日経225先物・オプション戦略〜統計学でSQを攻略する〜(3.変動の現状把握②)
3.変動の現状把握
3−4 母集団とサンプルの基礎知識
株式や先物・オプションの取引ルールを決める際、過去のデータを利用して、どのような条件の時に上がるかもしくは下がるかといった分析を行っている人も多いと思います。
その分析で重要なことが、調査対象の母集団が何であるかをよく理解するということです。なぜなら、母集団が何であるかを見誤った状態で解析しても、間違った結論しか得られないからです。
母集団には大きく分けて2種類存在し、データ数が限られている有限母集団とデータ数が限られていない無限母集団があります。この母集団からサンプルを取ってデータを収集し母集団を推測することを多くのトレーダーは行っています。(「図3.3 母集団とサンプルの関係」参照)
なぜ母集団を見誤りやすいかというと、それは母集団が調査の目的によって変わってくるからです。株式におけるアベノミクスの成果を調べたいのであれば、母集団は安倍さんが首相に就いていた期間の株価全体となり、有限母集団になります。一方で、多くのトレーダーがやっている各売買条件から値動きを予想したいのであれば、母集団は過去を含めた未来の全データとなり、無限母集団になります。
また、母集団の情報を正しく捉えるためには、サンプルが母集団を正しく代表している必要があります。レンジ相場ではオシレータが機能していたけど、レンジブレイクしたら全く使えないというのはこれに当たります。レンジ相場のデータからのみサンプルを取ってしまっているからです。
そういった意味でも母集団が何であるかを正しく理解することはとても重要です。
3−5 大数の法則と中心極限定理
サンプルのデータ数を大きくするとその平均値のばらつきが小さくなることが知られており、これを大数の法則と言います。データ数が多くなると必ず理想的な確率に収束するということです。多くのトレーダーが移動平均線を使ったりするのは、1つだけではなくいくつかのデータを使って評価した方が母集団を正しく捉えやすくなるからです。
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