小説「対抗運動」第2章1 電話で 2003年2月
舞ちゃん「おいさん、高松のちろりん村、知っとる?」
おいさん「知っとるよ。大西光明さん、有名な人じゃがね。ばいばい原発のね、Tシャツ売りよろがね。」
舞ちゃん「ふーん。」
おいさん「どしたん?」
舞ちゃん「新庄のもみがらミネラル炭、売ってくれんかと思うて。」
おいさん「舞ちゃん、おいさんもあそこはすぐにメール出してみた。」
舞ちゃん「ほいで?」
おいさん「あかんかった。知恵貸してくれ、と書いたら自分で考えんかい、やと。ほいでも親身な返事じゃったよ。」
舞ちゃん「ふーん。」
おいさん「本気でかからんと相手にされん。あと、やっぱり値段や。もみがら遠赤炭の方はすでに坪10、000円くらいのライバルがおるらしい。佐藤さん、苦戦しとるんや。地道にかつ跳ねながらやらんとね。地域通貨のイベントで有銘さんがやったように、しゃれたパッケージに入れて、観葉植物用にアピールしていくとか。あと、学校でもこつこつまわって、プールの浄化に使うてもらおうかと思うとる。新庄でも実験しよると。」
舞ちゃん「地域通貨て何んよ?」
おいさん「瀬戸内海の島でもやっとろうがね。知らん?」
舞ちゃん「そんなもん初めて聞いた。」
おいさん「自分で発行するお金じゃね。」
舞ちゃん「そんなもん、通用するん?」
おいさん「何にでも通用するわけじゃないけど、舞ちゃんの出すお金は、舞ちゃんの信用が届く範囲なら通用するよ。たとえばね、おいさんに勉強教えて言うて舞ちゃんが1、000マイ出す。おいさんはそのお金受け取るよ。なんでかというと、今度舞ちゃんにミネラル炭のパッケージ作ってもらうときにその1、000マイ使えると思うけんね。」
舞ちゃん「ふん、ふん。」
おいさん「舞ちゃん、皆にCポイントの会員になってもろとるのは、このポイントが地域通貨と同じ働きするからじゃがね。」
舞ちゃん「どして?」
おいさん「C会員の店は皆自信もって自然食品やらフェアトレードのコーヒーやオリーブオイルを売りよろ? 買ってくれた人にはCポイントを発行する。買ってくれた人は、次そのCポイント使うまで、無利子で融資してくれとるんと同じや。買うことが支持することやけど、それだけやない。Cが入ることでもっとすごい支持になる。お店は仕入れにCを使える。仕入れることがお百姓や外国の農園の人を支持することやけど、Cが入ることによってもっとすごい支持になる。信用の拡大が出来る。利子なしで。」
舞ちゃん「むつかしいね。」
おいさん「原理は簡単よ。普通のお金といっしょやからね。普通のお金も信用で動きよるけんね。お金の額の何倍も商品は信用で動くんよ。」
舞ちゃん「普通のお金はそうじゃけど、Cもそうかなあ?」
おいさん「舞ちゃん、Cはどうしたらもらえる?」
舞ちゃん「普通のお金で買い物したら・・・」
おいさん「次ぎ買うとき、普通のお金と同んなじように使えるよね。」
舞ちゃん「・・・・」
おいさん「この前、非ユークリド幾何学の証明をひとつやったじゃろ。ユークリッド幾何学が正しいなら、非ユークリッド幾何学も矛盾がないと証明できたじゃろ。直線を地球の経線と考える。赤道あたりでは平行じゃけど、南極や北極では交わる。だから平行線は交わる。けど、ここが違うだけで、あとはユークリッドの定理は皆使える。Cも同んなじじゃとおいさんは思うとるけどね。対抗運動の役に立つとこ以外は普通のお金にできることは全部できる。」
舞ちゃん「なんか、どきどきしてきた。」
続く
執筆:飛彈ゴロウ、2003年1月29日
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