見出し画像

中秋の名月は満月ではない?!

中秋の名月は必ずしも満月ではありません。
(中秋の名月については「中秋の名月はいつ?」の方もご覧ください)

えっ?十五夜だよね?十五夜って満月だよね??

いいえ、違います。
十五夜は「必ずしも」満月ではありません。
中秋の名月に限ってみても、満月であることの方が少ないのがわかります。

スクリーンショット 2021-09-22 19.08.37

順を追って話をしましょう。

太陽と地球、月の位置関係で月は満ち欠けして見えます。

月の軌道1

月は地球の周りを回っています(公転)が、この通り道(軌道)は円ではなく、楕円なのです。

楕円と聞いて

月の軌道2

のような感じに思うかもしれませんが、実際は

月の軌道3

のように楕円の中心に地球はありません。ちょっとずれています。

楕円軌道は焦点が二つあり、その一方に恒星(惑星)があります(ケプラーの第一法則)

この時、月の各位置(下図A〜Dの各間)について、移動する時間が同じであれば十五夜=満月が成り立ちます。

月の軌道3a

ですが、実際はA→BとC→Dではかかる時間が異なります。

見た目上、距離はA→BよりもC→Dの方が長いので、当然ですね。
実際はこの軌道の長さではなく、恒星(惑星)のある焦点と惑星(衛星)を結ぶ線分が、単位時間に一定の面積を描くように運動します。(ケプラーの第二法則、または面速度一定の法則)
下図のイメージなりますが、三つの塗り潰されたエリアの面積が同じになるように惑星(衛星)は公転しています。

月の軌道3b

下図のように新月から上弦、満月と進む際の軌道が軌道長半径の短い方の場合、新月から満月までの日数は13.9日になります。

月の軌道a

逆に軌道長半径の長い方の場合、新月から満月までの日数は15.6日になります。

月の軌道b

旧暦では、新月になる日を月齢0とし、1日(ついたち)とします。

1日(月齢0)から15日で十五夜ですが、満月は最短で13.9日(月齢13.9)でやってきます
つまり旧暦の14日が満月となります。

逆に最も遅い時だと15.6日(月齢15.6)ですので、旧暦で17日になります。

あれ?15.6日目なんだから、旧暦で16日では?
と思った方、鋭いです。

ここでポイントになるのが新月の瞬間です。
新月の瞬間が1日(ついたち)の中でも0時の場合と、24時の場合がありますね。
・新月の瞬間が1日の中でも早いかつ、最短で満月がやってくる場合
・新月の瞬間が1日の中でも遅いかつ、最も遅く満月がやってくる場合

・1日0時+13.9日で、日付として14日が満月
 (13.9日=14日21時半ごろに満月になる)
・1日24時+15.6日で、日付として17日が満月
 (16.6日=17日14時半ごろに満月になる)
となり、満月となる日が大きくずれるのです。

スクリーンショット 2021-09-22 23.51.09

結果、旧暦の15日が満月であることの方が少なくなっているのです。

余談ですが、月の公転軌道が楕円ということは、下図のように満月の瞬間で地球と月の距離が変わることになります。

月の軌道e

距離が近いほど月は大きく見えますので、いわゆるスーパームーンになります。
逆に遠い時は小さくなるので、ミニマムムーンになります。

名称未設定 1

上記の写真はその両方を撮った写真になります。
こう見ると見かけの大きさが結構変わっていることがわかるかと思います。

宜しければサポートをお願い致します。ご厚意は天文ボランティア活動の資金とさせて頂きます。 これからも星空に興味を持っていただけるような記事を書きたいと思っています。