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自分らしさを大切にするキャリア形成|旅する暮らしをする元看護師の場合②気功との出会い編
今日は病院を辞めて、タイのチェンマイで気功の師と出会った話について書いていきたいと思います。
マクロビオティックが引き寄せた出会い
あの頃、私はヒーリングタッチに出会い、その世界に引き込まれていました。
病院を辞めて、アメリカに渡り、国内外を飛び回りながらホリスティック看護への姿勢と実践を学んでいたけれど、心の中で、
何かが足りないような気がしていました。
そして、
目に見えない”気”や”エネルギー”に対する猜疑心や
「ほんとうにこれが私が求めていたものだろうか?」
という疑問が、次第に膨らんでいきました。
何かを学ぶことはできても、根本的に自分が求めていることには辿り着けていない気がしていました。
それで、私はヒーリングタッチの学びを一時的に中断することを決意しました。そして、自由な時間を手に入れた私は、ふと思い立ち、タイのチェンマイで開催されるヨガリトリートに参加することになります。
単身でタイの古都チェンマイへ
そこは、チェンマイの旧市街にあるマクロビオティックカフェ。どこか懐かしい匂いが漂う、心落ち着く場所。
偶然、そこにいた日本人女性と出会ったことが、私の人生を大きく変えることになるなんて、その時は思ってもみなかったのです。
これが、私の学びたかったことだ
私は、退職前は公立病院の脳神経外科や内科の病棟で働いていた。田舎の高齢化が進んだ病院で、ICUもなく、急性期の患者さんたちは他の患者と同時に対応せねばならない現場でした。それでも私は、少しでも患者さんたちの痛みや苦しみを和らげるために、呼吸療法を学んでいました。そして、呼吸療法士を取得したことで、薬や酸素だけに頼らず、体位や水分量、リハビリテーションを駆使して、予後に大きな影響を与えるということを身をもって感じていました。単に指示された業務をこなすだけではない、看護のもつ力を実感していったのです。
しかし、次第に気づいたことがありました。高齢者の中には、誤嚥性肺炎や嚥下機能の低下で寝たきりになり、苦しむ人々を目の当たりにしました。
そして、もしかしたら、若いうちから呼吸を意識して鍛えることが、後々の苦しみに備えることになるのではないか?
そう考えていた私が出会ったのが、タイから伝わってきたメディカル気功です。
チェンマイのマクロビオティックカフェで出会った女性は、当時チェンマイで気功のインストラクターとして活動していて、私をオープンクラスに招待してくれました。
その時、私が出会ったのは、ただのエクササイズではなく、呼吸と動きが融合した新しい世界でした。気功は、呼吸をアートとして捉える技術で、東洋医学の鍼灸を基盤にしたその動きが、私の学んできた呼吸療法と驚くほど似ていました。
気功の知恵は、数千年以上も前から東洋の人々の健康を守ってきました。
気功の動きは、難しいことは一切なく、誰でも楽しみながら、日常生活に取り入れられるものです。そして、何よりも驚いたのは、その動きが、体の血流や内臓、そして精神までも調和させ、自然治癒力を引き出すものだったことです。
新たなホリスティックケアの扉
私が学んだメディカル気功は、単なるエクササイズにとどまらず、身体感覚を研ぎ澄まし、陰陽五行に基づく環境や季節の変化を感じ取りながら心と体のバランスを整えていくものです。仏教の教えにも通じており、私が長年、緩和ケアの中で感じていた「スピリチュアルケア」への答えを見つけた気がしました。実際に、タイの修行中は師とともに何度も寺院に通い、僧侶の方々から直接教えをいただく機会をいただきました。
マッサージや薬、ヒーリングで一時的な痛みや苦痛を和らげることはできるけれど、根本的な原因である心と体の癖に気づき、習慣を変えていくことこそが、私が本当に求めていたケアだと確信していきます。
病気や老いを避けることはできないけれど、その過程で生じる苦しみを少しでも和らげ、
”備えていくこと”こそが、私の使命だと思うようになりました。
まとめ
こうして、私は看護師からホリスティック看護へ、そして気功のインストラクターへの道を歩み始めました。もちろんこの道のりの中で、”気”や”エネルギー”は何か?という問いについても、明確な答えに出会っていきます。
その道を導いてくれた私の師匠。
熱心で厳格だけれど、ユーモアと創造性に溢れたチャーミングな彼との出会いが、私の人生をもっと彩り豊かに輝かせてくれるものとなるのです。
そして、師との出会いから2年後。
日本の小さな診療所で、ホリスティック看護師、メディカル気功のインストラクターとしての実践が始まります。
そして同時に、とあるご家族との出会いが、私の歩む道の道標となっていきます。
それもまた、ご縁に繋がれて。
この話も、またいつか、別の記事で。