井上陽平

トラウマケア専門こころのえ相談室 公認心理師 カウンセラー

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最近の記事

人魚姫の教訓:トラウマ的結末の童話的理解

心の奥深くに潜むトラウマの世界を理解するための鍵は、しばしばおとぎ話に隠されています。おとぎ話は、無意識の底に潜む私たちの恐れや欲望、願望を映し出す鏡のようなもので、特に「人魚姫」の物語は、私たちの心の深い部分との関わり方を象徴的に示しています。 「人魚姫」の物語には、初期のトラウマによって過度に感受性が高まり、繰り返し感情的なトラウマを経験する人々の姿が反映されています。彼らは、成長とともに親や他者との関係を遮断し、幻想の中に身を置くことが増えます。この幻想の世界での生活

    • スターシード・覚醒者の特徴|使命に目覚めた者たち

      スターシードとは、深遠な宇宙から我々の世界に降り注いだ魂が人間の肉体に宿った存在を指します。この地球という星をより良い未来へと導くために、彼らは我々の間に生まれてきました。 彼らの力は、特に人々がトラウマや深刻な危機体験を遭遇したときに顕著に現れます。例えば、宇宙の彼方で静かに漂っていたスターシードが、地上のある子供が危険にさらされたとき、その危機を打開し、子供を救出するために行動を起こして、その子供を保護します。 スターシードは、地球上の意識を高めるために存在します。肉

      • PTSDの過覚醒の対処法|副交感神経を優位にする方法

        過覚醒とは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連する主要な症状で、それはトラウマを経験した人々の身体が、突然緊張状態に移行し、強い興奮状態に陥るような現象を指します。この状態は、身体が外部からの危険を予測し、その結果、外傷の体験後に持続的なトラウマ反応を誘発するという機序により引き起こされます。 過覚醒が表す具体的な症状群は多岐にわたります。まず、睡眠障害がその一つで、これは不規則な睡眠パターン、頻繁な目覚め、或いは一晩中ぐっすり眠れないという状態を指します。集中力の低

        • セルフケア:自己の内面から湧き上がるエネルギー

          セルフケアは、自己の心と体の健康と幸福感を保つための重要な活動であり、日々の生活の一部として組み込むことが求められます。この活動の中心にあるのは、「自分自身の健康と幸せを願い、それを追求する」という意志やモチベーションです。 まず、「自分の体を元気にしたい」という意志が必要です。これはあくまで自分自身に対する約束であり、他人の期待や要求に基づいたものではありません。この意志は、あなた自身の内側から湧き上がるエネルギーやパワーを示します。それは自己愛の表現でもあり、それが自分

          体と心が凍りつく反応:複雑なトラウマの心身の影響

          人々が複雑なトラウマを抱えている場合、凍りつきの反応が見られることがあります。この反応は、さまざまな身体的および精神的な症状を伴うことが特徴です。 まず、精神的な面では、過剰な警戒心が目立ちます。これは、一定の恐怖や不安があるために、自己を守るための常時の警戒を意味します。彼らは周囲の環境や人々に対して過度に緊張し、脅威がどこからでも生じうるという感覚を抱くことがあります。 身体的な症状としては、呼吸が浅く速くなることがあります。これはストレス反応の一部であり、身体が脅威

          体と心が凍りつく反応:複雑なトラウマの心身の影響

          養育者の脅威と子供の反応:愛着システムと過覚醒システムの競合による凍りつき状態

          養育者が自分を脅かす存在となる場合、子供は非常に困難な状況に直面します。この場合、子供は二つの相反する反応を引き起こします。一方では、生まれつきの本能として、子供は安全と愛を求めて養育者に接近しようとします。この反応は「愛着システム」と呼ばれ、子供が自己の安全とサバイバルを確保するためのものです。一方で、同時に子供は養育者からの危険を感じ、闘争または逃走の反応を引き起こします。これは「過覚醒システム」と呼ばれ、直接的な脅威から身を守るための本能的な反応です。 ここで、問題が

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          恋愛感情がわからない病気|男女の心のメカニズム

          恋愛感情が分からないことは、一般的に心理学的な問題ではなく、普通の感情の変化や人生経験によって起こることが多いです。ただし、恋愛感情が分からないことが長期的に続く場合や、日常生活に大きな影響を及ぼす場合は、心理学的な問題が原因である可能性もあります。 例えば、うつや社交不安障害、失感情症、特定不能の解離性障害、慢性疲労、スキゾイド/シゾイドパーソナリティ障害などの心理的/身体的な疾患が恋愛感情の分からなさの原因となることがあります。また、親子関係のストレス、トラウマ、過去の

          恋愛感情がわからない病気|男女の心のメカニズム

          解離・離人研究

          障害となる解離症状では、日常生活のあらゆることや人と関わるあらゆることがトラウマのトリガーになっていて、身体は怯えていて、人から傷つけられることを恐れています。自分では自覚できていないかもしれませんが、身体は脅かされる可能性を想定して、逃げ道を探っていたり、息が浅くなっていたり、こわばっていたりします。解離症状は色々とありますが、身体のある部分が勝手に動く、歩きづらくなる、動けなくなる、話そうと思っても声が出ない、声が聞こえなくなると、目が見えなくなる、気づいたら何時間もぼー

          解離・離人研究

          心的外傷後成長、トラウマ後に発達する能力

          トラウマを負った人のセルフ(ユング派の自己)は、生き残るために布置されて、その人の個性や創造性を奪う面があります。また、慢性的なトラウマの影響から、自律神経系が調整不全に陥り、身体的な不調が現れます。その一方、トラウマの影響から、生き残るために特殊な能力を持つようになる人がいるので、そのような人の特徴について見ていきます。 https://trauma-free.com/trauma/ability/

          心的外傷後成長、トラウマ後に発達する能力

          離人感・現実感喪失症

          離人感・現実感喪失症は、自分の身体を切り離して、風景や状況を把握したり、自分が自分の観察者になっているような状態のことです。例えば、ショックなことがあると、身体が凍りついて、痛みが走り、自分の身体から切り離されたように感じ、自分を外から見るような形になります。自分の身体から抜け出た自分は、空間を移動することができて、周りを見渡せるようになるとか、別の領域(あちら側の世界)に飛んで妄想したり、意識が朦朧として気を失う人もいます。一方、身体が自分のもので無くなると、自分の時間軸や

          離人感・現実感喪失症

          複雑なトラウマ・PTSDがある人への接し方40項目

          トラウマがある人は、快刺激に接近するようになり、不快刺激に対しては、どうしても嫌なので回避するようになります。しかし、どうしても回避できない場合は、闘争・逃走モードのスイッチが入るか、絶望や無力に落ちるか、慢性的に身体を麻痺させて過ごすようになります。健康的な人でも、快を求めて、不快を避けるのは、通常の反応ではありますが、発達早期に過酷な体験を負った人ほど、脅威を遠ざけたいという防衛が働くために、好き嫌いの激しさが顕著に現れます。また、トラウマによって、身体の不安が強くなるほ

          複雑なトラウマ・PTSDがある人への接し方40項目

          トラウマ研究

          トラウマ(外傷体験)は、「心の傷」と言われてきましたが、最新の研究では、生物学的な変化を脳や体にもたらし、現在では全身に及ぶ疾患と言われています。人は、トラウマを経験してしまうと、それを経験した後と経験する前では、脳や体が変わってしまいます。恐怖や戦慄により動けなくなる経験を一度すると、同じような経験をすることが怖くなり、人に怯えたり、周囲を観察したり、人から隠れたり、恐怖を避けようとします。トラウマが影響して、現在の人間関係を生きづらくします。 https://traum

          トラウマ研究

          現実世界と空想世界を行き来する人

          解離・離人傾向が高い人は、肉体を切り離すことで行ける夢の世界があり、現実世界が夢の中のように感じて、夢の中が現実世界みたいに感じるようになります。現実世界は、濃い霧のなかでぼんやりと思い出すだけで、夢の中では、「心の内なる世界」、別の言い方では「向こう側の世界」が広がります。

          現実世界と空想世界を行き来する人

          解離性障害の特徴

          解離性障害は、自分が自分であるという感覚が失われている状態で、まるで空想の繭の中に自分自身を包み込んで、外界の刺激から自分の身を守ります。しかし、その影響により、現実感が無かったり、ある時期の記憶が全く思い出せなかったり、いつの間にか自分の知らない場所にいるなど、生活面での様々な支障をきたしている状態です。解離性障害が重篤になると、慢性的なトラウマ状態になり、凍りつきや虚脱の間を行き来し、ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」に書かれた強制収容所に囚われた人の心と体になっていき

          解離性障害の特徴

          ボーダーラインカップル

          ボーダーラインカップルという用語は、「精神医学ハンドブック」のなかで小此木啓吾が使っていた言葉です。自己愛性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティ障害(ボーダーライン)のカップルは、一定程度の関係を築けることがあるようです。

          ボーダーラインカップル

          かぐや姫の物語とトラウマの内的世界の考察

          ここでは、ジブリのかぐや姫の物語を取り上げて、トラウマの受けた人の内的な世界と外的な世界の行き来をユング派のドナルド・カルシェッドが提唱したセルフケアシステムの概念を使って、説明していきます。

          かぐや姫の物語とトラウマの内的世界の考察