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閑話

舶来小説の食べ物


いまの時代は、じつに様々な種類の食品を簡単に手に入れることができるようになったなあと、よく思います。
私が子どもの頃(1990年前後)は、いまよりもっと食材の種類も少なくて、舶来の小説に出てくる食べ物というのは、「どんなものかよく知らないけど美味しそう! 食べてみたい!」と思わされるものばかりでした。

それから私が、瓶詰のベーコンと卵とマフィンとジンジャークッキーを詰めこんだバスケットに、熱いコーヒーの入った魔法びんを持って、玄関の階段で待ってると、サンディがフライパンを積んだ車で駆けつけてきたわ。

ここ、大好きな場面です。
マフィンにジンジャークッキー!
子ども時代の私が憧れた食べ物の筆頭と言っても良いかもしれません(実際にはじめてこれらの食べ物を口にしたのは、1990年代の中盤以降だったと記憶しています)。

原文は割とこのままで、

So I packed in a basket a jar of bacon and some eggs and muffins and ginger cookies, with hot coffee in the thermos-bottle, and was waiting on the steps when Sandy chugged up with his automobile and frying-pan.

Jean Webster "Dear Enemy"

です。
いまでこそマフィンもジンジャークッキーも大半の人に通じるお菓子だと思いますが、松本恵子版では「軽い丸焼パンとショウガ入りのクッキー」と訳してあります。
ショウガ入りのクッキーはともかく、「軽い丸焼パン」はなかなか思いきった訳語ですよね…。でも、「マフィン」という語が使えなかったら、じゃあ何と訳す? と問われれば、私も迷うところでしょう。うーん、「パン」にはしないかな…ケーキ? ちょっと別物になるけど「カップケーキ」とか?

偶然ですが、昨日ちょうどKALDIで「ジンジャースナップス オリジナル」を買ってきたところです。
こんなに手軽にジンジャークッキーを食べられるなんて、嬉しい時代になりました。

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