格闘家とSNS、毎日炎上の話。
私には応援している大好きな格闘家が何人かいる。
私が全盛期で見ていた時代は旧K-1やPRIDEだったので大好きな選手は主に海外の選手だった。特に好きだったのはサモアの怪物・マークハント。彼はパンチの出し方はかなり独特で上向きのフックで身長差のある選手をKOした試合は忘れられない。レイセフォーやミルコも強かったしアーネストホーストから繰り出されるパンチも好きだった。今の格闘技のような細かい技術はないけれどフィジカルで押し切るような荒々しい物こそ昔のヘビー級の良さだったと思っている。そこから私自身にいろいろあり、K-1にもモンスター路線で有名な某Pが入られたようで格闘技からは一旦離れる事になったけれど15年の時を経てまた観るようになった。
私が見ていた荒々しい格闘技こそ失われていたが、代わりに進化した細かいストライカーの技術、高度なグラップリング技術を持つチーム、軽量級がメインになった大会、日本人だらけの試合。新たな魅力も加わっていた。
さらにエンターテイメント性も増しておりこれには少し疑問があったけれどちょうどコロナの時期もあって海外選手も取り込めない中、致し方ない選択だったと思わざるを得ない。格闘界もアングラなりに世間に見てもらおうと必死なんだなと。
もう1つ明らかな違いがあった。SNSの登場だ。
格闘家自身がSNSで個人の意見を撒き散らしYouTubeで動画を出す時代になった。私が見てた頃は2000年代初頭、選手には幻想を抱き試合だけを観るという時代。(たまにカップ麺のCMに出てた選手いたが)
今はプライベートを切り売りする安いアイドルのような事までする選手もいる。こういう事を言うと非難もあるかもしれないけれど選手の魅力は試合でしかない、第一条件だと思っている。
当然、格闘家が発信する物と一般社会に身をおく人間との価値観が一致する物ばかりではない。度々炎上しているのを見かけるといつも私は勝手に1人で頭を抱える。
ファンは選手に何を求めているんだ。選手も何故それが受け入れられると思ったんだと。
そもそも選手も聖人君子になれるのなら格闘家にはなっていないだろ。
身内に現役の右の方がいらっしゃるがその方もよく言っている。「悪い事を悪いと認識できる頭なら、悪いと思ったら謝る事ができるなら牧師でもやってるよ」と。
これがほとんど毎日起きている。飽きない、楽しい。
ただこれは外側にいるからそうなのであってそこに身を置いている賢い人達は早々にこの状況に気付き宣伝のみのアカウントと化している選手も多い。
これはおそらくマネジメントをしている、もしくは支えている人間の力によって明らかな差が出ているんだなと感じる。もちろん個人の性格にもよるとは思うけど選手に好き勝手に喋らせていい訳がない。表に立つ人気商売でもあるのだから。アイドルのような事をするとは言ったけどもアイドルのような事をしなければいけない程、今の格闘界は低迷している。私が全盛期で見てた時とは雲泥の差だなと。
「バカMMAファン」
このSNSと連動して先月末から今月頭にかけて炎上事案がいくつもあった。
まずは7月末、国内で最大級の興行を誇るRIZINに初参戦のキックボクシングの選手が勝利した。それなりに強い選手として名を挙げてはいたけれどRIZINファンからすると誰だ?となるのも珍しい現象ではない。何故ならRIZINは総合格闘技(MMA)をメインとする興行団体だからだ。
そこで勝利者マイクにて放った言葉にRIZINファンが呆気に取られた。
「キックいらないとか言ってるバカMMAファンも〜…」
ここで「バカMMAファン」と言って退けるのは凄い。そこはRIZINだ。RIZINは本来MMAしかやってなかった興行だ。そこにキックを広めたいという崇高な意志を持った那須川天心がやってきてRIZINを運営している会社社長、榊原氏の横暴な要求にも応えてきて実績を積み上げてからのキックボクシングがある前提。
その前提をまるで分かっていない。天心がどんな思いでMMAを引き受けたのか。
この選手は後に弁解したが何故かさらにTwitterでRIZINファンを煽る。何故誰も止めないんだと思うが周りも少しネジが緩んでいる方々なのかもしれない。彼を今後RIZINで見る事はなさそうだ。
RIZIN triggerの主催者
次の事案、寝屋川市の市議が詐欺容疑で逮捕、起訴された。最初はこの女性市議ハメられたんだろうなとは思ったけれど何ともキナ臭い話に転がる。この女性市議はRIZIN triggerというRIZINの小規模大会の主催を行っていた。関係者曰く「RIZINナンバーシリーズのスポンサーならまだしも、小規模な大会を主催というのはリスクが大き過ぎる。普通の企業はそんなリスキーな事はしないい」と言い放つ。且つこの市議はtriggerに出ていた選手と男女の関係にあるという話まで出たもんだから話にリアリティが出てしまった。女は男のためにどこまでもやれる生物なのだからハメられたのではなく率先してやったんだろうなという解釈に変わる。私は個人的にRIZINの大会の中で唯一のケージ(檻)の大会だったから好きだったけれどもう見る事はできない。公式Webサイトからも主催者の名前としてはもう消されている。交際相手とされる選手は貰い事故だったとは思うけど、やはり人を見る目に関してもどうなのかなと思う事案だった。
重大告知の案内
そして今度は国内で最も有名な格闘家兄弟の弟。この選手は爽やかさを売りにしつつ試合では狂気的に徹底的に倒す姿勢を取る事もありそのギャップにやられ圧倒的に女性ファンが多い。何を隠そう、私も昨今の格闘技の入口には彼らがいた。
その選手が格闘家として重要な発表があると大々的にSNSで告知した。格闘家と銘打てば当然格闘技関連の話だろうとファンは配信を心待ちにする。
そこで発表された物はファン向けのサブスクサービス開始のお知らせだった。これにはファンも怒り心頭。だったら格闘家としてって書くなよと。期待させるなと。生配信だった事もあり選手とチームの方の表情はコメントを見てどんどん暗くなっていく。コメント欄はこれでもかというくらい荒れた。釣りにしてももっと上手くできただろうに、これもやはりマネジメントの力不足というか支えるべき人間の地頭の良し悪しがこんな所で露呈されてしまう。
格闘技選手はもともとそんなに知能指数が高い人間が多い訳ではないと思っている(失礼、悪意はない)。だからこそちゃんと道を指南してくれる人間が側にいてサポートしてあげなければならない。周りが仕事をしろと何度だって言いたい。
あろう事かこのチームメンバーは深夜に謝罪動画という名目で愚痴と暴言を喚き散らしていた。現在はメンバーの動画は削除されているものの、世間に出した物は決して消えない。(Twitter情報)
その前にも世紀の一戦の地上波頓挫事件やK-1の某キックボクシング選手の喧嘩自慢兼素人ボコボコ事案など毎日毎日炎上が絶えない。見ている分には楽しい。しかし真面目に格闘技をやってる人間からしたらどんな心境でこの業界に身を置いてるんだろうとは思わずにいられない。
私がこの業界で安定しつつギリギリのラインで攻めて生きている(ように見せている)のは朝倉未来だけだと思っている。
朝倉未来はプロモーションが非常に上手いと思うしbreaking downに関してもエンタメ枠と最初から銘打って行っているため格闘技枠には当てはまらない。あれを格闘技だそうじゃないんだという議論がそもそも論であるとは思う。格闘家が主催しているから他の格闘家が触ってしまうのも分かるけど、あれは誰がどう見てもエンターテイメントじゃないか。
直近の炎上事案に関して言えば全くの無関係とは言わないけれど絶妙なラインで関わっていない所が非常に距離感のうまさというか。ちゃんとしたアドバイザーがいるのかはたまた本人の地頭の良さなのかは分からないけれどこういう選手も存在している。
何だかんだで出さなくてもいい炎上事案を書き殴ったけれど私はMMAが大好きだし最近では海外の試合もある程度見るようにはしている。
そうなってくると海外のアンダーカードでさえ凄い試合なのだから日本の試合を見なくなるのも時間の問題なのかなとは思う。サブスクの格闘技チャンネルでLFAやONEの試合を毎日垂れ流していると国内の試合がどうもしっくりこなくなってきた。
毎回どんな大会でも欠かさず見ていたPPVは前回初めてスルーした。格闘技熱がまた冷めたのかなと思いきや海外のは面白いので断然観れる。
国内でまた面白そうな選手やカードが発表されたらまた見ようかな。
曇天から晴天へのような気持ちの揺れ具合が格闘界と重なり合ってる自分を俯瞰で見てまだ続けられそうな娯楽だと感じる。