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Qujila EPIC期リマスター記念クロスレビュー(2) 「MIX 花カラスNEON」バージョン聴き比べ大会(その2)

 昨日は思いの外前置きが長くなってしまい、前代未聞の各レビューに移る前に終了してしまいましたが、いよいよ本日からはQujila3rdアルバムのリマスター再発盤「MIX 花カラスNEON」の収録曲バージョン聴き比べレビューの始まりです。長々と書き連ねると昨日の二の舞になりますので、早速本題へ移ってまいります。本日は12曲中の前半6曲までとなります。それではお楽しみください。

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1.「オレンジ」

 作詞:杉林恭雄 作曲:杉林恭雄・楠均・Q 編曲:Qujila

@tpopsreryo:
1曲目「オレンジ」。NEONバージョンはスネアの種類も豊富で全体的にゴージャスな曲という印象。また快活なコーラスの粋がいいですね。ポルタメントの効いたシンセソロも効果的。ギターの分離はこちらの方が良いと思いますね。あれ、音のことしか言ってないわw
かたやMIXバージョンは、少々テンポをアップしつつブラスセクションを入れてさらに明るく。ギュッギュッというSEが加わりアクセントに。ギターソロのドローン気分が雰囲気出てますね。そして全体的にスネアの圧力が増してます。ラストにはオケヒットも。軍配は「MIX」の勝ちですね。

@junnovi:
NEONバージョンは、カルメンかフラメンコの曲みたいな「カカカカ」と鳴るパーカッションがスパイス。リズムも少し遅めで、どっしりドリアンみたいな重量感。少し脂も乗っていそうな中トロ具合や粘り気グミグミ感がイッパイw
そのねっとり感は好きなんだけど、やっぱり果実的な豊潤さは「MIX」方が上かなと思う。フルーツの持つ熟れたたわわさとか、おどけたような雰囲気が上手く表現できていて好き。爛熟の音があちこちに仕込まれていて楽しい。あと聞き慣れているせいか、こっちのテンポの方がウキウキ感高くて好き。メロディーが持つ開放感も秀逸。それにしても3人Qujilaでここまで強い音が詰まっていたんだとリマスターで再確認。コードも多用しており曲としてのカラフルさは群を抜いているね。
あと、この曲の出だしの歌詞・着想って、杉林恭雄が鈴木祥子に歌詞を提供した「メロディ」にも散りばめた形で援用されてるね。「街をオレンジの子供たちが走る。雲の切れ間からはしごを下りてくる。・・・空に七色の魔法の粉が降る。虹のふもとから電話をかけている。」

@tpopsreryo:
さすが深いっすねw ワタシはQujilaに対しては音でしか語れない部分がある。先が思いやられるw やはり「MIX」の方は無駄に見えて効果的な音を加えることによってよりカラフルに仕上げている感じがするのね。スネアの処理は対照的で種類をとるか音圧をとるかのせめぎ合い。

@junnovi:
うんうん。この曲については「MIX」にした意図というか意味がとても良く表れていると思うんで。潔いスネアの方がマッチしてると私は思うよ。
この曲もええ曲やわ~。もとい。歌詞では「オレンジ」は最初にしか出て来ないのに、「キュッ」という言葉が何回も出て来て、柑橘系の酸っぱい味を連想してしまい、ずっとオレンジの中にいる感じがする。この「キュッ」は靴の音だったり、胸の音だったりするんだけど、口の中もキュッて縮むんだわさ。ということで、私の中での比較は、、、
MIX>花カラスNEON
です!

@tpopsreryo:
比較は同意ですね。どちらかというと躍動感のある楽曲なので、サウンドはさらにゴージャス感のある方が良いと思うのです。そういう意味ではやはり「MIX」で再構築した意義はあるのかなと思いますね。

@junnovi:
やっぱ、センセのコメント的確やで。ワタシのは長いからね~。だって形容詞をどれだけ盛るかが生き甲斐なんでw てかセンセも「MIX」に軍配上がるんやね。良かったわ。最初から違ってたらどないしよかと思ったわ。

@tpopsreryo:
いやあ、いきなり思い入れの少なさが表面に出てて恥ずかしいw ただどちらが良いかは理由づけられると思うので、なんとか。それでは次いきましょう。


2.「MONKEY」

 作詞:杉林恭雄 作曲:杉林恭雄・楠均・Q 編曲:Qujila

@tpopsreryo:
2曲目「MONKEY」。カラスバージョンは各パートの分離が非常に良いですね。リマスターのおかげかな? 全体的にギターの主張が激しくて、左右でフレーズは異なるし、右パートをなぞるギターソロもニクい。乾いたドラムも良い。ワンワンコーラスが生のためか口が回ってないのも面白い。
MIXバージョンは、ワンワンコーラスがサンプラーなので機械感がたまらない。テンポ少し早めに音数も豊富になり完全に豪奢に。獣の咆哮のようなギミックにチューリップ節の挿入など遊び心も。ドラムパターンのノリが非常に良くて、楠均のセンスが光りますね。実は断然「MIX」に軍配。
そりゃあこんだけゴージャスになったらちょっと叶わないなあって思いますね。この曲はお気に入りの1つでもありますね。

@junnovi:
この曲も1曲目の「オレンジ」同様、くじらの曲の中でもアグレッシブに攻めるタイプの曲。リズミカルなアレンジが、猿のおどけた性格と言うか、街をぶらつく不埒でいちびっている若造と重ね合わさってて、面白い。どこか斜に構えたメロディラインも彼らのひねくれた性格を現わしているようで良い良い。で、比較だけど、カラスバージョンのOPのワンワンワンにはセンセが言うとおり、人間味があるね。ギターがかなり前に出ているのと、ヴォーカルに気持ち良いリバーブというか反響音が混じっているのが良い。
この曲も「オレンジ」と同様カラスバージョンの方がテンポ遅め。ベースとギターの絡みが「MIX」ほどないので平坦な印象がある。まるでそれぞれのパートを別々に録ったような感じがするほど。センセは分解能っていう表現を使ってるけど、そうなんかも。
MIXバージョンは、OPのワンワンワンがとっても機械的で私は好み。ギタープレイも何か色々とやってて好き。サビに入る前のうなり声は一体何だろう。あと間奏のチューリップのフラット気味な音程で挟んだアイデアは安っぽくて好きかなぁ。
終わり方のフェードアウトは猿がどっか遠くに行ってしまうような感じかな? ということで私の中での比較は、、、
MIX>花カラスNEON
です!ま、これも「オレンジ」で「MIX」が良ければそうなるかなと。

@tpopsreryo:
ノリに任せてチューリップを挿入したという感じが良いんですよね。そして後半はフェイク織り交ぜてノリノリ。このノリがあるのも楠均のドラムが生み出しているからこそですね。正直Qujilaは楠のドラムあってのグループといっても過言ではないと今回認識を改めています。

@junnovi:
もうセンセと同じところ突っ込んでるな~w シンクロしてるね。やっぱり「MIX」の方が良いよね~。そうそう楠のグルーヴ感のあるドラムス、良いよね。これ重要やったのに書いてなかった!

@tpopsreryo:
楠っていろんなアーティストのサポート呼ばれたり、なぜかソフトバレエでも叩いたり、今ではKIRINJIのメンバーにもなってるけど、さすが引っ張りだこになるだけの実力を既に備えていたんだなあと思う。今回ちゃんと指摘しておきたかった。既に自分の中で楠のバンドという認識にw

@junnovi:
昔eZでQujilaが出てたことがあって、そん時の「火星」って曲で、楠のドラミングがスリル満点でね、センセじゃないけどこの人の演奏ばかり見てしまってたのを思い出すよ。何かね、凄くジャストに叩くし、意表を突くんよね組み立て方って言うかさ。

@tpopsreryo:
まあまた後の曲でも言及するけど、フィルインがいいんだよね。スゴくツボを突くノリを出しているというか。シンプルなんだけど思い切りが良いというかね。 次いきましょう。


3.「カラス」

 作詞:杉林恭雄 作曲:杉林恭雄・楠均・Q 編曲:Qujila

@tpopsreryo:
3曲目「カラス」カラスバージョン。これは物凄く生々しい。確実にフォーキー寄りなんだけど、おかげでメロディの訴求力が高いです。この曲調であればこのくらいシンプルなのが良いかもしれませんね。シンバルの減衰音まで楽しめます。輪唱コーラスも楽しそうです。
MIXバージョン。ドラムにリバーブがかかって後ろに引っ込んだ印象。残響音がかぶって一層ドリーミーに変化。そして途中から心地良いストリングスが挿入されてきます。これは卑怯だわ。どうあっても名曲度UPするじゃないの!輪唱コーラスもどこか優しげに聴こえる。これも「MIX」に軍配。

@junnovi:
ミュージックトマトJAPANというテレビ番組で「カラス」のPVを初めて見た時の驚きは今も忘れられない。私にとってのくじらは全てあの時に始まったんだと思う。何から何までない。その「中空構造感」が尋常じゃない。何かを語っているけれど何も語ってなさそうな。
その曖昧で不可思議さに金縛りにあった。歌詞の不思議さは相当で、一度聞いてしまうと二度と頭から離れない。「センターフライが~」「ジャストミートなら~」「小さなカラスはきっと君のこと好~きだよ」とか、ちょっと忘れられない節回し。不思議!
当時はこの曲の良さを理解できなかった。「♪アドバルーン」でメロディが跳ね上がる所を何の気なしに鼻歌で歌っていたら、いつの間にか好きになっていたという曲。私にとってQujilaの歴史そのものなのです。
カラスバージョンは、ギターを中心に据えていることで、ギターで作り、ギターで歌う曲という、この曲の誕生したいきさつをストレートに表現していて、その純朴さについてはこっちに軍配が。この曲は愛情の歌だと思うので、その点で考えれば「MIX」の方が好みに。
ストリングスは入れて正解。サビが終わった後の、とても美しいコーラスと上手く溶け合うように響き合っていて、素晴らしい。この独特なコーラスワークの妙を上手く捉えているのは「MIX」の方だろう。曲全体のまろやかさと優しさはこっちに軍配があがるね。
ということで、私の中での比較は、、、
MIX>花カラスNEON
です!音楽的な広がりが違うんですわ。

あらま。またしても、示し合わせたかのような結果になったね。輪唱コーラスっていうの?w あの部分は本当に素晴らしい。どうしてあんなフレーズが思いつくのかとため息が出るほど。それをしっとりとストリングスが支えているんです。素晴らしい!

@tpopsreryo:
いやはや全く同意ですわw こちらが言葉足らずのところを埋めてもらえるので、それだけでもうまとめになってるわw そう、この曲はストリングス一発勝負ですよ。あれでグッと引き込まれる。それ以上のコメントはないですよ。というわけで次へ行っちゃいます。

@junnovi:
この曲のストリングスは、流麗なのに、ちょっとへんちくりんなところもあって、結果としては優しく包み込むような広がりを作ってこの曲を一層豊かにしたのでした。ストリングスを入れて正解でしたね~。


4.「キリン」

 作詞:杉林恭雄 作曲:杉林恭雄・楠均・Q 編曲:Qujila

@tpopsreryo:
4曲目「キリン」NEONバージョン。これは普通にファンクですね。控えめに最小限なシンセに耳がいってしまう。音数の少なさが余計にヴォーカルを引き立てています。非常に聴きやすい声に。柔らかいエフェクティブタムの挿入にニューウェーブ魂が。この曲もドラムのフィルインのタイミングが美しい。
MIXバージョンは、ブラスセクションも入ってゴージャスに。ただ少し増長過ぎるかもしれませんね。1コードで推移するファンクのリズムを堪能したい耳には余分かも。ギターもシンセも前に出て来て音像は派手に。しかしこの曲の本題はそこじゃないような気もして・・これは「NEON」に軍配。

@junnovi:
この曲も結構ファンキーで「MIX」って弱々しいイメージが私の中では強かったんだけど、それはCDの音自体が小さく細かっただけで、楽曲は中々力強かったのだ。曲の後半、ベースがブーンブーンと何度も音程が物が落下するように落ちていく所が、まるで曲のファンダメンタルな部分が抜け落ちていくようで面白いと思うんよね。NEONバージョンについては、この曲の要はベースとギターとの絡みだと思うので、それがストレートに判りやすいのはこっちかと思う。一方MIXバージョンはホーンセクションを導入してファンキーなサバンナ感(ってどんなん?)を出しているけど、私はそこまでこの曲をファンキーにしなくても良いと思うんですわ。ということで、私の中での比較は、、、
MIX<花カラスNEON
です!やった『花カラスNEON』初勝利!

う~わっ!センセまで「花カラスNEON」? これは裏で示し合わせてるように思われても仕方ないけど、驚いたな。ホント、ここまで来て思うんだけど、なんか似てるね「突っ込む」ポイントも!w

@tpopsreryo:
全くの偶然ですw ポイントもかぶること多いし、耳にくるところは一緒ということですね。ちなみにあのベースのブゥーンももちろん気になってました。字数がなくなったので触れませんでしたが、あれも良いですね。あれが目立つ処理ということだけでも「NEON」の方が良いと思いますw

@junnovi:
ホントに驚きやなぁ。そんだけ聴くポイントが似てるって言うのに、Qujilaを私は熱心に聴き、センセはさらりと聴くという違いは、どこにあるんだろね。恐らく杉林恭雄という個性にどこまで着目し、こだわっているかどうかなんだろうけど。


5.「あたらしいひと」

 作詞・作曲:杉林恭雄 編曲:Qujila

@tpopsreryo:
5曲目「あたらしいひと」花バージョン。12インチシリーズに共通していることですが、この楽曲もギタードラム共に生々しさが目立ちます。最小限の音の配置ですが、タムにわずかにエレドラが入るのを聞き逃せないw 1コードミニマルで延々と続きそう。サビの「イェー!」コーラスは流石の不思議感。
MIXバージョン。イントロから剥き出しのシンセフレーズで異なった印象を醸し出します。コーラスにメタリックなシンセが絡んだり、粒立ちの良いストレンジなギターソロは入ったりサウンドがいろいろと豪華に仕上げられ、盛り上がりが格段に違います。というわけで断然MIXです。

@junnovi:
来ちゃいました。どっちでもいい時間帯。で、この花バージョンですが、ぶっきらぼうなメロディラインと、独特なコーラスというか合いの手ワーク。特別好きという訳でもない曲ですわ。バンドサウンドに近いテイク。平坦な感じはしなくはないのだけど、楠のドラミングをはじめ曲としての直截な肌触りはこっちの方が良いと思う。一方、MIXバージョンは、硬質な金属の弦が低い音でビンビン鳴っている。シンセが音と音との間を縫うようにフレーズが加わっている。そのメリハリがついてて盛り上がりも一層というのもあるけれど・・・。
ということで、私の中での比較は、、、
MIX<花カラスNEON
ですね。何かね、余り拘って聞けないんですわ、さほど思い入れがないから・・・。恐らくライブとかで演奏されると一番困るタイプの曲だと思う。

@tpopsreryo:
遂に意見が分かれた〜っ!w これはワタシがひとえにテクノロジー耳だからですね。あんなノンエフェクトっぽいシンセ入れられた日にゃあ、そっちを選ばざるを得ないのです。

@junnovi:
おお! ここでまるで見え見えのシナリオを開陳するかのように、意見が二分しましたね。そうなんだ。「MIX」の方が良いんだ~。正直言うと、私はそんなに差はなくて、どちらでもいいですw

@tpopsreryo:
まあ全て同じ意見というわけにはいかないでしょw というわけで次いきますよ。


6.「少年」

 作詞:杉林恭雄 作曲:杉林恭雄・楠均・Q 編曲:Qujila

@tpopsreryo:
6曲目「少年」カラスバージョン。オリエンタルで牧歌的なメロディによく似合う、控え目が低音フレーズの雰囲気が出ています。これも淡々として1コードで進行していくと共に最小限に音を絞り込んでいるので、ドラムの素の響きがダイレクトに訴えかけてきます。分離の良いクッキリした音像です。
MIXバージョン。全体にうっすらリバーブをかけているためかパワフルさには欠けてしまうきらいも。放課後の吹奏楽部みたいなホーンアレンジが加わりますが牧歌的なほのぼの空気は薄らいでしまったかも。この曲に関してはドラムの前への出し方の好みもあって「カラス」の方に軍配が上がります。

@junnovi:
ノスタルジックな曲。どこか昭和というか日本のカツオと昆布とシイタケのダシの味。リマスターで初めてハッキリ聞こえたけど、この低音のウゴウゴ動くような音がすごく不思議で、まるで二日酔いみたいな感覚になる。
カラスバージョンは、この元々のテイクから、湿った土の中の昆虫の蛹が蠢くような音はあったけど、まだまだ弱いと思う。この曲独特の個性の原型は確かにあるんだけど、ジャストな度合いというか面白い度合いや調合ができているのは「MIX」の方だろうなと。あと2番で「灯を落としにくる」のところの、コン!!と鳴るカウベルはこっちの方が際立っていて、好きやね。
一方MIXバージョンやけど、今回のリマスターで一番息を吹き返した曲じゃないだろうか。何だろうこの不思議な浮揚感というか空気感やろか。ワンワンというコーラスといい、謎めいた音がひしめいている。これくらいの怖さを2ndアルバム「Tamago」の「賛美歌」では表現して欲しかった。何のための小野(誠彦)&清水(靖晃)だったのだろうと思ってしまった。ということで、私の中での比較は、、、
MIX>花カラスNEON
ですね。

お。おろ? また分かれたね。そっか~。じゃ、次行きましょか。

@tpopsreryo:
どんどん意見が分かれてきましたw MIXバージョンはね、あのキモとなるホーンセクションが必要なく思えるんですよ。既に完成されている曲にとってつけた感を感じるんですね。音自体は好きなんですけど、あの曲に関してはあのホーンフレーズは邪魔かな?という。では次いきます!


・・・と言いたいところですが、ここで前半戦終了ということで、続きの後半戦は持ち越しです。それではまた明日!

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