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スイスで見つけたデザインのヒント – vitra campus

vitra campusへの旅 – デザインへの新たな視点を求めて

こんにちは、櫻井です。
みなさんは「vitra campus」をご存じでしょうか。インテリア業界では象徴的であるこの場所は、デザインを生業とする私たちにとって期待が高まる場所です。
昨年はデンマーク、その前はフィンランドと社内研修にて国内外さまざまな場所を訪れる私たちですが、今回はvitra campusを目的にスイスを訪れました。

vitra campusは、スイスからドイツ国境を越えたすぐ近くに位置しています。チューリッヒ空港から電車で2時間、バスで15分というアクセスの良さもさることながら、「vitra」という名のバス停まであることから、地域に与える影響力の大きさが伺えます。

今回のnoteでは、単に建築の美しさだけでなく、空間の使い方や働き方に新しい発見をもたらしてくれたvitra campusでの体験を綴っています。デザインのアプローチが働く場や空間の使い方にどのような影響を与えるのかを感じ取ってもらえたら嬉しいです。

美しいアウドルフガーデン

建築と物語が響き合う空間

まず待ち合わせたのは、同社カントリーマネージャーのアンニさん。タイミング良くスイスに滞在されていたので、半日ほど施設と周辺を案内していただきました。
vitra campusは、さまざまな建築家が異なる時代や個性を持ちながらも、お互いを尊重し合うストーリーをもとに設計されています。そのため安藤忠雄、ヘルツォーク&ド・ムーロン、フランク・ゲーリーといった世界的に有名な建築家による建物が並んでおり、有名な建築家の建物を一同に見れることに、終始ワクワクして見学しました。

まずはザハ・ハディドの処女作である自衛団用の消防署。倉庫の大火事を機に設計されたこの建物のコンセプトは、ダイナミック。直角をなくすために水平垂直が無いように見せるデザインになっており、内部では緊張感が漂うような感覚にさせられます。
つぎに、SANAAが手掛けた倉庫は、グリムショーの初期建築である波板素材との調和を意識したデザインだそうで、大窓からは自然が切り取られた風景が見えます。人工物を視界に入れないように設計された配置で、働く人々に無意識のうちに影響を与えています。このような工夫が至るところに施されています。

ザハ・ハディドの斜めのファイヤー ステーション
SANAAのロジスティックセンターの波板と大窓

安藤忠雄の作品 – 自然との対話

私の印象に強く残ったのは、安藤忠雄の建築です。
vitra campus内の建築は、彼にとって初の海外作品だったとのこと。桜の木をできる限り残し、グランドラインを低くすることで、室内から道路が見えないように工夫されています。まるで自然に囲まれているかのような心地よさを感じられました。会議室として利用されているこの建物は、働く人々に非常に人気がありいつも埋まっているそう。このような自然との対話を促すアプローチは、1990年代に建てられたとは思えないほど、今もなお新鮮で時を超えた視点を感じさせます。
この建築は、改めて「良いデザインとは何か」を考えさせられるものでした。

安藤忠雄のカンファレンス パビリオン
会議室から見る風景

vitra haus – インパクトと実用性の融合

ヘルツォーク&ド・ムーロンによるvitra hausも、また一際目を引く存在です。campus内では珍しい黒い外観が特徴的で、家の形が積み木のように重なった大胆なデザインになっています。内部は動線が複雑に絡み合っていて、見ているだけで面白さを感じさせます。
ショップ兼ショールームとなっているこの建物では、、ロフトにてサビーネ・マルセリスによるインスタレーションが展開されていました。彼女の独特なカラースキームが生み出す空間は、見る人に強いインスピレーションを与えるスタイリングが素敵です。
ショップではついお土産を買ったりと、楽しまずにはいられませんでした!

ヘルツォーク&ド・ムーロンのvitra haus
サビーネ・マルセリスの素敵な色使い

オフィスデザインの未来 – vitraと私たちの共通点

vitra campusでは、実際のオフィスも見学させてもらいました。vitraのCPS(Consulting & Planning Studio)チームのバレリーさんが案内役となります。

Vitraが提唱する「citizen office」は、従来の固定されたオフィス空間とは異なり、社員一人ひとりが「オフィスの市民」として、自由に空間をアレンジできます。壁すらも動かせる設計(実際に動かすには結構な労力…)によって、空間全体が柔軟性を持って活気を生み出しているように感じました。この「動き続けるオフィス」という考え方は、私たちの考えるオフィスデザインの本質とも、共通している部分が多くあるように感じます。
4年ごとに社員にアンケートを実施し、そのフィードバックに基づいて実験的にレイアウト変更を行うというユニークな取り組みも行っているそう。これによりオフィス空間が常に進化し続け、固定化されることなく成長し続ける姿勢が表現されているのかもしれません。このような柔軟な考え方を持ちながら、私たちもクライアントのニーズや変化に応じた最適な空間を提案し続けていきたいと思いました。

Consulting & Planning Studioのバレリーさん

私たちのこれからのデザイン

今回のvitra campusへの訪問は、、デザインに対する新しい視点を感じられるものとなりました。
デザインはただの美しさにとどまらず、そこにいる人々の生活や働き方をどう豊かにするかが重要だということを実感したと同時に、このインスピレーションを活かし、クライアントにとってより良い空間を提供しきたいと思いました。さまざまな体験を通じて、人々の働く場を豊かにしていけるよう努めていきたいものです。

vitra campusでの学びを糧に、私たちのクライアントワークも更なるアウトプットの向上へと進化していきます!!

Writing: Masayuki Sakurai (TRAIL HEADS)
Editing: Yuri Ishiguro (TRAIL HEADS)
Photo: TRAIL HEADS

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