売れる美容室を作るための設計図
設備資金や運転資金などの算出が終わったら
店舗の内外装打ち合わせ、出店場所の選定の前に
「売れる美容室」を作るために必要なプロダクトを設計していきます。
ここからは「美容師」としての考え方ではなく
「経営者」や「マーケティング」の視点で情報をお伝えしていきます。
今まで美容師としての知識や技術を覚えてきた人には
経営やマーケティングは初めての経験になると思います。
「美容師脳」から「経営者脳」に切り替えましょう。
今までは雇用してくれていた美容室があなたの代わりに「経営」を行なってくれていました。
しかし、独立したら経営者は「あなた」です。
こちらのnoteでしっかりと学んで、盗めることは盗んで、ご自身の経営に活かして欲しいと思います。
Step1:ペルソナの設定
ペルソナとは?
"商品やサービスを利用している架空のユーザーのこと"
マーケティングのフレームワークで
5W1H(Who・What・How・When・Where・Why)
がありますが、ここではまず
「Who」(誰に)「What」(何を)について設計していきましょう。
まずは「Who」(誰に?)を決めていきます。
「Who」=誰に来て欲しいのか?
ペルソナの設定で重要なことは
”あなたがどんなお客様に来て欲しいのか?”
をまず最初に決める必要があります。
ここの設定をミスしてしまうと、今後の設計図が
全て台無しになってしまいますので、ペルソナの設定は
必ず個人が特定できるくらいまで絞り込んで設定しましょう。
今まで担当してた優良顧客のお客様をイメージするとわかりやすいかもしれません。
たくさんの人に来て欲しいはNG✖️
いざ独立して集客するとなると、いろんな人に来て欲しいですよね?
若い女性からご年配の女性、メンズや子供など幅広い層のお客様です。
しかし、マーケティングにおいて複数人に向けた商品やメッセージは
"特徴のないサービス"になりがちです。
「老若男女問わず、幅広い年代に人気のおしゃれな美容室」
というコンセプトより
「40歳からの白髪ぼかしが得意な美容室」
というコンセプトの方が「40歳の女性」には響きます。
25歳の女性に向けるなら
「伸ばし中でも綺麗に伸ばせる髪質改善が得意な美容室」
この「伸ばし中なら」という言葉の中には
結婚式に向けて伸ばしてる最中の女性の目にも留まるでしょう。
逆に25歳の女性には「40歳からの白髪ぼかしが得意な美容室」
というコンセプトは響きません。
40歳の女性には「伸ばし中でも綺麗に伸ばせる髪質改善が得意な美容室」
というコンセプトは少数当てはまると思いますが、ターゲットに伝えるメッセージとしては弱くなります。
男性のお客様であればサラリーマンに向けて
「仕事で疲れたパソコンや眼の疲労を癒す至福のヘッドスパサロン。」
というコンセプトだと忙しいサラリーマンの目にとまる確率は高くなります。
このように年齢や性別、お客様の環境によって響くメッセージは変わってくるので、ターゲットを絞り込むためにペルソナの設定はしっかり行います。
下にペルソナシートをご用意しました。
無料で利用可能ですので、よろしければご活用ください。
*シート1は入力用・シート2は入力サンプルとなってます。
「What」=何を売りたいのか?
「あなたはお客様に何を売りたいですか?」
そう聞かれると、おそらく今最も得意な技術を思い浮かべるでしょう。
あなたが現役の美容師であれば、長年練習を積み重ねてきて
失敗や研究を繰り返し、積み重ねて身につけた自分だけの「技術」
当然のことのように自分の得意な「技術」を軸に
「売りたいメニュー」を考える人が多いと思います。
ですが、基本的にこの考え方はNGです。
答えからお伝えすると。
「売り手目線」ではなく「顧客目線」で
何を売るのか?を決めること。
売り手目線と顧客目線の違い
ここ、かなり重要なポイントですが、
多くの美容師さんが独立する時に失敗してしまうのではないでしょうか?
「お客様に自分が自信を持って提供できる技術は〇〇だ!」
「絶対このメニューはニーズがあるはず!」
「流行のスタイルだしインスタでも投稿を多く見かけるからバズるはず!」
と、自分の感覚で”売れる商品”を作ってしまい
市場のリサーチや競合の分析などをしない状態で
スタートしてしまうことが圧倒的に多いのです。
仮にこのケースでうまくいくのは
オープン前から来店見込みのあるお客様で1ヶ月以上予約が埋まっている(口約束ではなく実際に予約表にスケジュールが入っている)
SNSのフォロワーが1000人以上いて8割が身内や美容師さん以外の一般客(来店見込み客)
すでにLINEなどで既存顧客のリストが300人以上いる
のケースであれば一人で始めるには十分な売り上げが確保できます。
確かに自分に自信のある技術で勝負したい気持ちはわかります。
しかし「売り手目線」のメニューで勝負しようとすると
基本的には”プロダクトアウト”となってしまいます。
他店に真似されてしまう=競合の出現
価格競争に巻き込まれる=低価格化
薄利多売に陥る=利益が少なく疲弊する
といった状況になりやすいため「売り手目線」での
「何を売るか?」ではなく
「顧客にとって何が必要で何が欲しいのか?」
を分析してメニューを設定します。
「顧客目線でメニューを決めること」をマーケットインと言います。
顧客目線で何を売るのか考えよう
例えば、あなたが美容室に行くことを想像してみてください。
ホットペッパーやホームページをリサーチしてみると
「口コミ高評価!」「業界で話題の」「エリアナンバーワン」
「話題の〇〇取扱」「〇〇カラーで透明感カラー」「〇周年記念!」
といったキャッチコピーをよく見かけませんか?
これらのコピーは「売り手目線」のコピーとなり
多くの顧客には響きません。
極論、お客様からしたら「興味のない情報」なのです。
それよりもあなたが求めるものに訴求しているキャッチコピーの方が
思わずクリックしてしまいたくなりませんか?
もし、あなたが手入れが簡単なショートヘアにしたいと思ったら
「スタイリング5分。乾かすだけでまとまるショートヘア」とか
「ショートカット指名客数年間1000人超え。朝5分のスタイリングで美シルエットに」などのコピーに興味が出るはずです。
「エリアナンバーワン」や「〇〇取扱」「〇〇で透明感カラー」
はプロとして見るから理解できますが、一般のお客様は全く知らない人がほとんどで、とにかく興味がないと思った方が良いでしょう。
お客様は初めて行く美容室には
「自分のことをどうやって綺麗にしてくれるか?」を最重視しています。
「何を売るか?」を決めるときは
こちらが売りたいメニューではなく
お客様に求められるメニューで決めるようにしましょう。