淡い天体を見るコツ(逸らし目の極意)
2023年1月23日現在、肉眼で見えるぐらい明るくなると言われている彗星C/2022 E3 ( ZTF )が近づいています。
先日、自宅から2時間ほど遠出して氷点下15度以下まで下がる極寒のなかで観測してきました。
赤道儀もカメラもポータブルバッテリーも凍りつく中でしたが、何とかその姿を捉えることができました。
肉眼ではギリギリ見えるか見えないかぐらいの明るさかと思いますが、5cmの双眼鏡だとすぐにわかります。
5等級台にはなっていないかと思いました。素人目ですが、、、
そもそも彗星の明るさは、ぼうっと広がっているコマ部分(頭の明るい部分)を全て集めての等級なので、広がっている分、淡くなってしまうので数値以上に暗く見えるかと思います。
それでも視力によっては見えるか見えないかギリギリの天体を見るにはコツがあります。
それが逸らし目です。
目の構造に由来する技ですが(先輩指導員から教わって、薄明の中で一番星を探すのによくやっています)、目には
・錐体(すいたい)細胞
・桿体(かんたい)細胞
という2つの細胞があります。
錐体細胞は、目の網膜の中心当たりにあり、「色を区別することができ、解像度が高い(物を細かく見られる)」という特徴があります。
対して桿体細胞は錐体細胞の周りにあり、「白黒で解像度は低いが、光に対する感受性が高い」という特徴があります。
つまり、凝視するように見てしまうと、暗く淡い天体は見つけ辛いのです。
そこで目の中心で凝視するように探すのではなく、ちょっと視点をずらして視野の端の方で探すようにすると、淡い光を捉えることができるというのが逸らし目という技です。
薄明の中で見えるか見えないかギリギリの一番星を探すときや、望遠鏡で淡い星雲星団を眼視するとき、彗星のようにぼうっと広がった天体を探すときなど、注意深くみようと凝視するのでは無く、眼球をゆっくり動かしながら視野の端でなんとなく見ようとすると見つけられるかもしれません。
似たような方法で、望遠鏡で淡い天体を見るときに意図的に望遠鏡を動かすという方法もあります。
これは動いている物を敏感に捉えられるという目の性質を利用した物で、微動を少し動かすと淡い天体を見つけることができるかもしれません。