【ドイツ風物詩】小気味よい太鼓が告げる年明け
[初出:2007年1月]
年末年始の恒例として上演される音楽作品は多い。例えば、「くるみ割り人形」や「ヘンゼルとグレーテル」は、クリスマスには欠かせない演目である。ヘンデルの「メサイヤ」もこの季節の風物詩となっている。
師走はコンサート尽くしで、いささか食傷気味になることも。個人的なお勧めは、年明けに聴くJ. S. バッハの「クリスマス・オラトリオ」。もともと、クリスマスから1月6日の顕現節にかけての祝祭日を対象に創られた作品なので、新年に聴いてもおかしくない。冒頭の威勢のよいティンパニーの響きに、新春の晴れやかな気分が重なる。
一説によれば、日本で年末にベートーベンの第九が演奏されるようになったのは、第二次大戦時の出陣学徒壮行会を起源とするらしい。2008年が安らかな年となることを祈りながら、バッハに耳を傾ける。