下方修正で株価暴騰中の武蔵精密工業 運命を分けた2枚のスライド
武蔵精密工業の株価が、決算発表を受けてわずか5営業日で2000円から3600円近くまで急上昇しました!
発表内容が「下方修正」だったのに株価が上がった理由は?
普通、下方修正って悪いニュースのはずなのに…一体何が起きたんでしょう?
ちょっと掘り下げてみました。
決算の内容をざっくりチェック!
まずは発表された数字を見てみましょう:
• 売上高:173億円(進捗率 51%)
• 営業利益:78億円(進捗率 38%)
• 純利益:29億円(進捗率 27%)
ぱっと見、売上高は順調そうですが、利益面では少し足りない感じですね。
会社側は「中国の自動車市場の動向を考慮」という理由で、業績見通しを下方修正しました。
「下方修正」と聞くだけで株価が下がりそうなものですが、今回は真逆の動き。ちなみに決算を受けて当日のPTSは大幅下落、翌日も寄付直後は一瞬マイ転していました。
なぜそんなことが起きたのか、正解は決算説明資料にありました。
運命を分けた2枚のスライド
株価急騰の理由の一つ、それがこちらのスライドです。
注目ポイントは「インド市場」
武蔵精密が力を入れているインド市場の成長見通しがとにかく良好!
スライドによると、2030年には2023年度と比べて市場規模が約2倍になるという想定が出ています。
具体的に数字を追いかけてみます。
2023年度の武蔵精密の売上高は約3500億円。そのうちアジア市場(中国を除く)の売上比率は22%なので、ざっくりインド市場を20%の700億円くらいと仮定します。
すると、2030年にはインド市場だけで2倍の1400億円程度になると予測できますね。
世界で需要が爆発する新技術か!?注目の「HSC」
インド市場以上に、株価を動かした可能性の高いスライドがこちら!
新規事業で手がける「ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)」の需要予測です。
次世代蓄電池デバイス「HSC」とは?
ざっくり言うと、「蓄電池」の一種です。
HSCの特徴は、高出力・長寿命・高い安全性。特に瞬時の電力供給が可能とされています。
どんな場面で使われるかというと、たとえば…
• 工場の瞬間停電対策
• EVモビリティ等の補助電池
そして、今特に需要が期待されているのがデータセンターです!
データセンターとHSC
データセンターでは、瞬間的な停電を防ぐために非常用電源が欠かせません。
HSCは、まさにこの「非常用電源」として大きな役割を果たすことが期待されています。
しかも注目すべきは、需要の伸びが想定以上に速いこと!
従来は「2030年頃に需要が本格化」と予想されていましたが、最新の見通しではそれが3年前倒しの2027年になるとのこと。
AIによるデータセンター投資の急増を受けて、設備投資を加速させており、年間の生産能力を現在の20万セルから650万セルまで拡大を計画しているとのことです。
武蔵精密工業のHSCが具体的にどんな競争優位を持つのかは不明ですが、三菱電機とHSCに関する業務提携を結ぶなど、着実に販路拡大に向けて動いている様子が伺えます。
実際に業績に反映され始めるのは2025年の夏頃だと思われます。
次世代の蓄電池デバイス「HSC」今後の動向に注目していきたいテーマですね!
機関投資家の動向
10/21:三井住友DS 大量保有報告書提出(義務発生日10/15)
11/7:決算発表
11/8:株価上昇開始
11/8:野村證券 大量保有報告書提出(義務発生日10/31)
11/18:野村證券 レーティング変更(2600円→4000円)