普通の朝
朝のニュースで ガザ地区の悲惨な様子が流れる
ぐったりした子どもたちの姿を見ながら
自分の息子の姿を その子たちに重ねる
向こうの部屋で息子が泣いた
息子を連れてきて 壁にかかったテレビの下に置いた
病院への資源供給が断たれ 明日生きるか死ぬかもわからない支援者が 送ってきたメッセージ
その下で 窓から温かな朝日が 息子に注ぐ
妻と四人の子どもを亡くした父親が 血まみれになった白い布 赤子の亡骸を抱えて訴える
その下で 光のなかで 息子が僕に笑いかけた
この世は何なのか と思った
世界の深淵が見えた気がした
普通の朝
仕事が始まれば すぐに忘れる
チンケな罪悪感と 幸福の話