして1ヶ月ほど経った時か、ふいに領事館のことを思い出した。
「あっ、領事館で会った人とLINEしか交換したけど消しちゃったから、連絡が取れねぇ!」
どうすることも出来なかった僕は、仕方ないと諦めていた。
しかし不思議なもので、チリ人に誘われた飲み会にふらふらと行ったら、そこで出会ったのだ。
チリのサンティアゴは南米の大都会だが、「チリ人」「日本好き」「日本人と交流してみたい」という3つのタグがかけ合わさると、ここまで範囲が狭まるのか。
「お前、LINE消えて連絡できなかったやないか!」と言う彼に事情を説明したところ、「は?」みたいな感じだった。
当然だ。
それ以降、よく飲み会で会うようにもなり、無事仲良くなった。
日本に帰国後、スペイン語の試験が東京であった時に、家に泊めさせてもらった。
しかし、遅くまで酒を飲ませてくるし、寝かせてくれないので、僕はキレた。
彼は今でも元気だろうか。