エンデュランス能力(持久力)を向上させる 追加質問
前回の「エンデュランス能力(持久力)を向上させる」でお答えした質問を頂いたホビーサイクリストの方から、追加の質問を頂いたのでお答えいたします。
先日の質問では、エンデュランス能力(持久力)を高めるための練習方法として、高強度のインターバルトレーニングなどの赤血球/ヘモグロビン増加を狙ったトレーニングと、LSDなど低強度で長時間乗り込む様な毛細血管の増加を狙ったトレーニングについて説明しました。
今回の質問は、その中で低強度のトレーニング(乗り込み)をする際に、必要以上?に心拍数が出てしまう事でトレーニング効果に影響があるのか無いのか? という内容です。
ここで言う必要以上という表現がどの程度を指しているのかは分かりませんが、恐らくターゲットとしている心拍数を上回ってしまう事だと思います。
パワーメーターや心拍計を用いてトレーニング強度の目安を計算し、それに沿った形で運動を行う方法はとても効果的で推奨出来る方法です。上記のシートは選手のFTPあるいはFTHR/FTP HRを入力することで、目的とする運動強度を簡単に知ることができます。今回質問にもあった低強度での乗り込みの場合、ターゲットとなる強度は初心者の方であればレベル2〜3程度でしょうか? ある程度の競技レベルに達している選手であればレベル3〜4程度の間で乗り込んでいるような気がします。
こうやって強度を管理するトレーニング方法はとても分かりやすく、そして行い安い方法です。ただ注意しなくてはならないのは「本来の目的」を見失わないことです。本来の目的を達成するために効果的な方法を選択する事は良い事ですが、1つの方法に拘ることが必ずしも正解ではありません。こう書くと上記の様な数値目標をトレーニング指標にすることを否定しているように聞こえてしまうかもしれませんが、決してそうではありませんのでお間違いなく。ここで理解して欲しい事は、目的が最優先で、手法に関しては臨機応変に考えて構わないと言うことです。
エンデュランス能力(持久力)を向上させるポイントは先ほども書きましたが以下の2点です。
①赤血球/ヘモグロビン増加を狙ったトレーニング
ex. 高強度のインターバルトレーニングなど
②毛細血管の増加を狙ったトレーニング
ex. LSDなど低強度で長時間の乗り込みなど
この2点のうち主にオフシーズンに行う②のトレーニングでは、長時間乗り込むことにより持続的に筋肉に対して栄養・水分・酸素等を供給し続ける事が重要です。
もちろんそれが低強度よりも中強度の方が必要量が増加するのでより効果的ですが、その結果として運動時間が短くなってしまっては目的からそれてしまいます。そのため持続出来なくならないように強度のレベルを指標として活用する事が効果的とされているだけであって、その指標を上廻る強度で当初設定した距離や時間を走りきれるのであれば目的とした効果を得られないわけではありません。
ただここで注意しなくてはならないのは、こういった乗り込み中心のトレーニングにおいては、1日の走行時間・距離だけで効果が得られるわけでは無いので、一般的には乗り込み期間を設定してトータル走行距離・時間で目標を設定します。その場合設定期間の前半にオーバーペースでのトレーニングをしてしまうと後半に入って疲労の蓄積や体力の消耗により設定した距離や時間を走りきれなくなる恐れがあります。つまり設定期間の総走行距離が減少する、すなわちトレーニング目的が目標値に到達出来ないと言うことです。
トレーニングの目的をしっかり把握し、優先すべき事項から外れないのであれば、それ以外の事には余りナーバスにならなくて大丈夫だと思います。トレーニングをしていて良くあるのは自身の都合の良いように解釈して、本来の目的を見失ってしまう事です。トレーニングのプランを作成する過程で、まずは目的をしっかり設定し、それを達成できるよう計画してください。
〜追記〜
本来の質問から外れてしまいますが、心拍数について付け加えておきます。
心拍数は身体に対して必要な栄養・水分・酸素を供給する為に、必要量が増加したときに増加します。健康な人であれば恐らく起床時の心拍数が1日の中で最も低い数値を記録すると思います。冷静に考えれば分かると思いますが、寝ているときは最低限の身体の働きしかしていないですからね。その状態から日常生活をすることで心拍数は上下し、運動を始めるとさらに上昇し、運動を終了すると徐々に安静時脈拍に戻って行きます。
しかしこの形に当てはまらない時があります。
その原因は様々ですが、体調が優れない時、疲労が蓄積している時にも平常時の心拍数を上回ってしまったり、逆に上がるべき時に上がらない事があります。
心拍数は身体の不調を表すバロメーターとしての役割を果たしているとも言えるので、日頃から心拍数を記録して疲労の蓄積を把握しコンディショニングの目安としてください。
参考までに、以前私がジュニアナショナルチームのコーチを努めていたときに使用していたコンディショニングシートを添付しますので、日頃のコンディショニングの参考にしてみてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?