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閑話

「トーゴー」の謎


「シンガポールがトーゴーによろしくって」
という一文が出てきたところで、はて、急に登場したトーゴーとは? と思った方もいると思います。私です。

文脈から言うと、おそらく犬の名前。
でも、トーゴーってなんだか犬の名前っぽくないよね、そもそも英語圏の名前っぽくないし…と調べてみたら、このような映画があったことを知りました。

実在した犬に「トーゴー」がいたそうです。
そしてこの一風変わった名前、日本の東郷平八郎にちなんでいるのだとか!
なんと、英語っぽくないと思ったら日本語由来!

なるほど、この一件があって犬の名前に「トーゴー」とつけるのが流行したのかな、と納得しかけたのですが、映画のモデルになった「ノーム血清走行」は1925年の出来事で、「Dear Enemy」が書かれたのは、その10年前の1915年。
東郷平八郎が日露戦争の日本海海戦で活躍したのが、さらに10年前の1905年。
つまり、時系列的には、日露戦争のあと東郷平八郎が有名になって「トーゴー」という名前が流行し、「Dear Enemy」にも登場し、さらにノーム血清走行で活躍した犬もその流行を受けて「トーゴー」と名づけられていた――ということではないかと考えられます。

実際のところ、どの程度の流行だったのかは調べがつきませんでした。サリーの愛犬である「シンガポール」もなかなか変わった名前ではあると思うので、トーゴーともども、「たまにある、ちょっと変わった名前」くらいの位置づけだったのかなと想像します。

「Dear Enemy」の頃の日本は、大正時代。
日本人もアメリカ人も、それぞれの国でどんな日常生活が営まれているかなんてことはほとんど想像していなかった時代でしょうが、こんなところで文化がつながっていたのか、と思うと愉快ですね。

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