パリオリンピックに向けたランキング 23.08.15
2023.08.15 UCI トラック オリンピック ランキング
8月03日〜09日までイギリス,グラスゴーにてUCI Cycling World Championship,Track & Para Cycling Track が行われました。
この大会は自転車競技の世界一を決定する最も大きな大会であると同時にパリオリンピックに向けた最も大きなポイントを獲得出来る大会となります。
今大会が終わったことで今シーズンのポイント獲得大会は終了し、オリンピック出場枠獲得の為の大会は来シーズンに予定されているネイションズカップ、及び大陸選手権(アジア選手権)のみとなりました。
今回のオリンピックポイントランキング獲得大会に世界選手権は1回しか含まれないため、今回発表されたランキングは今後を左右する上で非常に大きな意味を持つことになります。
出場権獲得のためのプロセスについては「パリオリンピックに向けたランキング 23.03.24」で説明していますのでこちらをご覧ください。
男子短距離
日本チームがこれまで活躍してきたネイションズカップは国際大会ではある物の、強豪国に取っては国内選考(国際大会での評価を行う)的な意味合い、あるいは課題抽出のためのテストイベント的に扱われている傾向が感じられ、本当の意味での世界の強化状況を把握するには今回の世界選手権がオリンピックに向けた最後のチャンスと言うことが出来ます。つまりそれ以前の大会とは比較にならない位各国が仕上げてくると言うことです。今回の男子短距離はある意味その洗礼を受けたと言っても良いと思います。チームスプリント予選では4位とメダルを視界に捉えた順位とタイムを記録しました。1st Roundでも予選よりも僅かですがタイムを上げたものの他のチームはそれ以上にタイムを短縮してきたため予選より順位を落とし6位という結果に終わりました。決して日本チームが良くなかった訳では無く、他のチームがそれを上廻ってきていると言う感じです。(日本チームの予選タイムは東京オリンピック時の予選タイムで比較すると5位相当)
これはスプリントでも同じ事が言え、太田選手、寺崎選手の2名が出場しましたが1/8Final、1/4Finalでそれぞれ敗退しています。
唯一これまで同様の活躍を見せたのがケイリンに出場した中野選手です。中野選手はネイションズカップ第2戦でこの種目優勝を飾っていて、世界選手権初出場となる今大会でも銅メダル獲得と世界と戦える事を証明しました。
ポイントランキングとしてはこれまでの積み重ねもあり出場枠獲得圏内に位置していますので、今大会を糧に更なる強化、そして来年のメダル獲得を目指して欲しいと思います。
女子短距離
今大会、女子短距離も男子同様かなり苦戦の様子が見られました。チームスプリントは予選で日本記録に近いタイムを出しながらも10位と敗退。今年全日本トラックで出したタイムをあと0.5秒以上短縮しないとベスト8には残れず、世界の壁の高さを痛感しました。個人種目ではネイションズカップ・ケイリンで2勝している佐藤選手が降格を取られQuarterFinalでおしくも敗退。女子短距離個人種目で最上位の成績は太田選手のケイリン11位と、これからの更なる強化に期待するしか無い厳しい状況です。ただオリンピックポイントランキングでは個人種目で両種目共圏内に入っているので、これを維持出来れば個人種目2種目に2名ずつの参加が可能となります。チームスプリントが圏内の8位ニュージーランドと600ポイント弱離れているのでここからの挽回はかなり難しいですがまだ不可能では無いと思う。今のチームを編成してまだ時間が経っていないので、しっかりチームとしての機能を高めて来シーズンの活躍を期待したい。
男子中距離
今大会最も結果を残せたのは男子中距離チームだと個人的には思う。チームパーシュートでは予選で強豪イギリスチームのアクシデントはあったものの8位となり1st ラウンドに進出。ここで獲得したポイントが大きく、ランキングでも6月の10位から8位へと順位を上げた。圏外となる11位のスイスとは600ポイント以上の差を付けており、このまま順調に進めばオリンピック出場枠の獲得の期待が高まります。もちろん油断は出来ませんが、個人種目で見せた窪木選手のスクラッチ銀メダル、今村選手のオムニアム銅メダルに表れているように今の中距離チームは非常に充実していると感じられます。調子を維持すると言うことは実は難しく簡単には言えませんが、今まで叶えられなかった夢への階段を一歩ずつ上がっているような手応えを感じるので、さらに高みを目指して頑張って欲しい。
女子中距離
今大会の女子中距離は最初に行われたチームパーシュート予選でベストには遠く及ばない4分25秒で11位に終わった。オリンピックポイントランキングを見れば大会前には10位であった事を考えればベスト8に残れないことはある程度想像出来ていた。しかし問題は日本より下位に位置しているポーランドに負けてしまったこと。幸いポーランドとはポイント差があったため逆転されることは無かったが、これからも厳しい戦いが待ち受けていることは容易に想像が付く。まずは来シーズンの最初の大会になるであろうアジア選手権でランキング12位となっている中国にしっかり勝つこと。その上でネイションズカップでベスト8以内に入りしっかりと出場枠を獲得して欲しい。
個人種目では2019年のジュニア世界チャンピオンである内野選手が同じポイントレースで銅メダルを獲得するなど順調な成長を見せてくれた。また今シーズンからエリートに上がったばかりの垣田選手、池田選手もしっかりとエリートのレースで戦えている。東京オリンピックで銀メダルを獲得した梶原選手と共にパリオリンピックに向け一丸となって頑張って欲しい。