わたモテ特別編11(未来のクリスマス編):語りおとされた高1もこっちのクリスマス会

わたモテ特別編11、ぼっちだったむかしのゆりちゃんを見ると胸が痛むとか、もこっちはなんだかんだ友達いるしなみたいな感想をおおくみかけた。
いやいや、ちょっとまってくれ。
この回は意図的に語りおとされてることがあるだろう。

まずは語られてることから見ていこう。
高2のゆり。高2のもこっち。パリピ全開の加藤さん。高1のゆり……。
そう、ここで語りおとされてるのは高1のもこっちだ。

クリスマス編は話が分岐してるのでややこしいが、ここで思いだすべきはやはり特別編2だと思う。
おしゃれしてクリスマス回に出ようとするも、ヒヨって出れずじまいだったもこっち。
笑えないエピソードは豊富なわたモテだけど、この話はあるタイプの笑えなさのリミットといっていいだろう。

あの回、とぼとぼ帰路についたもこっちを反復するかのように、ゆりは高1のクリスマス回を堂々と早退したのだ。
——まるで「2人でやらかせば恥ずかしさも半分」とでもいいたげに?

ところで、この読解は作者や作品の無意識をつまびらかにするタイプのものではないと思う。
この語りおとしはいわばドーナツの穴のようなもので、見えすいているからだ。
(技術的には黙説法っていいます)
正直、自分はこの手のテクニックはあんまり好きではない。
「深み」を簡単につくりだせるからだ。
(やってみてください)
とはいえ、いくらなんでもキチンと読まれてなさすぎなので……最低限のラインとしてこうして執筆したしだいであった。完


【補足1】
作者はもこっちを美化してるからそんなことは気にしてない?まさか。土下座回を最近リマインドしてることを思いだしてほしい。紆余曲折はあれど、あの時の物語はまだ続いているのだ。


【補足2】
なお、これはかともこと対照的な描写だと思う。呼び方がかわり、経験的に関係性が進展したことをにおわせる。対するゆりもこは、いわば非経験的に関係性が進展していると言えるだろう。

【補足3】
ほかにも、ゆりが「音楽を聴くと部屋が広く感じられた」とか言いだす謎なシーンがあるが、これは同じく(もこっちの)部屋を広く感じた喪183とかかってると読むべきだろう。あの回、おおかたの読者の予想を裏切って(?)2人は音楽を聴かないわけだが、さて——?

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