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北海道新幹線 札幌開業でどうなるのか?

北海道新幹線とは新青森〜札幌(旭川)までを結ぶ事が計画されている新幹線です。現在は新青森〜新函館北斗までが開業しています。

現在の終着駅、新函館北斗駅は2016年3月に開業しました。この時、初めて東京から新幹線で北海道に行けるようになりました。

北海道新幹線は「青函トンネル」と呼ばれる海底トンネルが本州と北海道を鉄道で結んでいます。

実はこの青函トンネルは30年前に完成していました。当時は在来線として使われていましたが、元は新幹線を通す目的で建設されました。

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https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/shinkansen/index.html

現在の北海道新幹線の利用状況

北海道新幹線の1日あたりの平均乗車人員は約5,000人です。この数字は必ずしも東京から利用している人の数ではありません。対して、航空路線の羽田〜新千歳は1日約27,000人です。この羽田〜新千歳の航空路線は世界一旅客数が多い航空路線で有名です。正直言ってこれだけシェアに差があると北海道新幹線は大負けと言わざるを得ません。

しかしながら、現在はまだ新函館北斗までしか繋がっておらず、特急を乗り継いで札幌まで行ったとしても東京から半日以上かかります。それでは飛行機を使うのも無理はありません。

札幌延伸で北海道新幹線はどう変わるのでしょうか?

札幌延伸は2030年

現在、新函館北斗から札幌までの間は新幹線の建設工事が行われていて、順調にいけば2030年に東京と札幌が新幹線で結ばれる事になります。

遠い未来と思っていた計画がもう10年先まで迫っています。

しかし問題は山積しています。そもそも航空利用者が新幹線へシフトするのかと言う議論が出ています。

2015年に北陸新幹線が金沢まで繋がり、航空路線から多くの客を新幹線へシフトさせる事ができましたが、この場合、新幹線は最速で東京と金沢を2時間半で結び、保安検査等に時間を要する航空路線と所要時間の面で突き放しました。

北海道新幹線が札幌まで延伸したとして、東京からの所要時間は5時間1分です。現在の東海道・山陽新幹線の東京〜博多とほぼ同じ所要時間です。

需要の大きい東海道・山陽新幹線の東京〜博多はもちろん利用者も多く居ますが、5時間の所要時間では航空路線に歯が立っていないのが事実です。

東京〜札幌を飛行機で移動すると、都心から羽田空港から30分、空港で手続き等40分、飛行時間90分、空港到着で20分、新千歳から札幌中心まで30分です。これだけ多く見積もっても、約3時間半です。これでは利用者は流れません。

そこでJR東日本とJR北海道は所要時間短縮を目指して、様々な取り組みがされています。

所要時間短縮に向けて

・青函トンネル区間の速度向上
青函トンネル区間は在来線も走っています。在来線と言っても旅客列車はほぼ無く、貨物列車が数多く走っています。その影響で新幹線と貨物列車の速度に大きな差が生まれて、新幹線が貨物列車にすぐに追い付いてしまう事や新幹線と貨物列車がすれ違いをした時に貨物が崩れてしまう可能性があります。そのため、新幹線は速度の遅い貨物列車に合わせなければなりません。現在は青函トンネル内を以前は140km/hで走行していましたが、現在は160km/hで走行しています。さらに札幌延伸に向けて、200km/h以上での走行ができるよう計画が進められています。

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・320km/hへの速度向上
北海道新幹線は「整備新幹線」と呼ばれる国の計画によって建設されています。整備新幹線の計画の規定として建設コストを抑えるため、「260km/h制限の新幹線を建設する。」と定められています。しかし、東京から遠く離れた地域であるため、速度向上は極めて重要として、JR北海道が速度向上にかかる費用の差額を負担する事で、北海道新幹線を320km/hで走行出来るようになる予定です。なお、この追加工事によって生まれる効果は所要時間5分短縮です。

・東北新幹線区間360km/h運転へ
東北新幹線ではすでに宇都宮〜盛岡の間での最高速度は日本一です。その区間でさらに360km/hへ引き上げに加えて、現在整備新幹線区間の260km/hで運転している盛岡〜新青森も320km/hへ引き上げる計画がされています。


これらの取り組みによって4時間〜4時間半まで所要時間を短縮できる見込みです。

まとめ

人々は新幹線と飛行機が同じ所要時間であれば新幹線を選ぶ事がデータにより分かっています。

また多少飛行機に所要時間の面で劣っていても一定数は新幹線を選びます。それは手軽に乗れるからです。

駅に着いて「そうだ大阪行こう」と思ったら3分後ののぞみに乗って2時間半後には大阪に着きます。それが新幹線の最大のメリットと考えています。

また、飛行機と異なり、途中駅が存在します。なので東京〜札幌で利用者数が芳しく無くても、現在、東北地方から札幌へ向かっている旅客の大半が新幹線へシフトすると見られています。

一方で、航空業界のLCCや割引チケットは大変魅力的です。鉄道は運賃を変えたり割引したりする事がなかなか難しく、きっぷも1ヶ月前からしか購入できず、ネット予約も航空業界に比べて発展していないので間違いなくそこが鉄道のデメリットになりそうです。


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