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大学での勉学とスポーツの両立

これを語るにはアメリカの大学スポーツNCAAのシステムを無視する訳にはいかない。

 昨今話題になっているので周知の通りだと思うが、成績がある一定のレベルに達しないと練習も試合も出れない。特待生から外れ奨学金が減額される。
それを防ぐために各大学のAthletic Deptが主導して選手のヒアリングを度々行い学習状況を週ごとにコーチへ報告する。家庭教師も無料で手配してくれ、選手の為のカフェ付き専用勉強スペースもある。

 また、NCAAにはルールブックがあり入学前の手順〜卒業するまで取り決められている。
契約社会のアメリカらしくきめ細やかな、まあハッキリ言うと重箱の隅を突かれても大丈夫な様に少しの抜け道も見つけられない。

 長男の留学にあたり読破したが完璧なルールが設定されている事に関心したものだ。その400ページを超える分厚いマニュアルが毎年更新されている。
(ご興味ある方は読んでみて下さい。睡眠導入には最適😁)

 その原資は放映権やライセンス商品の販売などにより潤沢で、アマチュアスポーツ世界一を自負するに値するサービスを提供している訳だ。

 その中でも人気のスポーツ、アメフトやバスケットボールの選手の中には貧困層出身者も少なくない。親戚家族の中で誰も大卒が居ないFirst in the Familyにあたる選手は親戚中が集まってパーティーを開く。
大学もFirst Generation Studentsとして集会をやったりする。ケアは本当に素晴らしいほど細やかだ。そのような家庭で育った選手は非常に勉強に苦労している事も珍しくないが、大学の授業の内容やスコアの付け方が日本とは全く異なるため、テスト勉強が中心という概念ではない。前述の学校手配の家庭教師ががっちりとサポートしてスコアが落ちない様に見守っている。

 文武両道を目指して日本がこれを真似しようとしても不可能だと思う。
経済的な側面で云うと、そもそもの資金力が違う。ESPNの放映権で50億円と聞く大学もあるレベルだ。寄付ですら某大学のフットボールスタジアムは個人の寄付で立てられ、その資金は確かテキサスレンジャースの売却益だったかと。もうスケールが笑える程違うのである。

 また選手達のマインドを考えると義務教育〜高校とスポーツばかりで勉強する癖がない子ども達に急にやれと言っても無理がある。「やはり家庭教育でしょ。」と言うのは簡単。ただ実際のところ共働きの家庭が多い現代では非常に困難が伴う事も事実。

そこで、何か手助けになる物は無いのかと考えた処、ふと思い出したのが学童保育と云う素晴らしいシステムだ。
海外ではオランダリーグのアヤックスが似たようなシステムを導入していたと記憶している。
子供達は学校が終わったらクラブハウスに向かい、専門の学業支援スタッフが宿題をみて終わったら練習に向かう。親は安心して全てを任せる事が出来ている印象だった。

行政の運営する学童保育との協業か、教える事のプロである民間の学習塾との協業がアイデアとしては考えられるかなと。
とは言え学童保育の場合は予算や人員が限られている為、一部の官営民託以外はリソースが厳しいのかも知れない。色々と課題は多いかと思うが手始めとしては、今あるシステムの有効活用で始めるのが無理なく続くのではと考える。

 グダグダとごたくを述べて来たが最も私が言いたいのは、将来スポーツを志す者も、小学生の段階から親が責任持って学習の癖を地道に付けていく日々の努力が大切であると云う事だ。
もっと年齢を遡って言うと、乳幼児時のベッドタイムストーリー(寝る前の絵本の読み聞かせ)は非常に効果的だ。想像力と表現力がつくし、挿絵の美しい絵本ならば美術的センスまで養われるというオマケもついてくる、良い事づくめなのだ。
話題は少し逸れ私事で恐縮だが、我が家は長男に小学生2年生まで毎晩読み聞かせをしていた。出張でいない時は主人がやるか録音して続けた。
私がエリックカールのタッチが大好きだったので、毎晩読んでいたら図画でのカラータッチが似てきて独特な色使いでコンクールに入賞するなんて云う嬉しい副産物もついて来た。

話を家庭教育に戻すと、「スポーツの才能があるから勉強は別に良いや」と親が心のどこかで思っていると、そこそこ以下にしかならない。子供も好きな事しかやらない習性がつく。
諦めずに親子で少しづつでも努力した子は、スポーツの中でも学習して行く能力が高くなり、重要な決断をする時にも自分なりの考察をして判断していけると感じている。

 “机に向かう癖を養う”と云う事が将来大学でのスポーツと勉学の両立の“はじめの一歩”だと云う事を頭の片隅にでも覚えていて欲しい。願わくば美しい絵本達で子ども達の眠りを誘って欲しいと思う。

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