複線化工事で何が変わるのか考察
私たちの移動に便利な鉄道ですが、路線には単線と複線と複々線と言うものがあります。簡単にいえば、車道の一車線、二車線のようなものです。
1つの線路を上下線で利用する鉄道路線を単線と言います。2つの線路を進行方向ずつに分ける方式を複線と言い、複々線は上下線で2本ずつの線路があることを意味します。
日本の主要な路線は大体複線ですが、中には単線の所もあります。
複線化、何が変わるの?
線路を片側一本増やすだけで何が変わるのかと言う疑問が発生するかと思いますが、事実から申し上げると、めちゃくちゃ変わります。
単線だと、電車同士の離合が必ず必要になります。行き違いをしなければなりません。
それは大抵の場合、駅などで行われるのですが、鉄道のダイヤは余裕を持って運行しなければならず、一回の行き違いで5分以上の時間を要します。
中には3分程度の行き違いもありますが、その場合は一本の電車が何らかの原因で遅れてしまうと、その行き違い待ちをしていた電車が遅れて、その電車がさらに行き違いをする電車を待たせてしまうと言う現象が起こります。
単線区間の行き違いにはある程度、余裕を持たなければならない事はこれでわかるはずです。
しかし、そうすると一時間あたりの電車運行本数をなかなか増やすことが出来ず、I時間あたりの運行本数は、奈良線の場合、ラッシュ時でも6本しか運行できません。
また、行き違いの時間によって、目的地までの速達性も削がれてしまっています。
しかし、複線になるとこれは劇的に改善されます。複線化すると単線で一番の難点であった行き違いが全く生じなくなるので、スムーズな運行が可能になり、山手線や東海道新幹線のように運行可能本数は3倍の15本から20本程度にも登ります。
また、複線化は行き違いがなくなるため、一つの電車で遅れが生じても終着駅で調節することにより、遅れを他の列車に伝播させることなく運行することも可能になります。
そして、単線区間では起こり得る電車同士の正面衝突も複線区間では絶対に起こりません。もちろん単線区間でも十分な対策がなされています。
奈良線の複線化
現在、奈良線はJR藤森から宇治駅間など、単線区間を複線にする工事を進めています。
奈良線は利用者数の割に、列車の編成の長さが、4両編成、6両編成など、短編成で組むことしかできません。
しかも、単線区間も多く残っていて、今後増えるであろう観光客の輸送需要に対応できなくなる恐れがあります。
奈良線の複線化工事はそういった意味でも大変重要です。
複々線化の効果は限定的
複線化で列車の運行本数や安全性が向上するならば、複々線はもっとすごいのでは?とお思いになるかもしれません。
しかし、残念ながら効果は限定的です。大都会では効果はありですが、そうでなければやる意味はあまりありません。
複々線化は快速電車と各駅停車を分けるために使われることが多いので、快速電車が必要な都会でないと、意味を為しません。また、これにより運転本数が飛躍的に伸びると言う事はありません。
まとめ
奈良線の複線化工事が2023年に大部分が完成します。私の予想ではラッシュ時など、かなりの増便が行われるのでは?と思っています。2023年の改正を楽しみに待ちましょう。
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