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2024ティキィゼミの振り返り



3Dディスプレイとティキィゼミ設立の背景

研究テーマとしての3Dディスプレイ活用

私の研究テーマの一つとして長らく追い続けている「3Dディスプレイ」について、具体的な取り組みをお伝えします。2022年には茗荷谷のMG CAMPさんに訪問しデモを拝見したり、セブンイレブン麹町店で実証実験中の空中ディスプレイを視察し、さらにSpacial社の藤原氏との対談を通じて多くの機器や新技術に触れる機会を得ました。
また、昨年開催されたHANAZONO EXPO 2023でのMIRAI BAR社様の展示に感銘を受け、その後大阪芸術大学でのデモ実施にもつながりました。この継続的な活動が、今回片山さんがコース賞を受賞する作品の制作にも影響を与えています。

ティキィゼミの役割と設立の目的

ティキィゼミは、大阪芸術大学デザイン学科デジタルアーツコースに属する卒業制作ゼミのひとつであり、UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンの活用を含む、新しいデジタルアート作品の制作を専門とする場として、私が2年前に設立しました。このゼミの目的をあらためて定義すると、「新しいデジタル表現技術やIoTハードウェアを学び、その可能性を作品に活かします。独創的なアイデアで未来を感じさせるアート作品を制作します。さらに展示では、表現の豊かさと丁寧な仕上げにこだわり、表現と技術の両面でプロとしての専門性を身につけます。」に、なるかと思います。
今年、ゼミからコース賞受賞者が誕生したことは、指導ゼミとして一定の成果を挙げている証といえるでしょう。また、私が専任教員を務めるHAL大阪のご理解とご協力があり、OUAでの卒業制作指導を行えることにも改めて感謝しております。


今年度までの取り組み

ここで、記録という意味からティキィゼミでの指導について少し振り返っておきます。

1年目:ステート管理というUI基礎の深耕

初年度には、グラフィック研究の授業を通じて、UI設計の基礎を学ぶ演習を行いました。特に、異なるプラットフォームにおけるボタンのステート管理や、その動的な変化を内観する技術をテーマに設定。将来的に必須となるスキルの習得を目指しましたが、テーマが狭く固定されているため、学生にとって興味を持ちづらい点が課題でした。それでも、片山さんの緻密なパターンアニメーションや波喰さんの和風デザインなど、受賞した学生の個性が垣間見える成果が生まれました。

2年目:C#モジュール化による制作スキルの強化

2年目には森先生の協力を得て、非プログラマーでもゲーム制作に取り組めるよう、Unityスクリプトがモジュール化した環境でゲーム制作への集中を進めました。また、卒業制作を見据え、前期授業にゼミ生を聴講させる取り組みを推進。結果的に、この授業への出席率がスキル向上に寄与しました。やはりスキル習得は練習量に比例する傾向があります。


今後の展望

Unity授業の継続とハードウェア演習の拡充

来年度も「Unityゲーム制作」の授業を継続します。学生の手が動き、展示成果も出ている点でこの方針は確立しています。一方で、ハードウェア系の演習を充実させる計画です。具体的には、前期早期にArduinoを活用した基礎演習(LED点灯制御:いわゆるLチカ)をゼミ生全員に実施し、IoTの基本を押さえる予定です。これにより、従来個別に対応していたターンテーブル制御(ATOM Lite)や自作アーケードコントローラー(Brook Zero Pi Board)を、より効率的で早期の取り組みに移行します。

プロトタイピングと施設活用

高硬度発泡スチロールや木工を用いたインタフェース設計や筐体制作にも注力します。芸大の木工室や金工室の活用を促し、レーザーカッターや3Dプリンターに加えてこうした伝統的な設備への理解を深めることを目指します。これらの演習用の教材費用については、予算面ではまだ課題が残るため、産学連携での協力を呼びかけています。

アーケードゲーム開発者として

このように、私はアーケードゲーム開発者としてゲームごとに異なるハードウェアにて開発をしてきた経験を最大限に活かした指導を計画しています。物理的インタフェース設計の基礎を学生に教えることで、彼らが自分たちのアイデアをより現実的なプランとして立案し実装できるクリエイターへ成長するよう支援していきます。

デジタルアートと身体性の拡張

私自身の最大の研究テーマである「デジタルな身体性の拡張」に基づき、物理的なインタフェース設計やインタラクション最適化への指導を優先的に行う計画です。このアプローチが、学生のクリエイティブな可能性をさらに広げると確信しています。


大阪芸術大学 卒業制作展2025のお知らせ

片山さんの作品を含む、デジタルアーツコースの優れた作品は、卒業制作展でさらにブラッシュアップされて展示されます。ぜひお時間を取って会場に足を運んでください。

  • 開催期間: 2025年2月9日(日)~2025年2月16日(日)

  • 開場時間: 11:00 ~ 17:00

  • 会  場: 大阪芸術大学


お問い合わせ

デジタルアーツコースに興味を持った学生のみなさんへ
大阪芸大は2回生から、デジタルアーツなどの各コースへ別れます。
卒業制作を行うティキィゼミは4回生からになります。
詳しくは大学ホームページをご参照ください。
企業の方へ
大阪芸術大学では産学連携研究を広く行っております。
ティキィゼミへ直接のご相談はXのDMでお願いします。

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