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最低賃金、人口流出、高卒就職問題について考える(2)

 高卒就職問題研究のtransactorlabです。高卒就職問題にもいろいろありますが、一番大きいのは少子化が進んで人手不足、強い売り手市場となっているにもかかわらず賃金の上がり方がとても緩やかだということです。それは高卒就職市場が市場として不健全であることを意味します。高卒賃金は全ての労働者の賃金体系のベースですので、高卒賃金の上がりにくさは全ての労働者の賃金にも影響します。
 とくに若年層への影響が強いため、結婚数や出生数の増減とも強い関連があるでしょう。この問題の解消には高卒就職市場の相場に関する情報を世間一般にもっと広く流通させることが必須だと私は考えています。
 また、若年層の人口流出に苦しむ地方においては都会との賃金格差の縮小が必要だとよく言われますが、そのためにも高卒求人相場の情報はとても重要な手がかりになるものと思います。

高卒求人を眺めていて思うこと
「最賃情報がまずい使われ方をしている」

 私は日本全国の公開高卒求人票のウォッチングを続けていますが、これをやっていると、最低賃金という情報がまずい使われ方をしているなあと感じます。というか、それ以外の情報の少なさが「まずい使われ方になりやすい状況」を作っている、そんなふうに感じます。最低ラインの情報しかないわけですから。

 仮に、あなたが飲食店の経営者で、初めてハローワークに正式な高卒求人を出すとします。正式な求人票を出すにあたっては様々な要件を決めないといけません。たとえば、給与と休日数を考える際、あなたはどういう情報を参考にするでしょうか。

 近隣の求人情報誌からだいたいの金額を把握して、これぐらいならば払えるあたりに設定するのではないでしょうか。そしてその後、ハローワークに申請書を提出すると地域の最低賃金を下回っていないかのチェックを受けます。そのチェックを通れば認印がもらえて、公開となります。

 このような感じだろうと思います。はっきり言います。
 そのやり方では応募は集まらないでしょう。参考にしている例のレベルが低すぎるからです。

 最低賃金は、ルールギリギリ、学校のテストで言うと赤点ラインです。逆の立場、または、買い手市場だったら、赤点ラインさえクリアしていればいいやという価値観の人をあなたは雇いますか?

 現状、巷で簡単に入手できる求人情報のほとんどは最低賃金プラス1割程度のものが非常に多く、それらを参考にしてもで本当に人が採れる、応募者が現れる可能性が高い待遇条件を見い出すことはかなり難しいでしょう。

 今年7月8月に公開された求人票の充足率全国平均はだいたい1割。9割の求人が充足できていません。高卒就職の求人倍率は3倍程度、就職希望の高校生の人数に対して約3倍の求人が出ていることについてはご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、人材獲得競争の実際ははるかに厳しいのです。率直に言うと、待遇条件で高い方から並べて上位10~20%圏内に入らない求人票は見向きもしてもらえない、というのが現実です。

 あるべき情報とは

では、このような情報があったらどうでしょうか。

 これはある県の高卒求人票待遇調査レポートに「当該業種希望者数」と「業種別求人倍率」のところだけ架空の数字を付け足したものです。それ以外はリアルな数字です。グラフの縦軸は年間休日数、横軸は月給です。 この情報を見れば応募者をつかめる可能性があるのはどれぐらいの条件なのかお分かりになると思います。 当該地域の就職希望高校生のうち、飲食宿泊業を希望している生徒が20人しかいないわけですから、平均的な待遇ではかなり難しいでしょう。月給19.5万、年間休日数107日、それより上に設定する必要があります。

  上のグラフにあがっている求人票はハローワークの認可を受け、一応「赤点ライン」はクリアしているものです。が、しかしまあ、人を採れる可能性ほぼゼロの求人票がいかに多いことか。求人票を出す手間だって相当なものですが、いったいどれほどの労力がムダになっていることか。学校現場でも、箸にも棒にもかからない(すいません、言葉が悪くて)求人票があまりにも大量にあって、選別するのがホントに大変なんです。全部、情報の閉鎖性、少なさ、質の低さのせいです。

 最賃プラプラじゃ、ダメなんですよ。

 高卒就職問題にある程度詳しい人々の間では「高卒賃金は常に最賃寄りになる」、「最賃制度があるせいで高卒賃金が上がらない」、「高卒賃金と最賃が足を引っ張り合う構造」といったことがよく言われます。高卒賃金が不自然に上がらないこの状況は早急に解消しないといけません。でないと国の未来は暗い。

 その障壁となっているのが高卒就職市場の相場情報の不足です。

高卒就職情報WEB提供サービスの改善を

 若い人の収入を増やさなければ、少子化は一層加速し、経済は衰退し、日本の幸福度は加速度的に低下します。高卒求人情報WEB提供サービスの公開と提供情報の質の向上は、国の未来を左右する極めて重要な課題なのです。


 ここまでお読みくださりありがとうございました。
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 ホームページで全国の公開高卒求人の相場情報を提供しています。どのような条件の求人が充足したが分かる情報も載せていますので、どうぞご活用ください。


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