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親愛なるブレッソン

あなたに憧れて雨上がり、遠回りして夕焼けを映す水溜まりを探しました。もうアスファルトはところどころ乾いていて、当てもなく歩けど大きな水鏡とは出会えそうになく。



酔狂な、と独り含み笑いを浮かべながら辿る道はいつの間にか見知らぬ景色で、線路に突き当たる旧道は夕日に照らされてとても素敵に思えました。



日々、瞳に映るあらゆるものが決定的瞬間であり駆け足で逃げ去るイメージだと、凡庸な生活の中にも仄光るシャッターチャンスを見逃してはいけないと、あなたは言うかも知れないし言わないかも知れないけど。
何となくそう思って暮らしています。



今日たくさん降った雨に洗われて、明日の景色は更に瑞々しく冴えるでしょう。一時間早起きして朝露に濡れる草花を撮りたい。思い描いてはみるけど恐らく起きられません。フレームに収めたい光景は数え切れないほどあるのに。



明朝、鋭角で突き刺す陽光が彩る決定的瞬間を目の際に焼き付けながら、私はきっと全力疾走で電車に滑り込むでしょう。そんな他愛もない明日を見越しながら歩いていますが、今ここからの帰り道が分かりません。いつもの駅からは遠く離れてしまったようです。
XPERIAがカメラから地図に役割を移行しました。文明よ、ありがとう。


それでは敬愛するブレッソンさん、また近いうちに。

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