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小説「対抗運動」第1章3 舞ちゃん上京〜C地域ポイント
舞ちゃん「おいさん、ここは何かの配送センター?」
おいさん「今、どんどん商店をまわって、市民通貨Cの会員になってもろとるじゃろ。入ってくれた会員の店で買うたらお客はCポイントがもらえる。しかし、それだけじゃツマランのよ。会員の店には、仕入れを共同でやるようにススメとる。ここは、共同で仕入れたもんが集まるとこじゃ。この、いっぱいある棚のマス一つが一つの商店分。仕入れの荷物が着くたびに、伝票を見ながら棚に仕分けていく。」
舞ちゃん「ふーん、それからどうするん?」
おいさん「火曜と金曜には会員の商店を回る車が来るけん、その棚から荷物を出してダンボールに詰める。少ないとこは宅配便屋さんに渡す。宅配便は6時に来るから、夕方は忙しんやよ。」
舞ちゃん「わたしも田舎で商店まわっとるんよ。なかなか会員になってくれんけどね。」
おいさん「どこかなってくれた?」
舞ちゃん「おじいちゃんとことと、おばあちゃんとこ。えへへ。」
おいさん「舞ちゃん、数、増やすんも大事やけど、会員になってくれた店が繁盛するように考えんとね。Cポイントがもらえるだけじゃ、お客さんもそんなに喜ばせんよ。品物がええとか気分が良くなるとか、なんかないとね。ええ品物見つけた時は嬉しいもんや。食べ物でもなんでも。無農薬の米や野菜はええもんや。お客はええ物を欲しがっとる。百姓もええもんを作りたがっとる。うまくいかんのは、値段や。そしたら、商店が頑張ればうまく行くはずや。ええもんを共同で仕入れたら安くなる。百姓も売れるんなら自信がある物を作るけんね。今は、ただ安いもんばっかり、宣伝で売れるもんばっかりやからあかんのや。もうけのことばっかり言うから皆、損しとる。」
舞ちゃん「おいさん、わたしもひとつ考えとることがあるんよ。」
おいさん「何?」
舞ちゃん「ええのんをCの店のひとに教えてあげるんよ。」
おいさん「それで?」
舞ちゃん「わたしはCの店を繁盛させたい。ええのんをすぐにCの店が仕入れてくれたら、そこで買えるし、友達にも勧められる。そしたら私も対抗運動家になれる。」
おいさん「舞ちゃん、それ、ええよ。おいさんは、この配送センターで、お客さんからまとめて注文を取ろうかと考えとった。それをまとめて、いまこれが売れ筋やから共同で購入したらええと店の人に教えたら喜ばれるんやないかなと。」
舞ちゃん「うん、うん・・・・・。」
おいさん「それと、もうひとつ大事なことがあってね、その共同の仕入れにもCポイントがもらえるようにせんといかんのや。」
舞ちゃん「ふーん。」
おいさん「それができたら商店同士、Cの貸し借りもできる。」
舞ちゃん「・・・・・・・。」
おいさん「舞ちゃん、農家へも行ってみよか!」
舞ちゃん「えー・・・・。」
おいさん「山形の新庄いうとこで、元気な百姓達が面白いものをつくっとるんや。もみがらミネラル炭いうてね、田んぼに入れると土が元気になる。と同時に、地下水がきれいになるんやと。どうも新庄でも地下水は汚れとるらしいんや。農薬は使わんけど肥料は使うけんね。有機農業が最後の目的じゃなしに、水にも責任を持とうとしとる。おいさんはそれを売りたいんや。そこがCポイントを発行してくれるようになると嬉しんやけどね。」
執筆:飛彈ゴロウ、2003年1月29日