2021年度高卒求人相場 全国調査が終了しました
高卒就職問題研究のtransactorlabです。高卒就職市場における待遇相場情報の欠乏の問題の解消、そしてそれを通じて若年層の待遇が改善されることを求めて研究と提言を続けております。
全国の公開高卒求人の調査が完了しました。私のホームページで都道府県ごとのレポートを入手できます。どうぞご利用ください。
超売り手市場なのに最低賃金レベルの求人が多い
高卒就職市場は平成27年ごろから求人倍率3倍前後の超売り手市場となっているにもかかわらず、初任給平均額は最低賃金をわずかに上回る程度の低い状態が続いています。ハローワークWEBサービス上で公開される求人票のうち、充足できるのはわずか1割程度、9割近くは売れ残ります。これほど人材獲得競争が激化しているのに最低賃金ラインギリギリの低待遇の求人票が3割から4割ある・・・これが現在の高卒就職市場の現状です。
なぜこうなのか
それは高卒求人の相場がわかる情報が極端に欠乏しているからです。欠乏というより、ほぼ「ない」のです。高卒求人情報の源は厚生労働省所管の「高卒就職情報WEB提供サービス」ですが、ここでの求人情報へのアクセス権が教職員限定となっているため、一般の方々は目にすることができません。この閉鎖性が第一の原因です。
二つ目に、同WEBサービスの情報提供のあり方が旧来の紙ベースの設計思想に基づいたものであることです。相場を知るためには全ての求人票の給与や休日数、労働日数などの数値データを統計処理する必要がありますが、現在のWEBサービスが提供する情報からは困難です。高校現場からの改善要求は何年も前から出されているにもかかわらず根本的な解決はされていません。
2021年2月にWEBサービスの微調整がありました。求人情報一覧のCSV形式でのデータ提供がようやく始まったのですが、フタを開けてみると全く不完全なものでガッカリしました。基本給、月給、月平均労働日数、月平均労働時間数、年間休日数などの重要な数値が揃っていないのです。求人票PDFとの紐づけもなく、これを何に使えというのか・・・非常に残念なものでした。わざと分かりにくくしているのかとの疑いを持ってしまいます。
私が提供している相場情報は、私自身が作ったプログラムを使って同WEBサービスから求人票PDFをダウンロード、データを読み取り統計処理を施したものです。かなりの手間と時間をかかっていますが、この相場情報が一般に流通することにより、高卒就職市場において健全な競争が活発化し、若年労働者の待遇改善が進むことを願っております。
私のホームページで提供している情報の一例を紹介します。
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高卒求人相場 神奈川県2021年
全求人 地域別最低賃金 ¥1,012 データ総数 3,413 件
月給平均 ¥191,885 円 最高 ¥323,400 最低 ¥30,697
年間休日数平均 111 日 最高 313 最低 20 最賃レベル件数 301 件 ( 6.71% )
製造業 データ個数 735 件 21.5%
月給平均 ¥180,079 円 最高 ¥265,050 最低 ¥150,000
年間休日数平均 116 日 最高 174 最低 68 最賃レベル件数 62 件 ( 8.44% )
建設業 データ個数 819 件 24.0%
月給平均 ¥205,800 円 最高 ¥323,400 最低 ¥160,000
年間休日数平均 107 日 最高 140 最低 65
最賃レベル件数 61 件 ( 7.45% )
運送業 データ個数 369 件 10.8%
月給平均 ¥188,521 円 最高 ¥261,855 最低 ¥157,500
年間休日数平均 109 日 最高 135 最低 20 最賃レベル件数 41 件 ( 11.11% )
飲食宿泊業 データ個数 114 件 3.3%
月給平均 ¥196,282 円 最高 ¥297,125 最低 ¥167,000
年間休日数平均 103 日 最高 142 最低 76 最賃レベル件数 12 件 ( 10.53% )
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都道府県ごとの全求人と製造業・建設業・運送業・飲食宿泊業の4業種の待遇相場(データ個数・平均・最高・最低など)、および最低賃金レベルの求人がどれぐらいあるかの調査結果など。PDFファイルには各業種の待遇分析度数散布図を掲載しています。
なお、最低賃金レベルは以下の計算式を用いそれより下の求人票の個数をカウントしたものです。最低賃金法が定める計算式とは異なります。
その求人票の月給 < 地域別最低賃金×7.25×その求人票の月平均労働日数