【旅行記2-3】伊豆箱根週末パス遠征〜箱根編〜
鴨宮の快活CLUBで一泊した私は、夜が明けぬうちに活動を始める。近くのゆで太郎がもう営業を始めていたので、急いでそばをかきこみ、鴨宮駅に向かった。
夜明け前、私のお目当ての185系は動き出していた。前日は祝日だったがこの日は平日ということで、湘南ライナー・おはようライナーが運転される。湘南ライナー・おはようライナー並びにホームライナーは3月のダイヤ改正に伴って特急湘南に一本化されるため、ライナーとしての運転を終了する。さらに、ライナー運用につく185系・215系はそれぞれ引退となり、東海道線の通勤列車が大きく変わろうとしていた。
そんな中訪れたのが鴨宮駅である。時間があれば撮影スポットへ移動しようと考えたが、ゆで太郎に寄ったことで列車を逃して、撮影地に移動できなかった。ということで、鴨宮駅で駅撮りすることにした。1面2線の島式ホームで、東京方面の列車も熱海方面の列車も撮影が可能。上の写真は東京方面からの回送列車である。
1本目のおはようライナーがやってきた。まだ暗くて姿がよくわからない。
少し空が明るんだころ、185系湘南ライナーがやってきた。10両編成。
少し後方が切れてしまったが、オール2階建て車両215系による湘南ライナーが通過する。215系は、輸送力増強のために2階建てにすることで着席定員を増やすことができたものの、乗降に時間がかかること、ボックスシートだったことから、ライナーや臨時の快速列車以外に運用の実績はない。なんとも使いにくい列車となってしまった。
こちらは回送される215系。
その次に来るのも215系。こちらはおはようライナーとして運転される。国府宮に停車するタイプで、旅客線を走行している。
185系15連の回送を後追いで撮影。こちらの回送列車は貨物線を走行する。
今度は旅客線の回送列車。185系10両編成。
国府宮に停車するタイプの215系湘南ライナー。柱が多く、この駅は旅客線の撮影にはあまり向いていない気がする。
今度は富士山?バックで貨物線を走行する185系10両編成のおはようライナーを狙う。後ろの白い山が富士山?なのだが、空が霞んでいて存在感が薄く感じる。
こちらは最も短い7両編成の185系の回送。
先ほどの回送の折り返しで運転される185系湘南ライナー。7両編成は湘南ライナーで最も短い。
こちらは最後の湘南ライナー185系15両編成。旅客線を走行する。ギリギリ全車両が写っているが、柱が邪魔である。こうして、朝のライナー撮影は終了。
参考までに、こちらが昨年3月に撮影した185系湘南ライナー15両編成。背後の富士山の存在感がすごい。
ライナー撮影を終えて、一駅隣の小田原駅へ移動。小田原駅からは、まだ乗車経験のない伊豆箱根鉄道大雄山線に初乗車する。
駅で「金太郎きっぷ」を購入し、ホームに入ると、黄色い電車が止まっていた。伊豆箱根鉄道は西武の系列なので西武を意識しているのかと思いきや、標準的な塗装は青色で、この塗装はイエロー・シャイニング・トレインと呼ぶのだそう。大雄山線は車庫がある大雄山と小田原の往復に徹しているので、両方の行き先の幕を掲げて、ライトをつけて行き先を表示している点が面白い。
沿線は学校や工場が点在し、利用者はそれなりに多かった。小田原駅の隣の緑町駅を出るとすぐに急カーブし、JRをアンダーパスして北に進んでいく。
終点の大雄山までは20分ほどのショートトリップだった。駅前には金太郎の像が置かれていた。
隣に並んでいるのはコデ165。大場工場での定期検査時には甲種輸送を担当したり、レール運搬、夜間工事用の列車として活躍している。
折り返して塚原駅で下車。ここから歩いてすぐの川沿いで撮影することにした。
こちらは親会社・西武の伝統的な赤電を模した塗装。
こちらは一般塗装。三島の駿豆線と共通して青い塗装となっている。
塚原駅に戻って撮影したこちらはミント・スペクタクル・トレインと呼ぶのだそう。大雄山線はさまざまな塗装の列車があって面白い。
小田原まで戻ってくると、ちょうど185系の踊り子が入線してきた。
こうして大雄山線の5000系と185系が隣り合う光景も見られなくなってしまった。なお、この5007編成は幕がLED化されている。
小田原に戻ってきたのは10時過ぎだった。大雄山線を満喫した後はいよいよ箱根へと向かう。小田原駅で「トコトコきっぷ」を購入し、箱根登山鉄道に乗り込んだ。
乗り換え2分とかなりギリギリだったが、なんとか間に合った。小田原駅から少しずつ山を登り、箱根湯本駅に到着。
(写真自体は強羅到着時のもの)箱根湯本駅から小ぶりな電車に乗った。箱根湯本から先は、さらにきつい勾配を登っていく、箱根湯本駅を出てすぐ80‰の急勾配が出現し、その後も出山信号場、大平台駅、上大平台信号場の3箇所でスイッチバックを行い、箱根の険しい山をぐんぐん登っていく。
強羅に到着。ここからはさらにケーブルカーで登っていく。昨年デビューしたばかりの客車に揺られて早雲山に向かった。車内は観光客でいっぱいで、立ち客が出るほどだった。
終点の早雲山に到着。ケーブルカーの駅にしてはかなり綺麗だった。というのも、昨年駅舎がリニューアルされたばかりだったようだ。
強羅へと下るケーブルカーを撮影。ケーブルカーの駅にホームドアがついているのが新鮮である。関東の一部で見られる3本バータイプだった。
駅舎に出てみる。綺麗すぎてケーブルカーの駅とは思えない。
駅舎の2階は展望台と足湯が併設されている。展望台からはこのようにケーブルカーが撮影可能だ。
足湯は多くの人で賑わっていたので一旦パスした。今使用している「トコトコきっぷ」が使えるのはこの早雲山駅までなので、ここで折り返そうとしたのだが、この先のロープウェイで箱根の一大観光スポット・大涌谷を見に行こうと考えて、ロープウェイに課金することにした。
ロープウェイ乗り場に到着。私が行った時には20人ほどの観光客が列をなしていた。
ゴンドラに乗り込んで、いよいよ大涌谷を目指す。山頂まで傾斜を登っていく。白いゴンドラだけでなく、赤、青のゴンドラが見える。そういえば、ゴンドラに乗り込むときに段差がなかった気がする。さすが日本を代表する観光地なだけに、バリアフリーにも力を入れているようだ。
これだけのゴンドラが密に運行されているのも珍しい。ロープウェイで景色を楽しむどころか、気づけばゴンドラの群ればかり撮影していた。奥に見えるピークとほのかに漂う硫黄臭に期待を寄せながら登っていく。
ピークを超えると、そこは別世界だった。硫黄臭はさらに強くなっていく。煙が一面に広がるここが大涌谷である。日本にいるとは思えないような別世界の上を、赤いゴンドラが通過していく。
右手に目をやると富士山が見える。白い雪にびっしりと覆われていた。
ゴンドラから下を覗くと大涌谷がよく見える。岩肌は黄色に色づき、至るところから湯煙が湧き出している。
左手に見えるのが大涌谷駅。右手に富士山が見える。芦ノ湖へ向かうには大涌谷駅からロープウェイを乗る継ぐことになるが、このとき大涌谷から先のロープウェイは定期点検のため運休中で、代行バス輸送が行われていた。
大涌谷駅に到着。観光地らしくお土産屋が軒を連ねている。
展望台から大涌谷を眺めてみる。ロープウェイが近くを通っていることが実感できる。
もう少しズームしてみる。段々畑のように整地されているのがわかる。
望遠レンズでさらにズームすると、配管が張り巡らされているのがよくわかる。
代行バスと富士山。ここまで近くで富士山を見るのは初めてかもしれない。
くろたまごのオブジェと並べて撮影。大涌谷では温泉で茹でた黒いゆでたまごが人気なようだが、最低5個からの販売で1人旅には向かないようだ。お土産にはいいのだが、たまごを持って帰るのも少しリスキーな気がする。
帰りのロープウェイから大涌谷を眺めてみる。こちらの方が迫力が伝わってくるだろうか。煙が谷を伝って上っている。
行きのロープウェイは5人ほどいたが、帰りは1人だった。ロープウェイの中は広々としていて、1人で乗るには持て余す。ゆっくりと大涌谷の絶景を楽しんで、早雲山駅に帰った。
一時休戦。早雲山駅の足湯に人がいなかったので入ってみる。ちょうどいい温度でいつまでも入っていられそうだった。だが、このままゆっくりしてはいられない。今回のメインディッシュはあくまでモハ1形・2形の撮影である。
ケーブルカーで強羅まで下り、1000形の展望席を確保して登山鉄道を下っていく。強羅に行くときにモハ1形・2形を目撃していたので、時刻表を調べてスジを特定した。そして今から向かうのが宮ノ下駅。ここで強羅へ登る列車を狙うことにした。
途中で台風で被災した区間を走行する。新しく土留壁や土留柵、路面が整備されている。
新しく橋が架けられ、崩れた谷をオーバーパスしている。まだ工事は進んでいるようで、多くの作業員の方が作業されていた。
宮ノ下駅に到着。左に並ぶのはアレグラ号と呼ばれる3000形。箱根登山鉄道の最新型車両である。
宮ノ下駅から10分ほど歩いて撮影地へ。箱根登山鉄道名物「散水」の標識がよく見える。急カーブが多い登山鉄道では、摩耗を抑えるためにカーブ時に車両に搭載されたタンクから水が撒かれる。運転台をみてみると散水スイッチを見つけることができる。
カラフルな電車がやってきた。先頭はモハ1形104号。中間が106号。後ろがモハ2形109号。109号が引退する直前に三色団子を拝めて満足。
後追いで撮影。強羅に向かった列車はそのまま折り返すので、宮ノ下駅に戻って乗りに行くことにした。
宮ノ下駅のカーブで待ち伏せていると、80‰という急勾配を下ってきた三色団子。引退間近の109号先頭。
行き違いのためしばらく停車。この駅で三色団子を拝めるのも最後の機会。
109号に揺られて下山する。3度のスイッチバックを経て箱根湯本駅まで下ってきた。
箱根湯本駅では多くの鉄道ファンが集まっていた。ここで小田原に帰ってもよかったのだが、下りだけ乗車するのももったいない気がしたので、折り返し乗車することにした。
ボックスシートに腰掛けて、箱根湯本駅を出発。いきなり現れる80‰の急勾配をぐんぐん登っていく。
大平台駅に到着。今後の予定の関係でここで下車。三色団子が綺麗に撮れる。
昼間の時間帯は前照灯を点灯しないはずが、前照灯をつけてくれた。
109号を見送って、アジサイの小径から1000形を撮影。この列車で箱根湯本に下り、乗り換えて小田原駅まで戻った。
小田原から移動を再開する。翌日以降使う週末パスを手に入れ、例の徳島→安積永盛のきっぷを使用して北に移動する。ここで鉄道に詳しい方は、なぜ小田原止まりではなく安積永盛まできっぷを購入したか疑問に思うだろう。
その理由は、翌日乗車予定の阿武隈急行線にあった。阿武隈急行はこの当時災害復旧のための臨時ダイヤで運行されており、丸森ー富野間を運行する列車が上下で1日3本ずつしか存在しなかった。そこで、朝の便で槻木から福島まで抜けることにしたのだが、槻木に間に合う最南端の駅が、安積永盛駅の隣の郡山駅であった。乗車券をできるだけ安く、さらに宿をできるだけ安く抑えるために、郡山駅ではなく隣の安積永盛駅で降りて、安積永盛駅の近くの快活CLUBに宿泊。そして翌朝、郡山駅までおよそ5kmの道のりを歩き、郡山から週末パスを利用して列車に乗る作戦だった。
首都圏を抜けるということでコロナの心配もあったため、グリーン車に課金。リクライニングシートでゆっくり東京の街を眺めながら北上し、終点の宇都宮駅に到着。
宇都宮駅から元埼京線の205系に乗り換え。武蔵野線であれだけ荒れていたのに、東北本線では全く人がいなかった。
黒磯でさらに新白河行きの531系に乗り換えて、新白河からいつもの701系仙台色で安積永盛へ向かった。
安積永盛に着いたのは22時ごろだった。近くのローソンで晩飯を確保し、快活CLUBの喫煙席(禁煙席はいっぱいだったようだ)に座る。店員の東北なまりが、東北に来たことを実感させてくれる。
こうして、鴨宮から箱根を満喫し、東北まで大移動した1日が終わった。翌日からいよいよこの度の後半戦、週末パスを利用した大移動が始まる。
3日目(福島・山形・新潟編)に続く……